296話夫の願いとレミの終わり方
「そういえば、父さんにあったんだよ」
「え?夢の話?」
レンが突然言い出したことにレミは疑問の表情を浮かべる。
場所はフェレンス、王都から再び戻ってきていた。帝国に出立する時間はまだ決めていないため、やれることをやっておきたいと思っている。
「いや、多分本物だと思う。神との融合で、死後の世界につながったのかもしれないとか言ってたし。俺の称号にも《黄泉帰り》ってのがあるから」
「レンに何を言ってたの?」
エリアスが聞いてくる。現在部屋には、レンとエリアス、レミの3人がいる。
「俺の名前は、ライ・サトウ!そして、愛する妻の名前はレミ・サトウだって言ってたな」
その瞬間、プシューと音が聞こえた気がした。レミが真っ赤になった顔を手で隠している。
「本物……よ。本当に調子の良い人なんだから……」
「素敵な旦那様ですね!」
とエリアスが反応する。お母さんはかなり恥ずかしそうだ。
「多分、これも会えた原因だと思う」
と言いレンは、レミから貰ったペンダントを渡す。
「あの人のね」
「ああ、これがなかったら俺は、神聖国で本当に死んでいたんだ。父さんが出てきて助けてくれた。意識を失ってる間は、ずっと父さんが鍛えてくれた」
こちらに戻って感じたが、起きた時身体は鈍っていなかった。それに前よりも動きが良くなっている。
「あの人らしいわね……まさか、そんな形で会うことになるなんてビックリ」
父のことを話して、最後の言葉を伝えなければ思いレンは話す。
「父さんからお母さんに、伝えて欲しいって」
「そう、何かしらね。あの人のことだから、格好つけたことを言いそうだけど」
そういえば格好良いこと言っちゃうぞ!とか言っていたなと思う。
エリアスもどんな言葉だろうと興味津々のようだ。
「置いて行って悪かったけど、ばぁーさんになるまでこっちに来んなよって」
レンの言葉が終わった直後、こちらを向くレミの頬に涙が流れた。
「バカね……悪いなんて思ったことないわよ……」
目の前にいるレンが夫と重なったのか、目の前にライがいるかのように返事をする。
「こうなったらうんと長生きして、あの人が早く来てくれって言うくらいまでやってみようかな」
スッキリとした表情を浮かべて、レミがレンとエリアスに告げる。
「父さんがお母さんのことめちゃくちゃ大好きなのは良くわかったからなぁ……絶対に待ちきれなくなるかも」
「レンのお父さんとお母さんの関係……憧れるなぁ」
とレンとエリアスが呟く。
「スティグマとの戦いが終わって、レンとエリアスの子供が見られたら私も満足して逝けるかな」
「え!ちょ、なかなか気が早いな!」
「えっと……そのぉ……まだ」
レンは驚いて、エリアスはモジモジしている。そんな2人を見ながらレミは微笑んでいた。
この2人のことを最後まで見届けることが出来るのだろうか……といつ終わりが来てもおかしくない世界で、夫との約束を果たしたいものだとレミは思うのだった。




