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俺の緊張も一週間前

人生初の舞台はやはり緊張する。

前々からわかってたのだけれどやはり緊張からは逃れられないだろう。

一週間後に本番を控え、緊張や恐怖心を最高潮に高めだす頃。

俺のパートナーはいつになくナーバスになってる。

なんなの?

初舞台の人放っておいて自分だけナーバスですか?

それはちょっと前にやったんだよバカ。

緊張や恐怖を和らげるのはそれを上回る感情の昂りか、練習しかないだろ。

まぁ初体験と言うことで俺が知った緊張を和らげる方法は自分以上に緊張してるやつを見ると言うことだ。

だから、俺以上に緊張してるこいつを見て少なからず和らいでるのもたしかと言うわけなんだ。


「中谷さーん」

「なんや」

「ナーバスになってる時間があるんだったら練習しませんか?」

「なんか指が回る気せぇへん」

「やってみたら案外回るかもよ」


ガラッ


「差し入れです、夏くんと先輩」


先輩だけ言い方がおかしかったよね。

ちょっと怨みが含まれてたよね。


「誰?」

「大宮辰巳です、先輩こそ誰ですか?」

「中谷優子やけどなんか文句あんのか?」


なんで喧嘩腰なんでしょうか俺にはさっぱりです。


「てかなんで夏夜には先輩つけてへんの?」

「それは私が彼のかの━━━━━━」

「こいつ一浪してるから同い年なんだよ」

「はい」

「ふっ」

「わぁ、なんだかむしょうに殴りたくなってきたなぁ」

「やれるもんならやってみろ」

「こらころ、喧嘩するんじゃない」

「「うるさい!」」


なか悪いのか良いのかはっきりしろよ。

なんで俺に当たる時だけ息ぴったりなの?

もしかして世の女性にはそう言うルールがあったりするんですか?あり得ませんねすみません。


「こうなったら勝負しかあらへんな」

「何でだよ」

「挑むところです」

「挑むな!」

「ちゅうわけで出てくるわ」


学園祭の練習は?

四曲あるなかまだあと一曲が完璧になってないだろ。


「そんな事するよりこの部屋でする方が効率的です」

「確かに」

「しないのが一番効率的だけどな」

「夏くんうるさい」

「ちょっと黙っとけ」


俺が悪いの?

ねぇ俺が悪いの?


「どないな勝負にする?」

「魅力!これ一点集中型真剣ガチバトル」


長いし日本語としてもめちゃくちゃだし、とても頭の悪そうな勝負ですね。

だいたい魅力バトルって嫌な予感しかしないんだけど。


「審査員は夏くんで依存ありませんね」

「あぁ」

「私に拒否権は無いのでしょうか?」

「夏くんは何を今更分かりきったことをいってるの?」


この子の素だよこれ。


「細かいこと無しにしていきなり決勝で審査でええな?」

「私は構いませんよ、付き合ってる長さを考えていただければ理由なんてわかると思いますが」

「私とあんたじゃ濃度がちゃうな」


そんなに濃い時間過ごしたわけでもないけどな。


「夏くんどっち?」

「は?」

「彼女にするならどっちって聞いてるの」


笑顔が最高に怖いですね、はい。

だって背景に般若の面が見える勢いだもん、修羅がこっちを見ちゃってるよ。

確実お前を選ばなかったら何かするだろ。

仕方ない、もう一人を正気に戻して・・・・・・。

何でシャドーボクシングしてるんですか?

アップですか?

殴るつもりなんですね。

何で俺が悪いわけでもないのに、俺が一番損するんだろこの競技。

こういう場合は第三者を選べばいい。

第三者で尚且つ二人が知らず問い詰められたらいると断言できる人物。


「海那かな」

「誰やねんそれ」

「そもそも存在してる?」

「してるよ」


今年の夏初めて会ったけど。

今ごろ受験であたふたしてんだろうな。


「でもおかしいな」

「は?」

「どっちって聞いて何で部外者が出てくんねん」


考えてませんでした。

詰めが非常にあまあまですね。


「もう一回だけ聞いてるの、真面目に答えんといてまうからな」


理不尽。

だってお前らの喧嘩で何で俺が痛い思いしないといけないわけ?

誰か知ってたら教えてよ今すぐに。


「はよ答えろ」

「早くして夏くん」


どっち答えても痛い目見るんだろ。

答えたくない。


コンコンコン


「失礼します」


何で金森先輩がここに来たの?


「先程の話、失礼ですが聞かせていただきました」

「あー俺帰らないと・・・・・・先輩はなして」

「嫌です」


帰りたい帰れない帰らせて。


「今の勝負、南くんの所属サークル部長としては見逃せません」

「そんな事ないと思うやけど」

「同感ですね私もそう思います」

「とっとにかく!私も参加します」


三人の威圧感がおかしい。

だいたいこんなの答えにくすぎるだろ。

三人ともその頭は飾りじゃないだろ、もっと働かせてみろよ。


「お前に逃げ場なんてもうあらへんぞ、観念してさっさとうたった方が楽になるんやで」


プルルルルル!


「あっごめん、携帯」


姉ちゃんからだ。

なんだろ?


「もしもし」

『夏くん』

「何?」

『私、今日早く帰れるの』

「ふーん、そうなんだ」

『夏くんは何時くらいに帰れる?』


チャンス。

これで姉ちゃんに呼ばれてと言えば取り敢えず二人は納得する。

もう一人は納得しようとしまいと知らん。


「もう帰るよ」

『じゃあ今日はいっぱい一緒に入れるね』

「うっうん」

『ばいばい』

「じゃあな」


よし帰ろう。

本番直前なんてしるかよ、中谷が練習ほっぽりだしたんだろ。

俺はしなくていいのかとか思ってたぜ?

失敗したいなら勝手に失敗しろよ、俺は別に構わねぇよ。


「ちょっと用事できたから帰るわ」

「用事ってなんやねん?」

「姉ちゃんに呼び出された」

「夏くん早く帰ってください今すぐ!」

「おっおう」


姉ちゃんへの恐れがすごすぎて笑えるレベル。

金森先輩も目で訴えかけてるもん、早く帰れって。

ならお言葉に甘えて帰らせてもらいますよ。


「シスコン」

「姉ちゃんにあったらそんなこと言えないから」

「練習はどないすんねん!」

「俺はしよっていったぞ、でもうだうだ言って殺らなかったのは中谷だろ?そんなの知るかよ」

「ふざけんな!」

「中谷みたいな下手くそは緊張してる暇があんだったら練習しろ。俺はしてるぞ」

「やったら今から━━━━━━」

「帰りまーす、さよなら」


俺の時間を潰してくれてありがとう。

頭の中で呟き大学を出る。

さっさと帰ろう。

結局のところ、今日のその後は姉ちゃんに甘えるだけ甘えられて終わった。

あと一週間をきったか。

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