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371話失ったユニークスキルと希望

「申し訳ない、レン・オリガミ。私の力が及ばなかったばかりに、母と兄弟とも言える者を失わせてしまった」


神が謝ることなんてあるんだな……と思いながら、


「リディエル神様、助けてくれてありがとうございます。あなたのお陰で、仲間を失わずに済みました」


答える。彼女を責めるつもりなんて毛頭ない。


「ほら、私の言った通りだろう?この子にアンタを恨む気持ちなんてないのさ」


確信していたという反応でフェンリルが答える。レンがどう答えるかわかっていたようだ。


「レン……あなたは、とても強い人ですね」


「強くなんかないですよ?ちょっと前まで、もう終わりだって落ち込んでたんですから。本当に、大事な人を失ってしまった」


この世界で再会を果たした母親、二度と会えないと思っていた人。話したいことが沢山あった。それももう叶わないが……


そして、自らの空想の英雄……レイは、最後まで自分の英雄だった。いずれ別れが来ることもわかってはいたが静かに送り出したかった。これまでの人生を共に歩いてくれたことに感謝して。


「リディエル神様が、お母さんが、レイが命をかけて守ってくれたから……俺は今を生きて悲しむことが出来る」


今にも泣き叫びたいくらい悲しい。だが、まだなのだ。自分にはやるべきことが残っている。災厄を討てば、子供のように泣き喚くことも許してくれるだろうか。


「ありがとうございます。リディエル神様。あなたが救ってくれたこの命でベルゼを討ちます。だから、そんなに悲しい顔をしないでください」


無礼と言われても構わない。レンは、リディエル神の手を掴んでいた。これまでも命を助けてくれた神の気持ちが少しでも和らげばと思いながら。


「ありがとう、レン・オリガミ。あなたは、本当の意味で強く優しい。どうか、あなたが災厄を討てるよう祈ります」


「ええ、ここで見ててください。世界を終わらせたりはしません」


とレンは答える。



「そういえば、リディエル神、ユニークスキルの話をするんじゃなかったのかい?」


「は!そうでした。神ともあろう者が忘れるとは、恥ずかしい」


「ユニークスキルですか?」


一体何のことだろうか?と思いつつも、話を聞くことにする。


「レン、あなたのユニークスキルについてです。正しくは、今はない失ったユニークスキルですね」


「まさか、戻せるとか!」


失ったユニークスキルが戻るのならば、戦況はかなり優位になることだろう。


「いえ、残念ながら今どうにかすることはできません」


「そうですか……」


だが、話をするということは何かしら希望があるのかもしれない。


「あなたの喰われたユニークスキル《アンインストール》《ロック》《フィルタリング》《ハッキング》《プログラミング》《インポート》ですが、ベルゼに取り込まれて力に消化されたわけではありません」


「まだ取り返せる可能性が?」


「ええ、あなたのユニークスキルは強力です。取り込んだベルゼを苦しめるほどに。そのためベルゼはユニークスキルを切り離しました」


と言いながら、横に向かって手をかざす。そこには、黒い巨人が映っていた。


「あれは……」


「あなたのユニークスキルの力を切り離して作った、混沌の魔人……と言った所でしょうか?ベルゼ1人ではあなたの力を持て余したので、6つの魔人を生み出して分けたようです」


「じゃあ、あれを倒すことが出来れば?」


大きな希望が見えた気がした。


「ええ、あなたのユニークスキルは戻ってきます。それに、ベルゼ自身もあなたのユニークスキルや称号を取り込んだことで逆に弱っています。回復されはするでしょうが、少しでも時間を稼げるでしょう」


「わかりました。ならすぐに戻らないと!ありがとう、リディエル神様!フェンリル様も」


とレンは手を振りながら、神界を後にするのだった。



「リディエル神、レンは、勝てるかね?」


「勝ちますよ、レンは絶対に勝ちます。神の勘です」


レンが去って静かになった神界に2人の声が静かに溶け込むのだった。

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