203話決勝戦と対アルファード
『それでは選手の紹介をしていきましょう。もちろん彼がここまで上がってくるのは必然!王国最強の冒険者、アルファード・シルフォンだぁぁぁ!』
おおおおおぉぉぉ‼︎
会場が揺れるような感覚をレンは感じた。なんだか、サッカーのアウェーでの試合は、こんな気持ちなのかもしれないなと思う。
『毎年我々にとてつもない力を見せてくれるチャンピオン!今年も決勝戦まで上がってきた猛者を相手取ります!』
「これまでの試合じゃそこまで楽しめる相手はいなかった。だが今年は違う。いつか俺を超える冒険者との試合が出来るわけだからな」
ニヤッと笑って、アルファードが話す。
「まだ負けないってことか」
とレンは呟く。
『続いてレン選手です!ここまでの強敵を倒してチャンピオンの前に立ちました。今後も活躍間違いなしの冒険者であることが間違いありません!伝説の1ページを目にすることになるか?』
実況の言ってることなかなか嬉しいなと思いながらレンはアルファードを見据える。
「チャンピオンー!」「頑張れ、ボウズ!」「すぐに負けんなよ!」
観客の応援も聞こえてくる。自分に向けての応援もあったため安心した。
「フィレンやハルカがあれほど気に入ってるんだ。すぐに終わらないでくれよ?」
アルファードが直剣を取り出す。短剣ではないということにレンは、少しはやる気を出させることが出来ていると感じた。
「ええ、そう簡単にはやられませんからね!」
とレンは剣を抜く。
レンとアルファード、2人の雰囲気が変わる。普通の人であれば確実に近づくことが出来ない雰囲気だ。
『それでは!王都武道大会、決勝戦開始!』
「転移!」
コールがなされた瞬間にレンは、魔法を使い跳ぶ。アルファード相手に出し惜しみなどしない。
「黒炎、蒼炎!」
黒と蒼の炎を剣に纏わせたレンがアルファードの目の前に現れて剣を振るう。
「良いスピードだな!よし、楽しくなってきた」
レンの二刀流の攻撃に対してアルファードは、剣1本で対抗している。レンは、剣撃の速度を上げつつ詠唱を始める。
「魔法陣展開!」
とレンが呟き、上に魔法陣が現れる。
「戦いながら詠唱か、やるな」
アルファードからの攻撃を剣2本で受け止めながらレンは続ける。
「全てを破壊する流星の力をここに……」
何かをしながらの詠唱はなかなか難しいものだ。ましてや相手がアルファードでは、一瞬でも気を抜けば失敗に終わる。
「敵を穿ち地を平す……我が全魔法において放たれよ」
アルファードに向かって力一杯剣での攻撃を叩きつけて魔法を完成させる。
「マキシマムミーティア!」
アルファードに向かって大量の隕石が降り注ごうとしていた。
「接近戦も出来て魔法も優れてる……やるな」
「転移!」
とレンはすぐさまアルファードから距離を取る。自分も巻き込まれるため後ろに下がったのだ。
『とてつもない魔法がアルファード選手に降り注ぎます!』
「やべーだろあの威力!」「やったんじゃないか?」
爆風が収まり、砂煙が舞う正面にレンは目を向けながら力を抜くことはしない。
「さあ、まだまだ見せてくれるんだろう?」
砂煙が晴れて、特に大怪我を負った様子のないアルファードが中から出てくる。
「やっぱり効かないか!ナビゲーターさん」
『はい、頑張りましょう!』
レンは頭上にマジックボックスを取り出す。
「準決勝で使ってた奴か。ハルカが戦いたがってだぞ」
「うへぇ……それは」
アルファードの言葉にレンは返す。戦闘狂であるハルカとはあまり戦いたくないものだ。
「さあいくぞ!」
アルファードがレンに向かって仕掛けてくる。
「形状変化、槍!」
マジックボックスを槍状にしてアルファードに向かわせる。アルファードが剣で槍を弾いていくがすぐさま体勢を立て直して追撃させる。
「これは、本人を叩かないと厄介だな!」
離れた距離からアルファードが言い剣を大きく振り下ろしてくる。斬撃が放たれて向かってくる。
「ヤバイっ、盾!」
近くのマジックボックスをかき集めて盾型にしてすぐさま防御しようとするが盾が切られてレンの腹部を切っていく。
「少しずれたか?おおっと!」
レンに攻撃を当てたため攻撃が止んだと思ったアルファードだったが、槍が止まらず自分を狙ってきたため回避する。
「効くなぁ……」
ナビゲーターが時間を稼いでる間に怪我を治していく。あんなにあっさりと盾を突破されるとはさすがは英雄の中の英雄だと思った。
レンは、弓を取り出してアルファードに向かって放つ。当然アルファードは、それを弾き返す。
「この程度じゃ、俺にダメージを与えることは出来ないぞ?」
とアルファードが言うがレンは構わず矢を放つ。
「当たりが入ってますよ?」
アルファードが矢を弾いた瞬間にとてつもない爆発が起きる。レンのMPを大量に込めた矢を仕込んで放っていた。
「おお、おっかないな。試合で怪我をすることなんて滅多にないから新鮮だ」
とアルファードが言う。ようやく少しのダメージが入ったようだなとレンは思う。
「さてと、じゃあ上げていくか!」
とアルファードが言いぴょんぴょんと跳ねる。
「ん?」
とレンが呟いた瞬間には、アルファードが消えていた。
『右です!』
とナビゲーターが言った瞬間、すぐさまマジックボックスを盾に張ると衝撃が走った。
「ぐうっ!」
衝撃を受けてレンはマジックボックスごと吹き飛ぶ。なんとか着地を決めるが、休憩が許されそうにはない。アルファードが迫ってきている。
レンも剣で攻撃を受け止めるが、直剣とは思えない威力を感じる。
「ハンマーで叩かれてるような気分だ!」
腕に痺れを感じながら、後ろに下がっていく。
『アルファード選手、ここでペースを上げていきます!レン選手、防戦一方か?』
「マジックバレット!」
至近距離からの魔法を放つ。だが、アルファードは怯まずに剣を振ってくる。
レンはマジックボックスでガードしながら凌ぐ。
「頑丈すぎるだろ……」
と呟くのだった。
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