370話 フェンリルと神との邂逅
「試してみようか、フェンリル!」
そう言ったのは、レンだった。直後に変化は起きる。
「おお……!」
レンの姿を見ていたエリアスが驚きの声を上げる。
姿が変わったのだ。レンの髪は長く、瞳は赤く、狼の耳が頭から生えている。まさしく、エリアスがフェンリルの力を使っている状態と同じだ。
「成功だな、凄いなぁ神獣の力ってのは」
腕を動かしながら答える。
「凄いでしょ?それにしても、獣人の姿もなかなか素敵だね!」
クルクルとレンの周囲を回りながらエリアスが言っている。見る感じテンションが高そうだ。
「エリアスの様子はともかく……、フェンリルの咆哮!」
魔物に向かって剣を振ってみる。だが、レンの予想通り攻撃は放たれなかった。
「あれ、流石に技は出なかった?」
「ああ、そう簡単には使いこなせないって所だろうな。ましてや、神獣様の力だろう?パッと出来るはずがないな」
と答える。下手したら、勝手に神獣の力を使ってフェンリル様が怒っているかもしれない。
「そんなことはないさ」
「まさか……フェンリル様か?」
急に声がしたものだから驚いたが、納得してしまうものだ。
「ほぉ、理解が早いね!はじめましてかねぇ?レン・オリガミ」
自分のこともしっかりと知っているようだ。さすがは、神獣と言った所だろうか。
「はじめまして、フェンリル様!まさか、突然会うことになるとは思いませんでしたが、いつもエリアスがお世話になってます」
頭を下げる。
「私がエリアスを気に入ったからね。それに、アンタのことも気に入ってるんだ。だから、絶対に勝つんだよ」
「はい、フェンリル様」
励まして貰ったようだ。応援してくれている人がいるのはありがたい。
「それに、今は偶々私の力でアンタに話が出来てるから会わせたい人、いや神がいるんだ」
「神様って、まさか!」
「ああ、後ろにいるよ」
直後に後ろに気配を感じた。
「久しぶりですね、レン・オリガミ」
「リディエル神様……」
何度か会っている。というかつい最近会ったばかりだ。怪我をしているのか、足取りが良くない。
「元気そうでなりよりです。私はこんなザマではありますが」
と言いながら、歩いてくる。
「もしかして、この前の無理がたたって……」
「私のことは良いのです。私は、守ることが出来なかったあなた達に謝らなければならない」
と言いながら頭を下げるのだった。




