297話イージスへと噂
「帝国に行くにあたって、連れていきたい人がいるんですけど良いですか?」
とレンが提案する。
「戦力に心当たりがあるのかしら?」
「ええ、頼りに出来ると思います。片方は攻撃に特化して、もう片方は防御に特化してる本当の姉妹のように仲が良い2人です」
とレンがフィレンに対して答えると、エリアス達はわかったようだ。自分たちには、まだ仲間がいるのだ。
「2人は迷宮都市にいますので、迎えに行きます」
「はぁ〜、相変わらずの賑わいね」
迷宮都市イージスの街を見ながらルティアが呟く。前に来ていた時と変わらない様子だ。
「2人はどこにいるかなぁ?案外、そこら辺の人に聞けば教えてもらえるかもよぉ」
ミラが提案して近くのお店に駆けていく。少し店員と話した後に戻ってきた。
「ギルドの方に行く道を歩いてたって〜、やっぱりアンナ達は目立つからね」
とのことだ。
アンナ・フェロルとアイリ・ガーラム。この迷宮都市のトップのギルド紫紺の絆のメンバーである。この2人を知らない者はほとんどいないことだろう。
それは、レン・オリガミにも同様のことが言える。
「おい、あれ破黒の英雄……」「あれが50階層突破者」「武道大会でも大活躍だったな」
と話し声が聞こえてくる。
「ふふっん!凄いでしょ、うちのレンは」
ルティアがドヤ顔を決めている。何をやってるんだと思いながらもギルドの方に向かうことにした。
「あの狼人の女の子って、彼が準決勝で告白してた子よね〜。素敵だわぁ」
「美しい髪に、スタイル……どうやってるのかしら」
エリアスを褒める声も聞こえてきた。エリアスは、照れているようだ。
「良いなぁ、噂されてる」
とミラが言い出す。
「あんまり良いことばかりじゃないぞ?陰口が聞こえることもあるんだから」
世の中いい人ばかりでない。聞こえないのを良いことに好き勝手言う人もいるものだ。
「おい、あの金髪の女と眼鏡の女よぉ……」
と冒険者が言っているのが、聞こえた。
「ミラ、私達のことよ!」
「おお!楽しみ〜」
と2人仲良く耳を澄ませている。
「確か、良く喧嘩してるおてんば娘って言われてるよなぁ」
「違いない、間抜けなツラしてるからなぁ」
予想外の悪口だ。これには、ルティアとミラも顔が引きつっている。
「だから言ったろ?……うぉ……」
とレンが言った時、2人は凶悪な目付きで冒険者達を睨んでいた。もう魔眼じゃないのってレベルの目だ。
「ほらっ、さっさとアンナ達を探しに行くよ」
エリアスが言うと、ルティアとミラはすぐに表情を戻して歩き始める。ふざけ続けたりして言うことを聞かないと拳骨が飛ぶことがあるらしい。
「あなた達っていつもこうなの?」
「まぁ、明るい方がいいだろ?」
マグノリアの質問に答える。
「そうね、そうやって生きるのが1番よね」
ギルドの目の前までやってきた。
「じゃあ、俺とエリアスで中に入るから入れ違いにならないように3人はここで待っててくれ」
「「ラジャー」」
とルティアとミラが敬礼する。そんなポーズをルティアは、どこで覚えてるのだろうか……
「冒険者とかに絡まれたら、ギルドの方に入ってきて……と、その必要はないかな?」
エリアスが途中まで言いかける。みんなこれまでと比べものにならない実力をつけているのだ。冒険者に遅れをとることはないだろう。
レンとエリアスは、扉を開けてギルドの中に入る。中は冒険者達で賑わっている。
扉を開けて入ると何故か目立つ様だ。みんなの視線がこちらに向く。学生時代にも自習中にトイレに行って戻ると扉を開けた瞬間に一斉に視線が向いたものだ。
学生の時は、みなレンだと分かるとすぐに視線を戻していたが、ギルドではそうでない者が多い。
「破黒の英雄だ……」
「断黒の刃もいる……」
ここまで知られているものなんだと、冒険者達のリサーチ力に関心する。
ギルドを見回すと、掲示板を眺めている赤髪と青髪の姉妹を見つけるのだった。




