特別編リータの動き
僕の名前は、リータ。母の名前は、マグノリアだ。
スティグマ筆頭、今や世界を破壊せんとする災厄ベルゼの配下をしている。
だが今は、それを阻止するために動いている。なぜ今になって反旗を翻したかというと、リータとしての記憶が戻ったのが最近だからだ。
父と母、優しい家族に囲まれて幸せに暮らしていたはずだった。だが、それはあっさりと終わりを告げたのだ。
母の魔法の才に目をつけたスティグマによって攫われた。父はその時にスティグマによって殺されたのだろう。
僕と母は、洗脳をかけられてスティグマとして悪事に加担してきた。それは語るのも嫌になる程のものだ。
どのようにして洗脳が解けたかを説明すると、洗脳を解いてもらったというのが正しい答えだ。
魔王城での戦い、そこでレン・オリガミの中から現れた人物。名前をレイと言うらしいが、その者が最後に僕の洗脳を解いていったのだ。
『僕に残った最後の力で、君の洗脳を解くよ。どうか良い人生を歩んでくれよ?』
「何で僕を助けるんですか!」
スティグマの残党と大差ない、その内切り捨てられるであろう僕を助ける価値はないだろう。
『目の前に助けられる人がいたら助けちゃダメかな?まあ、多分僕の自己満足かもしれないね。レンだけの英雄だった僕は、みんなの英雄にもなりたかったのかもしれない』
そう告げて、レイという者は消え去った。レンという男の反応を見るに余程失いたくない相手だったのだろう。
最後の力で僕を助けてくれた英雄がいた。ならば、それに応えたい。そう思ったのだ。
頭がぐちゃぐちゃだが、やるべきことを1つに絞ったら考えることも少なくて楽になった。今後のことや失った時間は今は考えるべきじゃないと判断した。
だが、ベルゼにバレれば命はない。一つ一つの行動に注意を配らなければならない。幸い、洗脳中の記憶も残っているため行動に支障は出なかった。
ベルゼへの怒りを噛み締めながら準備を始める。母がいる場所に、ベルゼや魔人の位置が書かれた紙を送るなどして向こうが動きやすいようにもした。
「あの場にいた者達が立ってくれれば、もしかするとベルゼに勝てる……」
少しでもベルゼの行動を妨害出来る様に動かなければならない。
「お前……俺は……」
「目覚めたか?シャンさん、どうだ洗脳が解けた気持ちは?」
「はっ、最悪だ……まさか洗脳されてたなんて」
生き残っていたスティグマの幹部、シャンの洗脳を解くことにも成功した。自分にも母の魔法の才が流れているため、苦戦はしなかった。
「どこかに逃げても良いし、僕を手伝ってくれるとありがたいけど」
「俺がベルゼにチクるってのは考えないのか?アイツの元につけば死にはしないだろうしな」
「シャンさん、あなたはそんな人じゃない。強い怒りを感じるから、大切なものをスティグマの所為で失ったんじゃない?」
シャンの握りしめる拳は、今にも血が流れそうな勢いだ。ベルゼに対しての相当な怒りが感じられた。
「結局、お前も俺も、マグノリアもベルゼに遊ばれてたってわけか。狂人だったサジャードは、死んじまってよぉ」
生き残っていたのがであればサジャードであれば厄介だったなとリータは思う。
「それで手伝ってくれる?シャンさん」
「ああ、奴に借りを返さないとな!」
そして、ついに最終決戦が始まろうとしていた。
アルセンティア王国付近の上空。
レン・オリガミは、立ち上がりベルゼの前に現れる。それに母であるマグノリアもだ。彼女は僕を止めるためだろうが、来てくれてありがたいことだ。
「リータよ、マグノリアの方は任せるぞ」
「はい、ベルゼ様。お任せください」
出来るだけ無機質に返事をする。ここまでバレずにやってこれた。
ここからはどれだけ力になれるかはわからない。だが、少しでもベルゼを倒すのに役に立てればと思うリータだった。




