373話教えと決戦間近
「フェンリルの咆哮!」
衝撃波が放たれて正面にいた魔物を吹き飛ばす。
「おお!成功だね。コツを掴むのが早いなぁ!」
パチパチと拍手をしながらエリアスが言う。彼女に教えてもらいながら、どうにか技の最高にこぎつけたのだ。
「エリアスの教え方が良かったってことだ。さて、次に行かないとなぁ」
「あと、 5人だもんね!始まったばかりだけど頑張って!」
エリアスの声援を聞きながら、レンは向かうことにする。
「来たわね、レン!今度は私が聖女の力の使い方を教えるわ!」
腕組みをしたルティアが立っていた。なんだか教官みたいだ。
「よろしくお願いします、聖女様」
「よろしい!それでは、まずは体術から」
あれ、生命魔法の方からじゃないんだな……と思いながらも修行を始めるのだった。
そんなこんなで、時間をかけてミラやアンナ、アイリ、フィレンと戦い方を教えてもらった。
「こう、ズババババン!とだね〜」
「さっぱりわからねー!」
『ミラの教え方は壊滅的ですね、私も強力しましょう!』
若干のトラブルがありつつも、修行を進めることが出来た。
「こんな所ね、私のステータス外スキルもかなり使いこなせてきてるわ。これなら教えることは無さそうね」
「ありがとうございます、フィレンギルド長」
長年の経験か、1番教え方が上手いのはフィレンだった気がする。どうにか全員から学ぶことが出来たので、ベルゼと戦う時の武器になるだろう。
「後は、混沌の魔人が出てくるだけね……」
「ええ、王国とかにまだ影響が出てないのなら猶予があって助かってますけどね……」
まだベルゼは周辺の国に手を出していない。だが、それも時間の問題なのだろうなとレンは思うのだった。
時間は少し遡る。
レンの力を喰らったベルゼは、世界を滅ぼすためにすぐに動こうと思っていたが、それは思うようにいかなかったのだ。
「忌まわしい……想定以上に身体に負担が来ておるとは……」
神リディエルや光明の魔女レミ、レイの攻撃によって少なからずダメージを受けていたためその反動が来ていた。
「レン・オリガミの力を取り込んだが、この状態とは……未だに力を消化出来ないとは。むしろ身体中を暴れまわっているような感覚」
喰らったユニークスキルは、未だに消えようとはせずに持ち主を求めているように感じた。
「数が多いのも厄介か……ならば、分けるとしよう。魔門よ」
空に門を開いて、そこから闇が降ってくる。その数は6つ。
落ちてきた闇に対してベルゼは、身体の中で暴れる6つの力を無理やり与える。直後に、闇が巨大な人型を形作り立ち上がる。
「近くの国、アルセンティア王国とリディエル神聖国。そこから滅ぼしてくれようか」
この世界の掌握もすぐに叶うことだろう。もうすでに逆らえるだけの戦力などないのだから。
「少し、休むとするか……どうせワシの勝利は確定しているのだからな」
無理をしたリディエル神の手出しはない。
光明の魔女レミは自らを犠牲にして死んだ。
空想の英雄レイは最後の力を使い切り消えた。
レン・オリガミは力を全て奪われ心まで折れた。
反抗してくるものもいるだろうが、所詮は寄せ集めに等しい。万全となる自分自身が負けるはずがないとベルゼは確信していた。
「ベルゼ様、お身体の調子はいかがですか?」
「リータか?まだ万全ではないが、すぐに整うだろう。そうすれば、世界を滅ぼしにいける」
様子を聞くリータに堂々と答える。
まもなく最終決戦が始まろうとしていた。世界などすぐに取れると思っているベルゼに、心折れてなお立ち上がったレンが……そして、その仲間が立ち塞がる。




