286話別れと目覚め
「身体が薄くなってきたなぁ、とうとうお別れの時間って感じだなレン」
ライに言われて自らの身体を見ると確かに透けているのがわかった。この場所にいられる時間はもう少ないのだろうと感じる。
「ようやく、ボコボコにしてくる父さんとお別れかぁ」
と言いながら後ろを向く。
「おいおい、鍛えられただろ。ん?おいおい、まさか泣いてんのか、レン」
「泣いてないよ。早くみんなの所に戻りたいし」
と顔は向けずに答える。
「そーだ、母さんと会えてるなら俺からの言葉でも伝えてもらえるか?格好いいこと言っちゃうぞぉぉ!」
先程までの様子と打って変わって明るい調子で言い始める。
「母さんにね、何が言いたいんだ?」
「置いて行って悪かったけど、ばぁーさんになるまでこっちに来んなよって。伝えてくれ」
どこか悲しさのようなものが父からは感じられた。
レンの身体は先程よりも透明になってきていた。
「じゃあね、父さん。ありがとう。会えて良かった!」
「俺もだぜ、愛する息子よ!じゃあ、頑張れよ!」
バシンとライに背中を叩かれる。
それは、痛かったがどこか優しくも感じるものだった。
眠気のようなものを感じながら、レンの身体は今いる世界から消えていくのだった。
ドンっ!
と爆発音がなり、その瞬間にレンは目を覚ました。自らの近くで魔法の爆発が起きたのだ。
「危ないねぇ……片方でも倒せたら良いんだけど」
と言う声を聞き前を見ると目の前にネーヴァンの頭があることから自分が背負われていることに気づく。
「ここは……」
状況を飲み込めずに呟くと、言葉が返ってくる。
「おお!レンが起きたぞ、ネーヴァン!これなら戦いやすくなるぞ」
とカラミィが言う。
「それは助かったよ。ずっと背負って移動するのも堪えるねぇ」
「すみません、今って何が起きてるんですか?」
再び魔法が降ってくるがネーヴァンとカラミィが回避する。
「スティグマに襲撃されてんのさ」
「またスティグマが……あいつらは何が目的なんでしょうかね」
とレンが言うと、カラミィがじっと見つめてくる。
「そりゃレンの命だよ」
「なるほど、俺の命ですか〜……えっと……ほんとに?」
と聞き返してしまう。
「レンの命だね、リディエル神聖国で大いに活躍したからだろうね」
走りながらネーヴァンが言う。
「そうだ、俺は神聖国で……ここって王国ですよね、どれだけ眠って」
「詳しくは、スティグマをどうにかしてからにしようじゃないか。アルファードがマサトと戦ってて、こっちの追手は3人だ。まぁ、暗殺部隊の筆頭は、分身してるみたいだけど」
と言いレンの身体を固定するために巻かれていた紐を解く。
「ふぅ……身体は、動くな」
どれだけ寝ていたかはわからないが調子は良いようだ。地面に足をつけて呟く。
レンの命を奪うためスティグマが迫っていた。
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