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俺の姉ちゃんはやはりブラコンでヤンデレ

昼食も取り終えやることがなくなった。


「夏夜くん」

「何?」

「ちょっとお手洗いに行ってくるわ」

「じゃあそこのベンチで座って待ってるから」

「うん」


ふぅ、ちょっと休憩。

にしてもあれだ、こうしてショッピングセンターのベンチで誰かを待ってるときて異様に居心地悪いんだよな。

どうしてだろ?


「はぁ」


でもこうしてみるといろんな人いるよな。

右を見れば子連れの家族、左を見れば偏差値二十そこらに見えるビッチ風の女子三人組。

あっ、眼があっちまった。

とりあえず目を伏せておこう。


「ね?」


その三人組にいきなり肯定を求められたのだが俺はいいのだろう?

三人で俺を囲むように立つ。

何?

今時の若者って目があっただけでそんなんなの?

やめてくださいよまじで、百円あげるから。

な?


「右のが芳子、左のが芳美、私が芳佳って言うんだけどあんたは?」


初対面なのにいきなりタメ口とか。右からビッチ一号二号三号三人っておぼえとくから。


「ハンス・スミスです」


わざわざ本名名乗る必要もないだろ。


「えっもしかしてハーフってたり?」


何だよそれビッチ二号。

やかましいぞ。


「えーでもどう見ても超日本人じゃん」

「だよねー、それ私も思ったわぁ」

「でっ、これからどうする」

「そりゃもちろん」

「勿論、何かしら?」


わぁ、お姉様の降臨だ。

なんだろう、天から墜ちてきた神の使い、所謂堕天使に見えてきたよ俺。


「つーか、あんた誰だし。部外者は━━━━━━」

「その子は私とデート中よ」

「こいつから━━━━━━」


ビッチ一号の言葉を遮った次は二号の言葉も遮った。

要するに話を聞く気は無いのだろう。


「私の弟にこいつなんてあなた何様?」

「弟とデートとかきもっ、あんたたち頭くるってんじゃん!」

「私と夏夜くんがデートしてたら気持ち悪い?」


姉ちゃんなんか調子悪いな。

いつもだったら謎オーラで辺り一体にところ構わず被害をだしまくんのに今日はそれがない。

ホラー映画が効いてるのか?


「姉弟で恋人ごっことか幼稚園までっしょ!まだ卒園できて無いんでちゅか?」


そもそもの話このビッチ三人組は言い争いをする必要もないはずなのだが。

あれかな?

安っぽくて役に立たなくて見栄ばっかりの意地かな?

そんなもん捨てちまえよ。

あってもしょうがないだろ?


「恋人ごっこ・・・・・・」


あっヤバイ。

あの顔はマジギレしてるときの顔だ。


「ねっ姉ちゃん!」

「あんたは黙ってろし」

「つーか引っ込んでてくれる?」

「むしろ引っ込め」


連携のとれた妨害ありがとうございます。

しかし、そんな事は気にせず三人の間を無理矢理中央突破を決めてやる。

そして姉ちゃんの前にたち。


「姉ちゃん、こんな訳のわからない事に時間とる必要ないからさ、ちょっと落ち着いて」

「訳わから無いって何だし!むしろあんたらの方がわけわからんだろ」

「マジそれだわー」

「つか、ブラコンにシスコンって気持ち悪いどうしお似合いじゃね?」

「きゃはは、マジうける」


こいつらちょっと黙れ!

お前らのために姉ちゃんなだめてんだからな!

姉ちゃん怒らせたらお前らなんて一捻りどころじゃないから、半捻り位で五時間くらい眠らせるから。

永眠させるまである。

しかし俺は我が姉を犯罪者にはしたくない。


「姉ちゃん」

「どきなさい、夏夜くんに気持ち悪いなんて言った罪の重さを教えてあげないと」


やっぱり調子悪いみたいだ。


「俺はいいから」

「・・・・・・」

「ぷっ、正義ぶってんじゃねぇよ」


おい一号、俺にさわんなよ。

その汚いてどけろよ。

何て口にしたら余計ややこしくなるから言わないけど。

その一号が俺の肩を思いっきり回して無理矢理振り向かせる。

うわー、俺の回りに可愛い子とか多いせいかやっぱりちょっとあれだよ。

たぶん相性とかもあるんだろうけど、俺としては化粧は薄い方が好きかな?

いや化粧だって努力の賜物かもしれないけど、これはいくらなんでも濃すぎるでしょ。


「そこのあなた」


姉ちゃんが俺の肩を握ってる一号の手をつかんだ。


「さわんじゃねぇよ」


姉ちゃんの手をはじく。


「私の夏夜くんに許可なく触れたっ事の罪の重さを教えてあげるわ」

「あっ中二病さんでしたか」

「小学生並みのぼきゃぶらりしか持ち合わせてない低能なあなたに比べたら中二病さんは遥かに上よ。個人差はあれど知識量が違うもの」

「誰が小学生だって?ボコんぞごらぁ」


何で俺を挟んで言い合い始めるの?

仲裁に入ったのにこれじゃあ俺が一番の被害者だよ。


「ほら、直ぐに熱くなって言葉使いも悪い。威勢のいい言葉を並べておけばどうにかなると思ってるとこもそのまま小学生じゃない。まだ最近の小学生の方が難しい言葉使ってるわよ、貴女達は小学生未満だったのね」


ふふっ、と挑発的に笑う姉ちゃんに単純ばかどもは顔真っ赤。

むしろ珍しいよ。

ここまで挑発にのせられやすいやつもそうそういないし。


「あんまし嘗めた口聞いてっと━━━━━━」

「黙りなさい」


生気の無い目がその一言の威力を十倍にも二十倍にもしている。

調子が悪くてこれなんだから俺はたぶん普段からものすごいプレッシャーを耐えてるんだろうな。

その辺のヤンキーなんてこわくないし。


「私の夏夜くんにさわることはおろか見ることでさえ私は許さないから」


それだけを言い残した姉ちゃんは俺の手を引いて歩き出す。

どこへか何て知らんがとりあえずあいつらのいないところだろう。


■□■□■□■


「姉ちゃん?」

「ごめんね」

「えっ?」

「お姉ちゃんが夏夜くんを一人にしたからあんなのに絡まれたんだよね、お姉ちゃんなんだからしっかり守ってあげないとなのに」

「・・・・・・」

「悪い人から守ってあげるのは私だけの役目だもん」


何て返したらいいんだろ?

普通にわからんぞ。


「もう、二度と離さない。夏夜くんとお姉ちゃんは永遠に恋人だもんね」


まぁ姉弟ではある。


「ちょっと疲れちゃったし帰ろっか?」

「そうだな」

「手、繋ご?」


どうせ嫌っていって無理矢理繋ぐんだろ。

言われた通り、くるときと同じ恋人繋ぎで俺は恥ずかしさのなか帰路を二人でたどった。

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