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354話大切な人を守る一撃

優しく頭を撫でられて、労いの言葉が聞こえた。もう忘れてしまったかのような昔の記憶を思い起こされそうな感覚だ。


いつの間にか守るかのように前に立つ人物を狭い視界で捉えた。


「お母……さん」


「ここまでよく頑張ったわね、レン」


優しい眼差しには、ハッキリと覚悟が写っていた。これから何をしようとしているのかわかってしまう。


「まさか……」


エリアスも察したように呟く。そんな彼女を見てレミは声をかける。


「レンをお願いね、エリアス。よく我慢しようと耐えちゃう子だから」


「待って!そんないきなり」


エリアスが手を前に伸ばすが、それが届くこともない。


「今度こそさようなら、レン。会えて嬉しかったわ。あなたのためなら、どんな相手でも頑張るんだから!」


「俺は、まだ何も……」




「光明の魔女よ!貴様如きに何が出来るというのだ?このまま闇に飲まれて消えてしまえ!」


「出来るわよ!私は大切な家族を守ることができる!あなたにはきっとわからないでしょうけどね」


大声で宣言して杖を構える。



「200年間……私の全ステータスを代償に……闇を撃ち破れ!」


圧倒的なまでの光がレミから溢れ出し、降り注ぐ闇を受け止める。そのまま、それを押し返していく。



「これは、命の輝き……なんて強い光。これなら……」


マグノリアが呟く。


「MPももうマイナス……スキルも全部出した、後はHP……」


自分の全ステータスを犠牲にしての攻撃、自分が出せるものはもう後わずかしかない。終わりが近づきチラリと息子を見る。エリアスに支えられ、信じられないものを見るようにこちらを見つめていた。



「また、置いて行ってごめんね……届け!愛する者を守るための一撃!」


自らのHPすらも全て力に変える、正真正銘の全力の一撃。


「なに!」


闇を打ち払いベルゼの元に到達する。



全てを力を使ったレミは後ろに倒れ込む。それをレンとエリアスがどうにか受け止めた。


「お母さん!ナビゲーターさん、どうにか……」


『ステータスが完全に崩壊しています……これでは……」


ナビゲーターの悔しそうな声が響く。


「レミさん!」


2人の呼びかけにうっすらと目を開く。レンに向かってゆっくりと手を伸ばしてきた。



「お母さん……」


「ただいま……ライ、ずっと待たせちゃって……レンは立派な子になってた……わよ」


すでに目にレンは映っていなかった。レンの頬を涙が伝うのを感じた。二度目の別れ、今度こそ二度と会えないであろう別れだ。


「どうか……レンが……幸せに生きていけます……ように。見守り……ましょ…」


力のなくなった手が、あっさりと地面に落ちる。こんなにも突然に終わってしまっていいものなのだろうか……無力を感じ涙が止まらない。


「レミさん……」


エリアスも泣いている。彼女にとっても辛い時期を過ごした親のような人だ。これからも一緒にいられるだろうという思いはあっさりと消え去る。


時間が止まったような感覚が流れる。




200年以上の歳月を生き、多くの悪、そしてスティグマと戦い続けた光明の魔女……否、1人の母親は文字通り自らの全てを犠牲にして愛するものを4発目の闇から守り切り散った。


レミの服から落ちたスマホが、いつも彼女が微笑ましく眺めていた家族の写真を写しているのだった。

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