表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる  作者: 鳥助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/99

69.これが本当の冒険者ギルドのイベントか

「んー! 良く寝て、元気一杯ね!」

「泥のように眠ってましたね! とうとう、今日から動き出すんですね」

「そうね。まずは冒険者ギルドに行って、ネクロマンサーが出現してないか調べるわよ」


 一日中寝ていた私たちはこの町に到着した翌日にようやく動き出した。沢山寝たお陰で体の痛みはなくなって、眠気もすっかり飛んでいた。これなら問題なく動けるはずだ。


 町を歩いて冒険者ギルドに向かう。セシルがスマホを見て冒険者ギルドの場所を調べてくれるから、わざわざ探す手間がない。なるほど、スマホというのは便利なものだ。前の世界で普及していた理由が分かる。


「あ、あそこね」


 セシルが指を差した方向に大きな建物があった。王都の冒険者ギルドよりも見劣りするが、冒険者ギルドのマークもあるしあそこで間違いはない。


 何も気にすることなく扉を開けて中に入る。やはり中も王都の冒険者ギルドより狭い。地方の冒険者ギルドだから仕方がないか。こんなに小さいと人との距離が近くなるから、いざこざが起こりやすい。あんまりいい予感はしないな。


「まずはクエストボートから見るわよ」

「そこでネクロマンサーが出現してないか見るんですね」

「そういうことよ。さぁ、手分けをして探しましょう」


 クエストボードを見つけると、私たちはそこに近づいていった。だが、その前に他の人が前に出てきてクエストボートの前に立ちはだかった。


「おいおい、こいつは見ない顔だな」

「なんだー? 新顔の癖に、挨拶もなしにクエストを見ようと思ってるのか?」

「ギャハハッ! 弁えない馬鹿がいるもんだな!」


 現れたのは装飾のついた黒い革ジャケットや黒い革パンツを履いたおっさんたちだ。その頭を見て見ると、色鮮やかなモヒカンをしている。


 ……こういうの見たことがある! どの漫画で読んだか忘れたけど、こういうキャラがいたような気がする。まさか、異世界で見れるとは思わなかった。


「言っとくけど、ここを取り仕切っている俺様に挨拶もせずにクエストを受けられると思うなよ」

「そうだぜー。クガー様の事を知らないとは恐れ入った!」

「本当に知らないか、その体に聞いてみるか!? ギャハハッ!」


 目の前に現れたおっさんたちは不遜な態度を取った。いけない、現実に戻らないと。すると、セシルが私たちの前に出て行く。一体、何をする気だ?


「その格好……あなたたち私と同じで地球マニアね!」

「えっ、はっ、はぁっ!?」

「な、何を言って……」

「ギャハハ……?」

「その格好は地球で流行った悪党ルック! かなり攻めたファッションだって、雑誌に書いてあったわ。そんなファッションをするなんて、あなたたちは相当地球マニアね!」


 ……セシルは地球のファッションとやらに執心みたいだ。私に絡んだ時もそんな風に絡んできた。地球のものが好きなのは分かるが、こういう時ぐらいは自重したほうがいい。


「よければ、あっちの席で話を聞きたいわ!」

「えっと……セシルさん?」

「な、なんだこいつは! クガー様、こいつは馬鹿ですぜ!」

「分かった! 話を逸らそうとしているに違いない!」


 いかにも悪そうな人たちを前にいつもの調子で話しかけるセシル。その突拍子もない行動にフィリスおろか、絡んできたおっさんたちも戸惑っている。みんなの視線がクガーと呼ばれたおっさんに向くと……。


「な、なんでこのイカしかファッションが地球のものだって分かったんだ……」


 なぜか激しく動揺しているみたいだ。


「これは俺が考えたファッションだっていうことにしているのに、本当の事をばらしたなっ……!」


 動揺したと思ったら、今度は怒り始めた。まさか、この展開の引き金がファッションだなんて……間抜けだ。でも、手下共はその事には気づいていないみたいだけど……。


「許しておけねぇ! やっちまうぞ!」


 いきなり好戦的になってきた。こんな人がいる場所で……しかも冒険者ギルド内で問題を起こそうとしている。これは流石に周りから咎められるか?


 周囲に視線を向けてみると、みんなこちらを見ながらも手出しはしてこないようすだ。寄りにもよって、ギルド職員はこちらを気にしながらも口出ししようとはしてこない。様子を見るだけで、助けようと考えている人はいないようだ。ここの冒険者ギルドも終わってるな。


「おまえら、クガー様を怒らせてただで済むとは思うなよ」

「ギャハハッ! 二度と立てないようにしてやるからな!」


 手下共が武器をチラつかせて、こちらにジリジリと近寄ってくる。


「わっ、ど、どうしよう」

「ここは、相手をするしかありませんね」

「二人は下がってて」


 戸惑うセシルと立ち向かおうとするフィリス。その二人の前に私は出た。相手がどれだけ強いのか分からないけれど、二人に任せるのは不安がある。仕方がないから、私が出て行こう。


「なんだぁ? このチビが相手か? 俺たちも舐められたもんだなー!」

「ギャハハッ! やっちまうぞ!」


 相変わらず馬鹿は容姿だけで判断するから嫌いだ。身構えていると、二人が襲い掛かってきた。一人が武器を振って来ると、身体強化をした素早い動きで相手の懐に飛び込む。腕を掴み、相手の体を背負うと、思いっきり床に投げて叩きつけた。


 もう一人が横に武器を振って来る。それをしゃがみ込んで避けると、足払いをした。そのおっさんが床に倒れる前に後頭部を強く蹴り上げる。


 ドサっ、ドサッと二人の男が一瞬で床の上に転がる。その後に続く痛いほどの静寂。ふと、クガーを見て見ると呆気に取られた表情をして止まっていた。だから、言ってやる。


「どう? まだやるの?」

「……この、野郎っ!」


 挑発のつもりじゃなかったんだけど、来るんなら仕方がない。武器を高く掲げて走って来る。私は腕輪は一メートル程度のメイスに変えて、迎え撃つ。


 大振りで武器を上から振るってくると、それをメイスで下から全力で叩く。触れた瞬間、クガーの武器が大きく弾き飛ばされ、その体が大きく仰け反る。その隙に詰め寄ると右手を拳に変えて、力いっぱいに顎を殴る。強烈な一打だ。


 すると、クガーが膝から崩れ落ちて床に倒れた。なんだ、この程度か。これだったら、暴走ゾンビの方が手ごわい。何はともあれ、これで落ち着くことができるだろう。


 ◇


「「「すいませんでしたー!」」」

「……分かった。もういいから」


 後々、気絶したおっさんたちを冒険者ギルドの外に放り投げると、私たちはクエストのチェックを始める。だけど、その間におっさんたちが目覚めてきて、再度突撃してきた。復讐かと思ったけれど、様子が違った。


 私たちに復讐するどころか、平身低頭してきている。はじめは許す気はなかったのだが、しつこく謝って来るので怒りが薄らいでしまった。昔ならもう一度鉄槌を下すところだったけど、私も甘くなったな。


「ゆ、許していただけるんですか……?」

「本当に反省しているんなら」

「はい! 心から反省しています! ありがとうございます!」


 一々謝るのも面倒なのに、どうしてそんな手間をかけるのか分からない。外に放り投げたんだから、そのままどことなりとでも行けばよかったのに。


 投げやりになりたい気持ちをため息にして吐く。すると、それを近くで見ていた二人が驚いた顔を向けてきた。


「ユイさんが優しい対応しています。信じられません」

「絶対にボコボコにすると思ったのに……」

「……」


 言い返したいが、それも面倒になった。


「お詫びのしるしに何か俺たちにできることがあれば、何でも言ってください」

「「なんでもしますから!」」

「なんでもねぇ……」


 おっさんたちのなんでもはなんか嫌だ。でも、こう言っているんだし……折角だから協力してもらおうか。


「なら、ネクロマンサーを見つける手伝いをお願いしようか」

レビューいただきました!

本当に嬉しいです、ありがとうございます!


お読みいただきありがとうございます!

面白い!続きが気になる!応援したい!と少しでも思われましたら

ブックマークと評価★★★★★をぜひよろしくお願いします!

読者さまのその反応が作者の糧になって、執筆&更新意欲に繋がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ