389話開門と英雄対災厄
どこを見渡しても真っ暗な世界。そこに1人で立っているのは心細さを感じさせるものだった。
だが彼女は、ユニークスキル《ナビゲーター》は、その闇の中で突き進んでいた。ベルゼを倒すために。
「ベルゼが警戒なく魔法を吸収してくれたことに感謝ですね。お陰で、それに紛れて侵入することができた」
闇の中をひたすら突き進む。一寸先も闇。どこまでも続く絶望の世界に感じられた。
ナビゲーターの目的は、ベルゼのユニークスキルを破壊すること。そうすれば、戦況の優位は大きくこちらに傾く。危険を冒してまで潜入したのだ。
正真正銘、ナビゲーターも命懸けだ。下手をすれば、闇に呑まれかねない。だが、それでも彼女の守りたいもののために動いている。
「さあ、やってやりましょう。フラッシュ!」
「グァァぁぁぁぁ!」
ベルゼが苦しそうに頭を押さえるのを見て、レンもすぐに攻撃を仕掛ける。
「マキシマムミーティア!」
「ぐ……フィフスフォールン!」
だが、ベルゼも痛みに押されながら攻撃を放って来る。降り注ぐ闇にレンは冷静だ。
「アイリ借りるぞ。マジックボックス展開、形状変化、盾。《盾神の加護》」
ベルゼの攻撃を防ぎ切った。それには、周囲にいた一同も大いに驚愕している。
「ははっ、こりゃとんでもね。一回負けたとは思えないな」
レンの戦闘を見ながらシャンが声を上げる。
「ベルゼ、やめろと言っても無駄だろうからハッキリと言う。お前を、ここで終わらせる」
「させぬぞ、レン・オリガミ……。忌々しい、我の中で暴れよって!ふんっ!」
ベルゼが声を上げ、空に手をかざす。
「魔門!」
「これを開け放とう。貴様1人では、これは止めれまい。終わるのはそちらだ!」
魔門が開き、ディザスターが這い出ようとしているのが見える。あそこまでの数を相手にはレンにも出来ないことだろう。
「早くベルゼを倒さないとだな……」
レンは剣を構えながら呟く。時間をかけすぎると、守るべきものが無くなってしまう。
「レン、行きなさい!こっちはどうにかするわ」
「ベルゼの野郎をぶっ飛ばしてこい!大賢者がみんなを守ってみせるから」
転移で現れたルティアとミラだ。魔人を倒してやって来たのだろう。
「わかった」
と言いながら、レンはベルゼのいる上空に向かって飛ぶ。魔門からは今もディザスターが溢れていた。これは、かつてない災厄が起こりかねない。
どこまでディザスター相手に保つか、どれだけ早くレンがベルゼを倒すか……時間との戦いが始める。
「ナビゲーターさん……どう?」
『まだです……とてつもない闇……』
ベルゼに向かうレンにも多くの闇が押し寄せて来る。触れるだけでも肌を焼かれるような感覚がある。
「いくぞ、ベルゼぇぇ!」
「来い!終わらせてやる、レン・オリガミィイ!」
英雄と災厄がぶつかる。




