376話出発と約束
「俺も行かなくて大丈夫か?」
「ベルゼを放置する方が危険だと思うからね。私達じゃ歯が立たないからレン任せになって申し訳ないけど」
と言う。
「確かに、王国と神聖国を同時に守るならそれが良いのかもな。どうにかして、ベルゼを食い止めますか」
闇を降らす攻撃をされた時の良い対策があるかと言えば微妙だが、力技で行くしかないかと考えている。
「なんなら倒してくれても良いんだけど?あ、でも私も借りを返したい所だね!」
「簡単に言ってくれるな、ミラ。そっちが終わったら援護頼むぞ?」
同じ異世界人で大賢者のミラで有れば、ベルゼに有効かもしれない。
「それじゃあ、出発ね!さっさと向かうわよ」
とルティアが大声を出す。これから大決戦になるだろうにルティアは元気だ。こちらとしてはありがたいが。
「私とエリアスとルティアが王国、アンナとアイリ、フィレンギルド長が神聖国の方に向かうと。私の転移魔法で一気に飛ばすからねー」
とミラが分けている。
6つのユニークスキルの力を取り込んでいた混沌の魔人6体、それに対するエリアス、ルティア、ミラ、アンナ、アイリとフィレンの6人。
丁度の人数である。最も信頼できる6人の仲間がいてくれることがとてもありがたく感じる。
これまでのレンで有れば、全てを1人で解決しようとしただろう。信じて任せられる仲間がいたことが救いだ。
『マスターは、ベルゼに集中しましょう』
「そうだな、出来れば《プログラミング》と《インポート》あたりが返ってきてくれると嬉しいけど」
全部返ってきてほしい所だが、特に強力なユニークスキルが返ってきてくれると戦況の有利さも変わる。
「アンナ達には私が作った魔法道具渡しとくね!結界が張れるから着いたらすぐに使うんだよ」
と言いながら、ミラがアンナに魔法道具を放り投げる。
「わかった、流石は大賢者、準備がいいな」
「本当は、私はアホみたいなことをやってるのが好きなんだけどね〜。さっさと平和にしてだらけようぜ!」
ミラがサムズアップして答える。
「じゃあ、出発だな」
『マスター、みんなに一言声をかけた方がいいんじゃないですか?』
「ナビゲーターさん……わかったよ。最後の戦いになる。相手は災厄……どうなるかはわからない。だから、感謝の言葉を伝えさせてくれ」
「レン、なんかしんみりとするんだけど」
ルティアに言われてしまう。
「あー、悪い。こういうのは慣れてないからなぁ。ありがとう、一緒に戦ってくれることに感謝を!絶対に勝とう。ベルゼは俺に任せてくれ」
「頑張りましょう!」
「ああ、それにまだ迷宮も登ってないんだから。こんな所で終わるなよ?」
「ああ、そうだったな」
思い返せば、まだまだ冒険を残している所が沢山ある。平和になった世界でやりたいことは沢山あるのだ。
「レン、死んだらエリアスとルティアが未亡人になるからね。流石に許されないぞぉ?」
「死ぬわけにはいかないな。ミラ、お前もだぞ?せっかく賢者にも慣れたんだから」
ミラはなかなか所を攻めてくるもんだ。
「おうとも!いつか地球にも戻ってみようぜ!」
もしかするとミラならやってくれそうな気がした。
「私は、また冒険者に戻ってみるのも面白そうって思ってるのよ。だから、戦いが終わったら私も冒険に連れて行ってもらいたいわ」
「そうですね、ギルド長。楽しみにしてますよ」
ギルド長が冒険者復帰とは、またまた一悶着起きそうだなと思いながら答える。
「死んだりなんかしたら恨むわよ、レン」
「はは、聖女様は我が儘だな」
ルティアが抱きしめてくる。
「王女は、我が儘なものよ!」
と言いながら笑った。
「レン、約束。絶対に帰ってくること。私も頑張るから」
「ああ、約束だ」
本当に守れるかはわからない。だが、出来れば守りたいなと思いながらレンは答えるのだった。
「さあ、王国と神聖国を救いに行こうか!」
ミラが転移の詠唱を始める。跳べば、すぐにでも戦いが始まることだろう。一同、覚悟を決めて戦いに向かうのだった。




