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ガベージブレイブ【異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語】  作者: 大野半兵衛
侵食

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ガベージブレイブ(β)_083_クソジジィ包囲網2

 


 内戦が勃発したラーデ・クルード帝国では、帝国騎士団と反乱軍が睨み合っている。

 帝国騎士団には人類最強と言われる騎士団長がいるそうだが、限界突破していない人類なので反乱軍の中に紛れ込んでいるドッペル君たちのほうが強い。

 だが、ここで一気に帝国を滅ぼしては今まで人族至上主義を掲げていた国の借財を返済することができないので、他人種が参戦してくるまで内戦を引き延ばしてもらう。

 今頃、クソジジィは歯噛みしているだろうから、俺は笑いが止まらない。


「ツクル君、帝国を滅ぼすのはいいけど、そこに住む人たちが内戦で苦しむのは悲しいことだと思うの。だから、助けてあげてはダメかな?」

「一ノ瀬は優しいな。だけど、その帝国民が他人種を奴隷にして酷い扱いをしていた報いを受けていると思えないか?」

「うん、そうなんだけど……」

 一ノ瀬は相変わらずだな。だけど、これは戦前の日本と同じで選民思想を意識した教育がされてきた結果なので、帝国民も被害者だと言える。だから、一ノ瀬の考えを汲んでやろう。


「アリー、帝国民には戦後の賠償をしてもらうことになるから、他人種連合軍の気が済むことはないと思うけど、あるていどのところで収めて人族を生かしておいてくれ」

「分かりました。そのように調整をします」

「ごめんね、ツクル君、アリーさん」

「別に一ノ瀬が謝ることじゃないぞ。ことが終わったら帝国民は今までの借金を返済することになるんだから、そっちの方が苦しいかもしれないしな」

「そうですよ、スズノが謝ることでも気に病むことでもありません」


 帝国騎士団と反乱軍の戦いは膠着状態にしておいてクソジジィの方だが、クソジジィはオールド種を増員してきた。

 どこからオールド種を増員してきたのかと思ったら、オールド種は創り出せるそうだ。

 だけど、無限にオールド種を創り出せるわけではないらしく、限界があるらしい。

 しかし、そんな情報を得てくるベーゼって本当に役に立つ奴だよな。

 クソジジィが悔しがったり不安になったりする姿が見れないのが残念だが、メインディッシュは最後にとっておこう。


 ▽▽▽


「主様、クソジジィめが勇者召喚を行うようです」

 ベーゼの低音ボイスが朝の目覚めのきっかけだったが、できれば女の子たちに起こしてほしかった。

「勇者は集まっていないから生贄がいないだろ?」

「オールド種を生贄にするようです」

「その手があったか……」

 クソジジィも色々と考えるものだな。

 だけど、オールド種は創り出したらすぐにクソジジィの手足となって働いてくれるが、召喚した勇者はすぐには使い物にならない。俺が心配してやることではないけどオールド種を生贄にして大丈夫なのか?


「好きにさせておけ」

 大神殿の魔法陣もちゃんと仕掛けを施しておいたから、勇者召喚はできない。

 クソジジィがあのトラップを見破れるとは思わないが、見つかったらその時はベーゼに召喚の邪魔をさせればいい。


 ▽▽▽


 反乱が起きてから二カ月が経過したある日、やっと他人種連合軍が動いた。

 今回の規模は前回ほどではないが、そこにルク・サンデール王国などの元人族至上主義の国々も参戦している。

 もちろん、元人族至上主義の国々と帝国の反乱軍はイスラフェルの眷属ドッペル君が首脳陣を固めているので、他人種連合軍を上手いこと折り合いをつけてラーデ・クルード帝国軍と戦っている。

 ラーデ・クルード帝国軍は徐々に後退していき、三カ月を過ぎた頃には帝都にこもってしまった。

 その頃、クソジジィはオールド種を生贄に勇者召喚をしようとしていた。


 ▽▽▽


「テマス様、準備が整いました」

「うむ、さっそく召喚するのだ」

 部下のオールド種が魔法陣に魔力を流し、魔法陣が生贄のオールド種たちの命を吸い取っていく。

 これまでは魔力の高いエルフや魔族を捕まえて生贄にしていたが、どれもただのエルフとただの魔族だった。今度はオールド種を生贄にしているのだから、前回のようなクズばかりではなく、必ずや強力な勇者を召喚できるはずだ。


 我らエンシェント種はオールド種を生み出せるが、無制限で生み出せるわけではない。しかもオールド種を召喚魔法の生贄にすると、強力な勇者を得られる代わりにオールド種を生み出せる上限値が減ってしまうのだ。

 だからオールド種を生贄にするのは最後の手段だった。その最後の手段を使う羽目になるとはな……。どこで間違えたのだ?


「テマス様、魔法陣に魔力がいき渡りました」

 魔法陣に魔力がいき渡った証拠に、魔法陣が光り輝いて生贄たちの命を吸い取っていく。

「くくく。さぁ、我の求めに応じ、その強大なる力を我の前に現せ!」

 魔法陣が光を増していく。それによって生贄のオールド種がこの地上から消滅していく。生命力を吸われ体を保てないのだ。

「いいぞ、早くこい」

 光がこれ以上ないほどに輝き、我は目を手で覆った。さぁ、くるがよい。我の駒たちよ!


 光が収まっていくのが分かる。どれほどの強者が現れるのか楽しみだ。くくく。

 目を覆っていた手を徐々にどかしていく。

「………」

 な……なんだあれは?


 我は目を見張った。

「なんだこの化け物は!?」

 そこに召喚されたのは勇者でもなんでもなく、異形の化け物だった。

 蠢く肉の塊……? いや、あれは魔物か? なんという臭さだ、鼻がひん曲がりそうだ。


「おい、貴様。あの醜い化け物をなんとかしろ」

「は? わ、私がですか?」

 オールド種のくせに我に口答えをするか!

 我はこのオールド種の頭を土の槍で吹き飛ばした。

「オールド種のくせに我に口答えをするな! おい、お前がいけ!」

「は、はい!」


 我の命により化け物を排除しようと向かったオールド種だが、不定形の化け物から肉の触手が伸びてきてオールド種が掴まれてしまった。

「ぎゃー!? 助けて! たす……」

 そのままオールド種を肉の塊に取り込んだ。


「……テマス様。どういたしますか?」

 なぜこうなった? なぜこうまでケチがつくんだ?

「テマス様、化け物が動き出しました」

「そんなことは見れば分かる!」

 化け物がこっちへ向かってきたので、我は土の槍を数十本作り出し串刺しにしてやった。

「やった! さすがはテマス様です!」

 うるさい奴らだ。


「なっ!?」

「て、テマス様、化け物が槍をすり抜けてきます!」

 化け物は体に刺さった槍などないかのように我らのほうに向かってきている。


 ドンッ。ガラガラ……。

「なっ!? テマス様、魔法陣が!?」

「魔法陣が崩壊します!?」

 なんだというのだ!?

「おい、なぜ魔法陣が崩壊するんだ!?」

「わ、分かりません!」

「ええい、役に立たぬ奴らめ!」

 我は土の壁であの化け物を隔離しようとしたが、我が壁を構築するより先に化け物が壁を覆いつくしてしまう……。


「テマス様、逃げましょう!」

「そうです。ここを放棄しましょう」

「バカを言うでない! ここをどこだと思っているのだ? ここは我が本拠地ぞ。化け物に襲われて本拠地を放棄したとなれば、他の種族たちの物笑いの種になる! なんとしてもあの化け物を駆逐するのだ!」

「「し、しかし……」」

 こんなことで我が逃げるなどありえない! あり得ぬのだ。



本日コミカライズ5話が更新です。

面白いから読んでみてくださいね。

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