312話流星と足止め
「ガァァィァァ!」
魔人となったサジャードが巨大な拳を振り上げてエリアスを狙い振り下ろしてくる。
「避けて!」
エリアスの声に合わせるようにワイバーンが拳を回避する。そのままエリアスは、魔人サジャードの腕に飛び乗って走り出す。
しかし、それを振り払うため腕を振り回すサジャードに再び落とされてしまう。
「ガァァィァァぁぁぁぁ!」
「魔法?まずい!」
魔人サジャードの右腕に黒い球体が現れる。それをこちらに向かって放ってきた。空中のため直撃が避けられそうになく身構えるが、
「はぁぁぁぁぁ!聖拳!」
ルティアの光り輝く拳が黒い球体にぶつかった瞬間に消え去った。直後にルティアも落下を始める。
「ルティア!」
「エリアス、着地を考えてなかったわ!」
エリアスが腕を掴むと、ルティアが言う。ルティアは、考えなしに飛び込んだため着地は考えていなかった。
「重力魔法!」
このまま落下しそうになった所でミラの魔法が発動して止まった2人をワイバーンで回収する。
「助かったぁ!」
「ありがとう、ミラ」
「ふふっ、今の私ならこれ位の魔法余裕だからね。さーて、1発喰らわせてやる!」
と言いながらワイバーンで魔人よりも上に上がる。デーモン達が飛んでくるが、それも全てフィレンが確実に射抜く。
「私は、詠唱するから時間を稼いでくれる?」
とミラが提案する。
「仕方ないわね、成功させなさいよ!」
「落ち着いて頑張ってね!」
とルティアとミラがもう1匹のワイバーンに乗り移って、再び魔神に向かっていく。
「今なら、1人でできる……」
杖を構えて身体中のMPを一点に集める。
「ライトニング!」
「ファイヤ!」
エリアスとルティアは魔人に魔法を放って気をそらしている。すでにサジャードの自我はないようで、単調な動きが多い。
「全てを破壊する流星の力をここに、敵を穿ち地を平す、我が全魔法において放たれよ……」
ミラのこれまでで1番の威力が放てる気がした。
「エリアス、ルティア!準備できた。盛大に打ち込んでやる!」
ルティアの声かけに、エリアスとルティアは、ワイバーンに乗ってすぐさま離れる。
「マキシマムミーティア!」
魔人に流星が降り注ぎ周囲すらも破壊していく。元々、ディザスターのせいで崩壊した帝国なので心が痛むことはない。
「倒し切れないか……流石に、相手のHPが高い」
更地となった場所の真ん中に魔人は立っている。だが、ダメージは大きいようであちこちから血が吹き出している。
「もう少し押せばいける!」
とエリアスが剣を構えようとした所で、ルティアとミラの2人が前屈みになって膝をつく。
2人の背中にあった片翼が消失した。直後、2人は力を失ったかのように疲れた表情を浮かべる。
「時間制限でもあるのかしら……エリアスを見るに、私達の力不足よね」
とルティアが言う。エリアスの翼は未だに消失していない。
考えるとすれば、元のステータスの差が大きく関係しているのだろうと思う。
「後は私がやるから……休んでて」
と言いながらエリアスは、ワイバーンに1人で乗り込む。
「出来るだけ強力な攻撃を打ち込めたら……」
ミラのような強力な魔法による攻撃手段はエリアスにはない。それに1人では、準備する時間すら稼げないだろう。
「私も活躍しなきゃねぇ!少しは、頼れる所をエリーちゃんに見せないと」
魔人の足元にいつの間にか現れたメルフィーユが剣を振るうと魔人の足と地面を凍らせて足止めする。
「メルフィーユさん!」
「何か切り札でもあるかい?」
と言われて、エリアスは大剣を取り出すのだった。
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