今日もメタルスライム狩りだ!
「はあ、ごちそうさま。やっぱりタマゴサンドは美味しいよね!」
タマゴサンド三種盛りをかけらも残さず綺麗に平らげたシャムエル様は、今はご機嫌で尻尾のお手入れ中だ。
食べている間はこっそり尻尾をもふらせていただいたが、ああなってはもう尻尾を触らせてもらえない。
苦笑いして手を引っ込めた俺は、空になったマイカップにおかわりのコーヒーを入れた。
「それで今日はどうするんだ? 良い天気らしいから、もう少しここでメタルスライム狩りをするか? それとも、もう少し奥へ行く?」
今回は、メタルスライムの出現地へ新人さん達をつれて来るのが一番の目的だったから、一応その目的は達成できている。
それに、それぞれ各一匹ずつとはいえメタルスライムを自力でテイム出来たんだから、これも良し! だよ。
ボルヴィスさんとアルクスさんに至っては、それぞれ五匹もテイム出来たんだからさ。
俺の質問に、おかわりのコーヒーを用意していたハスフェルとギイが揃って振り返った。
「そうだな。ギイとも言っていたんだが、もう少しラメ入りのジェムは確保しておきたいから今日のところはまたメタルスライム狩りをしようと思うが、どうだ?」
最後は、そう言いながらリナさん達や新人さん達の方を振り返る。
当然声が聞こえていた彼らも、揃って笑顔で頷いたり右手を上げたりした。
「おう、俺はそれで構わないよ。皆はどうだ?」
「それで良いで〜す!」
「俺達も、ラメ入りジェム、集めたいです!」
「それでお願いします!」
アーケル君達や新人さん達もそれで良いみたいだ。
「もちろん、俺達はまた新しいメタルスライムのテイムを目指して頑張りますよ」
ボルヴィスさんの言葉にアルクスさんも笑顔で頷いている。
どうやら彼らは今日も新しい子をテイムする気満々みたいだ。
だけど、俺達がコンプリートした時ってお互いに色がダブった時には融通し合って、しかも動体視力が最高な従魔達にも手伝ってもらって全色揃えたんだよな。
いくらお二人の動体視力が優れているとは言っても、茂みから飛び出して必死で逃げて跳ね飛んでくるメタルスライムの色なんて咄嗟に判別出来るものなんだろか?
若干心配になって二人を見ると、俺の視線に気付いたらしいボルヴィスさんが不思議そうにこっちを見た。
「ん? どうかなさいましたか?」
「いや、テイムも後半に入ると色がダブらないように自力で捕まえるのって大変かと思いましてね。お手伝いは必要無いですか?」
俺の言葉に、ボルヴィスさんとアルクスさんは顔を見合わせて笑顔で頷きあった。
「ご心配いただきありがとうございます。その苦労も自力テイムの楽しみ、いやこれこそが醍醐味だと思っていますので大丈夫ですよ。もしダブっても、もちろん捕まえた子は責任を持ってテイムします。メタルカラーの子なら、何匹いても大歓迎ですよ」
得意そうなその言葉に、聞いていた俺達も笑顔になる。
「分かりました。じゃあ、頑張って自力でのメタルマスターの称号目指して頑張ってください」
「ええ、もちろんそのつもりです」
満面の笑みで頷く二人に、俺達は揃ってサムズアップを返したのだった。
って事でひとまず張っていたテントを撤収した俺達は、泉はそのままにしておいてメタルスライムの出現する茂みへ向かった。
まあ、どうせ今夜もここに泊まるから泉はそのままにしてもらったんだよね。
もちろん、また別の場所に移動する時には元に戻してもらうけどさ。
ちなみに、俺達が食事をしている間も水遊び大好きチームの子達は、場所を交代しながら嬉々として水遊びを楽しんでいた。
それにしても犬科の子達や鳥達は、本当に水遊びが大好きだよね。
そしてこちらも水遊びが大好きなスライム達も、ピンポン玉サイズになって豪快に噴水に噴き上げられて大はしゃぎしていたよ。
もちろん、俺達が食べている間はサクラも泉へ戻って一緒に水遊びを楽しんでいたので、大はしゃぎするその様子を見て密かに安心していた俺だったよ。
そしてその日は一日中、時折交代で休憩を挟みつつひたすらにスライム狩りを続けた俺達だったよ。
従魔達はもう大はしゃぎでバシバシ逃げてくるスライムを叩き落としていたし、リナさん達は交代しながら術で豪快にまとめてやっつけていた。
うん、何回見てもあの過剰重力は怖すぎるよ。
なんて言ったら良いのか分からないけど、他の火や風の術とは何かが根本的に違う気がする。
あれは駄目だって言ったハスフェル達の気持ちがよくわかるよ。
そして俺は、ここはヘラクレスオオカブトの剣ではなく、バイゼンで購入した愛用の硬鞭を使って延々とスライム狩りをしていたのだった。多分、自力でもそれなりの数のラメ入りジェムを確保出来たはずだ。よしよし。
日が暮れたところでスライム狩りは終了となり、その場を撤収した俺達は昨日のベースキャンプ地へ戻った。
そしてボルヴィスさんとアルクスさんは、何とこの日一日だけでそれぞれ全色のメタルスライムをテイムするのに成功して、自力でメタルマスターの称号を確保したのだった。
いやあお見事。
しかも聞いたところ、それぞれ一番定番の銀色の子が一匹ダブっただけで、それ以外はダブりもなかったらしい。
どれだけ動体視力と反射神経いいんだよ。
ずらっと並んだそれぞれの紋章を刻まれて嬉しそうな新人スライム達を見て、本気で感心した俺だったよ。
2025年3月14日、アース・スターノベル様より発売となりました「もふもふとむくむくと異世界漂流生活」第十巻の表紙です。
ついにもふむくも二桁の大台に突入です!
改めまして、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
今回も引き続き、れんた様が表紙と挿絵を最高に素敵に可愛らしく描いてくださいました。
連載開始当初からの目的地であったバイゼンに、ようやくの到着です!
到着早々色々と騒ぎが起こります。
そして貴重な女性キャラも登場しますよ!
その貴重な女性キャラを描いた今回の口絵も大爆笑させていただきましたので、どうぞお楽しみに!
「もふもふとむくむくと異世界漂流生活〜おいしいごはん、かみさま、かぞく付き〜」
コミックアース・スター様にて、コミックス第四巻が2025年3月12日に発売となりました!
もちろん今回も作画はエイタツ様。
ハスフェルに続きギイも、それからフランマもコミックスに登場です!
いつもながら最高に可愛いもふもふむくむく達と、美味しい食事!
そして、地下洞窟と恐竜達とテイム!
盛り沢山なもふむくコミックス第四巻を、どうぞよろしくお願いします!




