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番外編 俺の夏の経験

番外編と言うことでいつも以上に短めです。

それは暑い夏の夜こと。

旅から帰って来てしばらくしたあとのはなし。


「くそあちー」


まじで脳がとろけるレベル。

サークルも無いし姉ちゃんもいないしやりたいことはないし食欲も無い。

ソファーで項垂れてテレビのおと聞くくらいしかやることない。

こんな日に限ってエアコンさんはお仕事をボイコット。

かといって扇風機は押し入れの奥深くに眠り、それはまさに洞窟の奥の宝物。

少し頑張れば取り出せるけど面倒って思わせるところまでまるで同じ。

はぁ。


プルルル


「はいもしもし」

「私メリーさん、今大学にいるの」

「そうですか、それじゃあ」


ただのイタズラ電話ですかそうですか腹立つ。

誰だよメリーさんって、あんな幼い声聞いたことねぇぞ俺。

てか電話番号変えるか。

取り合えず姉ちゃんにはメール、残りの奴等には履歴から電話かけて教えておこう。

作業完了から三十分。


「もしもし」

「私メリーさん、今スーパーに居るの」

「そういや今日セールだったか、晩御飯のお使い?」


少しからかってやろう。


「えっ・・・・・・うん」

「お使いできて偉いなぁ」

「えへへ、メリーさん偉い?」

「偉い偉い。でも子どもはそろそろ帰った方がいいよ、日も暮れてるしさ。じゃあな」

「うん、バイバイ」


何だ、素直な言いこじゃないか。

まったくこんな時間に親は何させてんだか。

誘拐されたらどうすんだよ。

はぁ、俺もそろそろ寝るかな?


プルルル


「もしもし」

「私メリーさん、今公園にいるの」

「お使いの帰り?寄り道しちゃダメだよ」

「してないよ」

「そうなの?」

「うん、メリーさん偉いこだから寄り道してない」

「そっか、ところでその公園の話しってる?」


いくらガキでもイタズラ続けるようじゃ俺も怒る。

まぁこれが効くのかはわからんが。


「知らない、教えて」

「後悔しない?」

「うん!」

「その公園で少し前に首吊り自殺があったんだ、それから丁度居間くらいの時間になると出るようになった。いつも決まって自殺者の霊は遊びに来てる女の子の後ろに音もなく近づいてきて、ほら今もメリーちゃんの後ろに━━━━━━」

「いやぁぁ!」


あっ、切れた。

まぁ自殺なんて嘘だけどな。


「もしもし」

「ふぇぇぇ、ここどこー?」


私メリーさん忘れてますよメリーさん。

それに号泣。

一度家に呼んで送ってやるか?

いやでも不審者に見られるの嫌だし。


「あっ家見えた」

「そう、よかった」


ピーンポーン


「はーい、今出ます」

「私メリーさん、今貴方の家の前に居るの。ドア開けて?」

「宅配便だったけどメリーちゃんいな━━━━━━」

「すみません家間違いましたごめんなさい!」


電話から聞こえてくるのはメリーちゃんの必死な謝罪。

うん、なにやってんだか。


「大丈夫か?よかったら迎えに行くけど」

「うぅ~」

「取り合えず家に来て」

「言ったね」


は?

俺が聞き返す間もなく切れた電話。

背筋が凍りそうなほどの悪寒が俺を襲い、いつのまにか冷房よりも暖房がほしくなってしまう始末。

はぁ、風邪でも引いたかな?

突発性かな?

うん、暖かくして寝よう。


「私メリーさん、今貴方の家の前に居るの」

「ふーん」

「ここを━━━━━━」

「こんな時間に子どもがうちの前で何してるの?早く帰りなさい」


あっ、姉ちゃんの声。

さすがに子どもにまであの反応は見せないか。

そりゃそうだよな、そこでヤンだら俺がロリコンと言う認識とされてるってことだもん。

俺はロリコンでもシスコンでもない。


「私メリーさん、これでも十八歳」

「じゃあ夏夜くんに用?」


てかいつまで通話続けてるんだ?

話全部聞こえてるぞ。


「ならゆっくりお話聞かせて貰っても良い?」

「ヒィ!」


なにやってんだよ姉ちゃん。

大人ぶりたいガキをいじめてやるなよ。


「ふぇぇぇ、もう帰るー!こんな家もうやだ」

「そう、送っていこうか?」

「いい!」

「なら気をつけて帰りなさい、二度と来ないでね」


泣かしたあげく二度と来るなと念押し。

さすが姉ちゃんブレねぇ。

年齢が結婚できる年以上って聞いた瞬間悪寒なんてめじゃないレベルで恐怖を撒き散らしてあ。

姉ちゃんのお陰で風邪治ったよ。

心臓を鷲掴みにされてる感はあるけど。


「ただいまぁ!」


なぜ大声?

まぁ言い面倒だしもう寝てしまおう。

そしたら俺の大勝利だろ。

その日から微かに俺の肩は重くなった。

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