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293話義手とマグノリア復活

「マグノリア……」


目の前の人物の名前を呟く。かつて、迷宮都市イージスで争った相手だ。敵である彼女がどうしてここにいるのか気になる所ではあるがエリアス達の様子から剣を抜く必要はないだろうと思った。


「すぐに斬りかかってくると思ってたました」


「周りに誰もいなかったらやってたかもな?イージスで会った時と随分と変わったな腕がないし」


彼女は、どこか疲れた表情をしている。腕がないというのもかなり気になる所だ。


『その……あの腕は、マスターが消したのですよ。彼女に向かって最後に《デリート》を打ったのが当たってたらしいです』


ナビゲーターの返事に、あら……と冷や汗が流れる。


周囲もレンの反応から察したんだな……という表情をする。


「えっと……ごめんなさい?」


腕消してしまったって相当やばいよなと思わざるを得ない。


「いいえ、お陰でスティグマの呪縛から解放された。あなたが私の呪いを消してくれたのよ」


「私も倒れてる所をマグノリアに助けてもらったの。難しいかもしれないけど、彼女は味方だから仲良くして欲しいというか……」


とレミが言う。


『マグノリア、彼女には夫と子供がいたそうですが、彼女を狙ったスティグマによって殺され彼女自身は呪いにより洗脳されていたそうです』


スティグマは、本当にふざけたことをする。平気で人の人生を弄んでいるのだ。


「て、ことはシャンやサジャードも?」


「シャンならまだしも、サジャードはないと思うね。あれは、根っからの狂人」


とマグノリアが答える。


全てのスティグマ幹部が善とは限らないようだ。これまたややこしいことになるなとレンは思うのだった。



『マグノリアは、腕を失ってから魔法が上手く扱えなくなっているそうです』


というナビゲーターさんの言葉を聞きどうにかしなければ思う。敵だったとはいえ、母を助けてくれた人だ。


向こうも腕を消されたことに怒ってはいないし、むしろ感謝していた位だ。


だが、やはり治したいと思ってしまう。



「それで良いと思うよ。やっぱりレンは素敵な人だね」


エリアスの言葉が優しくて嬉しい。



マグノリアに腕をどうにか治したいと伝えると彼女もよろしく頼むと言うことだったので腕の再生を試みる。



結果としては、厳しいようだ。再生のスキルを使っても腕が生える様子はない。もしも神と融合していた死人を蘇生したあの時のレンの力であれば出来たかもしれないが、今は出来ない。


「私のために無理はしないで。生きているだけで、十分やっていけるのだから」


とマグノリアは言うが、どうにか治したい気持ちが強くなった。



結果としては、錬金魔法によって義手を創り出すということにおさまったのだ。義手は、見た目はほとんど人の腕と変わらない見た目で、時間をかけた成果があったというものだ。


「これで、どうにか繋がらないか?」


レンのスキルを総動員して、義手とマグノリアの神経を繋げる。難しく根気のいる作業だったがなんとかやり遂げた。


「動く、これなら……ファイヤ」


マグノリアが魔法を唱えると手から炎を出していた。


「問題はなさそうか?」


「ええ、ありがとう。レン君」


と言われる。君付けは、なかなか気恥ずかしい。



「これで、長距離転移も使えるだろうしバンバン頼って頂戴」


というのだった。

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