366話賢者の無茶と弟子の無茶
「ワシらはのんびりと見学するかのぉ。マサト、お主は遊んでくるか?」
いつの間にかベルゼの隣に立っていたのはマサトだ。かつては、暖かい優しさに溢れていたであろう瞳は今は冷たく光っている。
「マサト!」
アルファードが声を上げるが、彼が反応してくれることはない。代わりに剣を引き抜いている。
直後、魔物達も進行を始める。
「魔物だけじゃなくて、マサトも!これは厄介なことに」
ハルカは刀を抜き放ちながら、ステータス外スキルを発動する。魔物+マサト、ここに来てかなり厄介な組み合わせだ。
「私がやる!マサトは、私が止める。転移!」
カラミィが前に飛び出した。突然目の前に現れたカラミィにマサトは驚きながらもさらにもう一度発動した転移に巻き込まれて消える。
「カラミィ、1人で突っ走って……不味いねぇ」
ネーヴァンが不安に感じるのだった。
「カラミィさんが、マサトを巻き込んで転移した」
「師匠が!」
レンの言葉にミラが驚きの声を上げる。
「あの子、相当無茶をするつもりよ!」
フィレンが言う。長い付き合いであるため彼女のことをわかっているのかもしれない。
「師匠は、マサトって人が好きだったから……だから、自分で終わらせようとしてる。だけど、師匠はトドメをさせるのかな……」
自分が話を聞いたときは、カラミィは確実に悩んでいた。もしかすると、最後に躊躇うかもしれない。
確かに、大量の魔物とマサトを引き離したのは正しかったと思う。現状、ベルゼも楽しんでるのか手を出してこない。
「レン、私を師匠の所に跳ばして……」
「ミラ、無茶だよ!」
エリアスが言う。マサトがどれだけ厄介かをレンによく聞かされている。
「師匠を放っておけない、絶対に後悔することになる!どうしてもダメなら自分で転移を使っていくから」
ミラはいつにも増して本気だ。これには頷かざるを得ないかもしれない。
「無茶だと分かってるか?それでも行くのか?」
「ええ、これだけは絶対に譲らない」
「わかった……」
とレンが頷く。直後にルティアが手をあげる。
「私も行くわ、回復担当がいれば少しはマシでしょ?」
「ルティア、出来れば行かせたくないんだが」
彼女とエリアスには、自分の近くにいて欲しい気持ちだった。
「大丈夫よ、守られるだけじゃないのはわかるでしょ?」
と言いながら拳を突き出してくる。
レンは、それを受け止めながらルティアの攻撃力を感じた。
「成長速度すごすぎないか?」
「当然よ、努力してるし。最悪、全力で逃げるから」
と言う。
「わかった……こっちもベルゼに狙われれば安全じゃないからな。跳ばすぞ」
と言い転移を発動する。
「無茶を言ってごめんね」
珍しく謝るミラの言葉を聞きながらレンは、魔法を発動するのだった。




