352話一瞬の助力と限界
レンの盾から展開された障壁がベルゼの攻撃とぶつかる。
あらゆる攻撃から守ることが出来る盾は、しっかりとその役割を果たしていく。
「こんなのが、後4発……」
役目を終えた障壁が光となって消えてくるのを眺めながらレンが呟く。無敵の盾も一度使えば、1日使えなくなる。次の攻撃までどう考えても間に合うはずもない。
「ほっほっほ!1発目を防ぎおったな!じゃが、もう策はないじゃろう?」
ベルゼの声が響く。
「レン……」
「どうにかしないと……だけど、あんな規模の攻撃……」
魔法などで反撃した所であっさりと押し流されてしまう。この場にいる者を守り切れる気がしない。
「ぐ……妾じゃなにも出来ないのじゃ。父上であれば……」
「クシフォン様、命に変えてもお守りします」
クシフォンが無力を嘆いている。それをフィーズがなだめていた。
「こんな攻撃じゃ、誰だって無力だわ……見誤ったわ。転移するだけのMPもない」
マグノリアが呟く。正直な所、一同限界も近い。これまでの戦闘でHPもMPも削られているのだ。
「全力の攻撃で迎え撃つしか……」
レンが手を空に向けて突き出す。どこまで保つかわからないが、1秒でも長く持たせれば何か起きるかもしれない。
もう、何かに期待するしか出来ることはなかった。
「終わりかのぉ?セカンドフォールン!」
「マキシマムマジック、マジックウォール!」
降り注ぐ闇にレンは、MPを全開で放出して立ち向かう。
「これは……見てられないね……すぐに死んでしまうよ」
フェンリルが呟いて、顔を背ける。魔法でレン・オリガミが粘っている姿が見えるがずっとは持たないことだろう。
「ええ、見ていられませんね……」
と同じように呟くのは、リディエル神だ。だが、それは顔を背けるという意味ではなかった。何やら詠唱を始める。
「まさか、リディエル神……無理に顕現するつもりかい?何があるかわからないよ!」
「それでも行かなければ!耐え切れば、まだ可能性はあるのです」
と言い姿が掻き消える。地上へ向ったのだ。
「ほう!素晴らしい!さすがはレン・オリガミじゃ!」
ベルゼが大声を上げる。2発目の攻撃をレンは防ぎ切ったのだ。ここまで争うことにベルゼは喜んでいた。
「はぁ……はぁ……防げた……まだだ、もっと!」
呟きながらも、地面に膝をつく。
「レン、もうこれ以上は……」
「レンさん……」
アンナとアイリが小さく呟く。彼が行っていることを考えると止めることもできない。
「次が来る!うぉぉぉぉぉ!」
先程のを防いで、身体が悲鳴を上げそうだが、それでも守るべきもののために力を使う。
「ほっほっほ!終わりじゃのぉ!」
レンの魔法が押され始める。徐々に地上に向かって闇が落ちて……
直前に闇が押し返された。
「なんじゃ?」
これには、ベルゼも驚いていた。どこにも跳ね返すだけの力はないはずだからだ。
『力を貸しましょう、レン・オリガミ!』
「リディエル神!」
かつて神聖国でディザスターを倒すときに力を貸してくれた神が背後に現れる。かつてと同じようにレンとあわさろうとしている。
「凄い……本物の神様」
誰かの驚きの声が聞こえたが、返事をする時間すら惜しい。
「インストール!〈神級前魔法〉」
神の力のおかげでかつてディザスターを滅ぼした魔法を使うことも出来る。そして、すぐさま使用した。
「消滅の神炎!」
闇を打ち払って吹き飛ばした。これには、ベルゼも驚きの顔を覗かせる。
「これなら!……レン?」
エリアスが顔を傾ける。
「もう……」
レンは呟きながら、地面に倒れそうになる。ギリギリの所でエリアスの腕が間に合った。
レンのすぐ近くには、リディエル神も膝をついている。どこか輝きも弱く感じた。
「やはり……神聖国でなければ……力になれず……申し訳ない」
と言いながら、リディエル神の姿が消失した。彼女にも予想外だったのだろうが、神聖国でない遠くの地で神の力を振るうのは難しかったのだ。一撃でも攻撃出来ただけ奇跡とも言えるが……
「あと……2発……」
空を見上げながら、崩れ落ちているレンは呟くのだった。




