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俺の大学の先輩は眼鏡っ娘を好きすぎる

「今や眼鏡と言うのは数ある萌え要素の中でもトップクラス!さらに相性のいい要素と組合わさることで神にも等しい存在になることが出来るんです!」

「はっはぁ、そうですか」

「単体でもトップクラスなのに、他のと組合わさるとかもう神ですよ!」

「そっそうですか」


なんの特徴もない服装のきれいな先輩は眼鏡っ娘が大好きなそうです。

先輩本人も眼鏡をかけており、それがとても似合っている。

まぁそれはいいんだ。

誰がどんな趣味してようが俺には関係ない。

・・・・・・だけど。

何でこんな事になったんだっけ?


■□■□■□■


午前中だけしか講義のない今日。

俺はもう帰れるわけだ。

姉ちゃんは声優の仕事で今日もいない。

今度こそゆっくり寝たい。


ハァァアタタタタタタ!


姉ちゃんからメールだ。

送られてきたメールには写真も添付してあった。

そして本文は『眼鏡っ娘お姉ちゃんですっ♪似合う?』だった。


あの人眼鏡かけるほど悪くないだろ。

うん、とだけ書いてメールを返した。

変に文句言うとあとが怖いし。


「君」


誰かが女性に呼ばれてますね。

俺には帰って昼寝と言う使命と義務と誓約と制約があるから。


「あれっ、きこえてなかったかな?君ですよ君」


誰だよ?

呼ばれてんだから早く答えろよ。


ガシッ


「君ですよ」

「俺?」

「はい」


何この反則的に眼鏡が似合ってる美人。

早く離れないと何かしらの災難に出くわしそうだ。


「ではさよなら」

「待ってください」

「はい、さよなら」

「そんな頑なに帰ろうとしなくてもいいじゃないですか」

「取り敢えず手首離して」

「帰りませんか?」

「・・・・・・」

「離せませんね」

「帰らないから離して」

「はい」


地味に握力あって痛かったんだよな。

何て言うか、是が非でも逃がさないみたいに握られてた。

俺はあれか?

お前の親の仇か何かですか?


「三年の金森(かなもり)林檎(りんご)と申します」


先輩でしたか。


「二年の南夏夜です」

「南くんですね、分かりました。ところで南くんは眼鏡をかけた女の子をどう思いますか?」


この人も眼鏡かけてるし、悪くは言いにくいだろ。


「まぁ、いいんじゃないですか?」

「それはつまり嫌いか好きかで言うと?」

「好き、ですかね」

「よし」


何がよしなんですか?


「南くんを我眼鏡っ娘愛好━━━━━━」

「お断りします、ではこれで」

「ちょっと待ってください」

「手首痛いですって」

「せめて部室でお茶だけでも」

「・・・・・・」

「入らなくてもいいから」

「分かりました」


先輩に連れられキャンパスを歩くこと五分くらい。

つれてこられた部屋は眼鏡をかけた少女や眼鏡その物で一杯。

中々にカオスだ。


カチッ


何でドアの鍵閉めるんですか?

そのタイプって内からも外からも鍵じゃないと開けれないやつですよ。

もしかして、退路を断たれた?


「はい、紅茶でよかったですか?」

「お気になさらず」

「じゃあ話しますね」


適当に聞き流しゃいいか。


「そもそもこのサークルは十五代も続く由緒正しいサークルなんです」

「でも非公認サークルですよね?」

「口を挟まないでください」

「すんません」

「でも今のこのサークルには私しかいません。どういう意味かわかりますか?」

「先輩が卒業したら無くなりますね、このサークル」


そこで俺に後継者になってほしいと。

全力で断ってやる。


「そもそも眼鏡とは何かわかりますか?」


視力とかの補強でしょ?


「萌え要素です」


言い切りやがったぞこの人。


「今や眼鏡と言うのは数ある萌え要素の中でもトップクラス!さらに相性のいい要素と組合わさることで神にも等しい存在になることが出来るんです!」

「はっはぁ、そうですか」

「単体でもトップクラスなのに他のと組合わさるとかもう神ですよ!」

「そっそうですか」


そっか、こう言う経緯だったのか。


「さて、入部ありがとうございます」

「・・・・・・はぁ!?」

「えっ!?」

「何素で驚いてるんですか?殴りますよ」

「だって今のは新入部員に聞かせる話ですよ?それを聞いたってことは、あなたはもう眼鏡っ娘愛好団もといグローバルメガネアソシエーション、通称GMAの一員です」


いろいろと突っ込みどころがあるがまずは・・・・・・。


「何だよその名前。めちゃくちゃとかのレベルじゃねぇぞ」

「私に言わないでください」

「じゃあ誰に言えばいいんだよ」

「創設者さんですかね?」

「ちなみに聞くがその創設者ってのは誰だ?」

「私です」

「えっ?」


十五代続いたら由緒正しい非公認サークルなのでは?

あんたが創設者だとまだ多くても三年しかたってないけど。


「という訳で、入部ありがとうございます」


まぁ、来なければいい話だし。


「じゃあ俺用事あるんで開けてください」

「もっと話聞いてください」


いや、そろそろって言うかもう手遅れかもだけど姉ちゃんが怖くなってくるから。

何でかは知らんが俺が何時に帰ったとか全部その日の内に把握する人だからな。

さらに俺の大学の講義の予定も、例え変更されてても知ってるし。

マジで怖いよ。


「マジで急ぎますんでお願いします」

「・・・・・・はい」


しゅんとしてると可愛くみえる。

思わず撫でてしまうタイプの愛らしさを持った先輩だな。


ガチャ


「じゃあ失礼しました」

「明日も講義が終わり次第来てくださいね!」

「はいはい!」


急がないといつもの時間に家につけなくなる。

俺は午前中だけの日はだいたい一時半から二時の間に帰宅してる。

もちろん姉ちゃんも知ってて、それを過ぎると『何で今日は遅かったの?』と聞かれてしまう。

嘘は通用しない。

ダッシュすれば四十五分の電車に間に合う。

そしたら二時には家には入れる。

その夜、姉ちゃんにこれでもかと言うほど問い詰められ、サークルに入ったとだけ言い、やっとの思いで寝ることができた。

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