341話化け物へと察知
「ふぅ……」
サジャードを貫いた剣を引き抜いて血を振り払うエリアス。自らが出現させた鎖を消失させ、剣を納めようとして……
「終わってない?」
何やら感じるものがあり、再びサジャードに剣を振り下ろす。その攻撃は、サジャードの腕を斬り落とした。
頭を狙ったにも関わらず当たったのは腕だ。エリアスが動かない相手に攻撃を外すはずがない。とすれば、考えられることは1つ、サジャードが死んでいないということだ。
「まさか……」
「アヒャハハハ、イヒヒヒ……」
サジャードが立ち上がった。だが、その立ち方はまるで操り人形でも見ているかのような気分になるものだった。
「あなたはもう、狂人ですらなくなったってわけね」
「ギャハハハ!ギャハハハ!シャハハハハ!」
真っ黒に燃える目、不気味に笑う声。目の前にいるのは、狂人ですらない唯の化け物であるとエリアスは思うのだった。
「マキシマムマジック、フラッシュ!」
「聖拳ラッシュ!」
ミラの魔法とルティアの攻撃が炸裂する。苦手な属性による攻撃にマサトは、防戦となっている。
「このまま押し切りたいわね……ミラ、レンの力はいつまで保つ?」
「まだ大丈夫だと思う。ルティアよりは保たないだろうけど」
と答える。制限時間があると思われるレンのユニークスキル《インポート》。戦力アップにはなるが、気をつけなければ力が切れて負ける可能性すらある。
「マサト、戻ってこい!」
カラミィは、マサトとの距離を詰めて接近戦を行う。確実にカラミィ達が戦いは押している。
直後……ドーーン!と音が鳴り城の一部が崩壊した。一同目が釘付けになる。
「まずいわね……」
「私達も決着を急がないと!」
ミラが杖を構え魔法を放つ。魔法攻撃が鬱陶しいためミラに狙いを変えてきた。
「やばっ!私、接近戦出来ねぇや」
と声を上げ魔法を連射するが、マサトはそれをくぐり抜けてやってくる。
「ミラ!避けろ」
とカラミィが言うがマサトの剣はすぐそこまで迫っている。
斬ったとマサトも確信しただろうタイミング……
「転移!」
ギリギリの所でミラがマサトの背後を取る。そのまま杖を突きつけ至近距離で、
「マキシマムマジック、マジックスピアー!」
様々な属性の槍がマサトに炸裂して吹き飛ばした。
「冷や冷やさせるわね」
とルティアが呟く。
「転移、正確に出来る様になったか」
「うん、師匠の教えが悪くなかったってことだ!」
カラミィにミラがサムズアップで答える。
「私が確認しに行こう!」
と言いながらカラミィが先行する。マサトをかなり思いっきり吹き飛ばしたので、どこにいるか正確にわからない。
「まあ生きてるでしょうね」
とルティアが言う。相手はかなり頑丈でこれで倒せれば楽なものだ。
「いたぞ!」
カラミィが見つけた。マサトは、剣を杖にする様に立っていた。
カラミィが追い討ちをかけようとした瞬間、
「お前、カラミィ……か?」
とマサトが言った。
「嘘だろ……私がわかるか?」
カラミィが驚きの声を上げる。
「俺は……一体……何を」
「いや、良いんだ。戻ったのなら!」
魔法を迸らせていた杖を下ろして、マサトに向かう。かつての仲間が戻った、そうカラミィは思っただろう。ルティアも同様だ。
だが、ミラは……
「なんか嫌な予感が……まさか!転移!」
と言いながら跳び、カラミィを突き飛ばすのだった。




