273話消される結界と賢者の肉弾戦
「さーてとぉ、結界を無くすとしますかぁ〜」
と言いながらシャンが取り出したのは、かつてレン達に使ったのと同じ魔法道具だ。それを城に向かって発動する。
「ふざけた道具を使いやがって!」
とカラミィが言った瞬間に、王城に張ってあった結界が消失する。
「よし、レン・オリガミを探してぶっ殺せ!他に誰かいるならそいつらも殺していけ!」
とスティグマ暗殺部隊が窓や庭から王城に侵入していく。連携が取れた動きで、数多の部屋を見ていく。
しかし、
「気配すら感じないということは、誰もいない?」
「そうだ、この城には誰もいない。すでに避難は完了しているわけだ。オトリに良い魔法道具を使ってくれたこと感謝するよ」
と正面からは、美女が歩いてくる。
「あ?お前は誰だよ?」
「おや、さっきまで戦っていたのだがな……ならば、名乗ろう!私の名は、カラミィ・テーリス。救国の英雄が1人、そして賢者だぁ!」
と杖を構える。
「おいおい、まさかさっきのガキか?一体なんでまたそんな姿に」
「お主らが魔法を無効化したからだろう?それで本来の姿に戻ってしまった。私は、子供の姿の方が好きなんだがな〜」
と笑う。
「だがよぉ、賢者様?魔法を封じられたのに城にはいってくるたぁ随分と頭が足りないんじゃないか?」
周囲にスティグマが集まり出して、カラミィを取り囲んでいる。
「全く、どいつもこいつも馬鹿だ馬鹿だと、賢者をなんだと思っておる!」
苛立たしげにカラミィが呟く。
「そりゃあ馬鹿だろうよ!ここで、英雄を討ち取るぞ」
と手を振り合図を出す。
すぐさま数人のスティグマがカラミィにナイフを振るう。
だが、
血が流れ倒れたのはスティグマの方だった。
「どうなってやがる?」
「ふんっ、私が魔法だけで英雄になったと思うか?さあ、かかってこい!ここからは、接近戦だ!」
カラミィが持っている杖からは、刃が出ている。仕込まれていたのだろう。それにより、あっさりとスティグマが命を取られた。
「お前ら!全力でかかれ!」
「どこまでやれるか、相手をしてやるさ!」
とカラミィが杖を構える。
「ふぅ……全くとんでもないね。お前達、怪我してる奴は私に見せな!」
ある囮の馬車の中でネーヴァンが冒険者に声をかける。
「助かります、聖女様!」
負傷した冒険者の治療を行う。
ここまでネーヴァンが戦いに参加しなかったのは、近くで眠っている人物にある。
「奴ら本当にこいつを狙ってるんですね」
「そうだねぇ、王族も一緒に殺してしまおうと考えてるのもあるだろうけど、本命はレンだろうね」
と答える。ネーヴァンは、レンを守るために動いている。
城すらも囮にしての行動は、それだけネーヴァンの方が守り切れると踏まれているのだ。
「アルファードもマサトで手一杯、カラミィは、これは、肉弾戦でどこまで持つかねぇ」
マサトの存在はとても面倒だ。それにネーヴァンは、今回がはじめての遭遇だ。本当にマサトが存在していることに驚いてすらいた。
「お前達は、出来たらカラミィの援護に王城に向かってくれないかい?だけど、命が危ない状況なら逃げてくれて構わないよ」
とネーヴァンが言い、背中にレンを背負って馬車から出る。移動を始めるのだ。同じ場所にずっと留まるのも良いこととは言えない。動くことにもリスクはあるが、前者の選択をする。
「筆頭クラスの敵が他にも大勢いたら厄介だねぇ。そうならないことを祈りたいが」
と言い走り出す。
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