347話本当の狙いと間近
「ここまで来てくれたこと感謝するぞ、魔王。お陰で最も強力なディザスターを呼べる!」
「狙いは……初めから私だったと……」
口から血を吐きながら魔王が呟く。その血が受け止めたクシフォンに落ちる。
「父上……?」
ここで気絶したクシフォンが目を覚ます。父の腕に抱かれ安心感を覚えた直後、大怪我に気づく。
「魔王を生贄に、そう言うことか!」
どうにかしなければと魔王の元に向かおうとするが、
「リータ、撃ちなさい」
とてつもない数の魔法がレンを、そして魔王を狙って放たれる。それをレンはモロに食らってしまう。
「近づけない、デリート!ぐぬっ」
魔法による雨嵐に、周囲を囲まれ魔王に近づくことが出来ない。デリートで消しても何度も魔法が放たれてキリがないのだ。
「油断したのぉ、レン。さて、魔王ももう風前の灯じゃ」
クシフォンを魔法から庇ったのだろう。魔王は、ボロボロだ。元々、心臓を魔法で貫かれている。あそこまで生きていること自体が凄まじい。
「レン……オリガミ……娘を頼む!」
「父上!嫌じゃ、父上!」
レンに向かって魔王がクシフォンを最後の力で投げた。クシフォンは、目に涙を浮かべて叫ぶ。
「ごめんな、クシフォン。母も父もこんなにすぐに……」
直後、魔法による大爆発が起きて爆風があらゆるものを吹き飛ばす。クシフォンを受け止めたレンも、地上に向かって吹き飛ばされるのだった。
「これで、準備は整ったのぉ!」
「はい、ベルゼ様」
どこからともなく現れたリータが言う。
「さて、他の者がどうなったかを確認するかのぉ」
のんびりとした様子で、ベルゼが述べる。
「マサトは、賢者との戦闘中です。完全に押されています」
「ふむ、サジャードは?」
「死亡しました。神獣の力を持つ者に敗れました」
リータが説明する。
「ほうほう、サジャードは死んだか。マサトも危険なら助けてやらねばのぉ。賢者にはここで退場してもらおう、厄介じゃし」
と笑う。それにリータが頷くのだった。
マサトが地面に膝をついた。
「やっと……」
「もう無理……」
ミラとルティアも地面に膝をつく。かなりの激戦だったが、なんとか押し込むことが出来た。
「マサト、お前の負けだ」
と言いながらカラミィが槍を突きつける、直後
「グァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
マサトが悲鳴を上げて倒れのたうち回る。突然のことにカラミィらは驚いて後ずさった。
「ぁぁぁぁ……どこだ……ここ。俺は死んだはずじゃ」
マサトが言う。
「本当に戻った?」
「いや、わからない!見極めなければ」
マサトがあるフラフラと立ち上がった。先程とは雰囲気も変わった様に感じる。
「マサト、お前なのか?」
「まさか、カラミィ?俺は一体ここは?」
目の前にいるカラミィに驚いている。
「スティグマに操られてる意識はあったのか?」
「操られてる?俺が……?」
状況が飲み込めていない様子で答える。
「そうか、戻ったなら良かった!」
「ああ、ただいまって言えば良いのかな」
と言いカラミィとマサトが、向かい合う。
直後に、カラミィの杖が振られてマサトが持っていたナイフが弾かれる。
「やはり、マサトじゃないな」
とカラミィが悲しく呟くのだった。




