表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/101

12・みんなで集まろう!(*シーナを除く)(2/3)

 あわてて両手で額をおさえた。


「何するんですか!」


「ただの八つ当たり」


「完全にとばっちりじゃないですか!」


 僕が涙目で清野さんを見上げていると、大河たちがやってきた。


「何してるんだ?雅樹」


「蚊が飛んできたんだ。おでこぶっちゃって、ごめんね?」


 言外に、黙ってろと言ってませんか?清野さん。


 にっこりと笑顔を作って、清野さんが僕を見てくる。


 しぶしぶと頷く。


「雅樹くん、麗香さんから預かったお土産だよ〜。お饅頭なら緑茶でしょーって。おしゃれなティーバッグセットもらったよ」


 にこにこと、デザイン性の強い紙袋を悠河さんが揺らして見せる。


 あれ?


「悠河さん、ヘアスタイル変えました?」


「えっ!分かる?さすが雅樹くん。

 大河はぜんっぜん、気がつかなかったよ〜」


「……雅樹、裏切ったな」


 恨めしげに大河が僕を見てくる。

 裏切ったって、なんだ。


「見たまま言っただけだろ。なんだよ」


「……くっ!その見たままが難しいんだよ!」


 眉間に皺を寄せて大河が答える。

 なんなんだよ、一体。


「実はね〜、麗香さんが新幹線のチケットを送ってきてくれてね。

 昨日、ようやく学校が休みの土曜日になったから、行ってきたの」


「え、麗香さんのところに行ったんですか?」


「うん。あ、でも麗香さんに会いに行ったんじゃなくて、シーナの髪をカットした美容師さんのところに連れていってもらったの。

 かっこよかったよ〜!さすが麗香さんの彼氏!ちょーかっこいいの!!

 他の店員さんも素敵で、店長さんがものすごいイケメン!

 予約も取れないらしいのに、麗香さんが私のために時間を作ってくれて!

 はぁ〜、また行ってみたいなぁ……」


 喜色満面で言った後、うっとりと頬を染める悠河さん。


 シーナと違った反応で面白い。


 シーナに聞いても、悠河さんみたいな反応は返って来ないからなぁ。


 身の危険を感じた時は、「嫌なところだった」としか言わないし、悠河さんが興奮するくらいの美容院でも、「特に嫌な感じがしなかったから、また行ってもいいかな」くらいの反応だった気がする。


 どこに行ってもそんな反応しかしないシーナだけど、僕と一緒だと出かけた先でもとても楽しそうに笑うんだよな。


 無意識に、シーナの笑顔が頭に浮かぶ。


「今度は雅樹くんもシーナと一緒においでって。

 美容師のお兄さんが雅樹くんの髪も切ってみたいって」


「そんなに変わり映えしないですよ……」


 思わず髪をつまむ。


 ふと、頭をよぎったのは、兄。


 ………行ったら絶対に拗ねるなぁ。そんでどんな奴だったって、根掘り葉掘り聞いてくんだろうなぁ。面倒くさい。


 まぁ、いいや。放っておこう。


「あ、あとシーナが来られない分、雅樹くんの作ったお饅頭、楽しみにしてるからがんばってね、って」


「シーナが?」


「うん、さっきメッセージ来てた」


「ポーズモデル、休憩になったのかな……」


 この間みたいに具合が悪くなっていないか、心配になった。今朝もミセス土田が迎えに来ていたけれど、観念したシーナは着替えもしてちゃんと待っていた。


 ……散歩を嫌がるワンコになってたのは、同じだけど。しぶしぶシーナがミセス土田に連れられて、車に乗るのを見送ってから、僕も自転車で道場に向かった。


「シーナちゃん、ポーズモデルやってるの?

 美しいからね〜」


 玉城さんが、うんうんと力強く頷いている。


「シーナちゃん?そんなに小さな子どもなの?」


 シーナを男の子だと思っている清野さんが、不思議そうに聞いてきた。


「……シーナちゃんに初めて会った時の癖が抜けなくて」


 玉城さんが自ら掘った墓穴を、雑にごまかす。


「金髪でものすごい美形なんです。遠目で見たら、女の子にしか見えないですからね」


 何故か悠河さんがその墓穴にせっせと土をかぶせはじめた。


 あ、さっき言い含めるために、玉城さんが先に悠河さんのところに行ったんだな……。


 なんでそんなに清野さんにドッキリを仕掛けたいんだか……。


 大河が白い目で悠河さんを見ている。


 なんか放っておくと訳の分からないシーナ設定が出てきそうな気がしたので、


「えーと、それじゃあ、多江おばあちゃんの家に行きましょうか」


 と、僕はみんなに言った。


 ぞろぞろと5人で歩いて向かう。


 なぜか身長順になっている。


 玉城さんと僕、その後に悠河さん。


 大河と清野さんが並んで、バスケのBリーグの話をしている。


「玉城さん、清野さんってバスケやってたんですか?」


 身長が大きいと思っていたけど、バスケ経験者だったのか。


「うーん?違うんじゃない?よく分からないけど」


 玉城さんは、あんまり清野さんに詳しくない。興味が無さそうだ。


 僕はさっきデコピンされた額を指先で撫でた。


「刺された?痒み止め、あるよ?」


「あ、いえ、大丈夫です」


「ねぇねぇ、雅樹くん。お饅頭代とかいいのかな?言われた通り、エプロンは用意したけど」


 後ろから悠河さんが尋ねてきた。


「あ、はい。武田さんがそう言ってました」


「ふぅん」


 悠河さんが含みがありそうな声で返した。





(*´ー`*)清野さんの片想いはつづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ