スパム4 2段構えの詐欺
詐欺であることが明らかになりこれ以上作業を進める必要がないことがとりあえず分かった。その瞬間耐えていた眠気が一気に襲ってきておれはその場で眠りこける。大事なことを忘れたまま。そう、おれはアカウントのアドレスを変えたままログアウトしたのだ、大丈夫というパクリズムの言い分を信じて……。
スパム4
2段構えの詐欺
いつの間にか寝ていた。2時間くらいは経ったかな。すっかり酔いはさめてアタマはスッキリしていた。
(そうだ、なんか詐欺被害にあいかけて……。Xもログアウトしたんだっけか)
まずはXのログインをする。アカウントを複数持っているのでふと(どれだっけ?)となり適当なのでログインしたら1つ前に使ってたやつになった。これは軽く炎上して面倒くさいなと思って閉じたまま放置したやつ。
(これじゃないや。一番新しいやつどれだっけ)
それに入ろうとするが、入れない。
(あ、そっかアカウントのアドレス変えたっけ。なんだったっけな。思い出せねーや。…………もういいか……面倒くさい)
おれは炎上していたポストをあらかじめ削除し、まあこのアカウントでいいか。と、気持ちを新たにしました。
(アドレス変えたアカウントをリポストして今日からこれになったこと伝えとくか)
まだね、おれは気付いてないんですよ。この入れなくなったアカウントは乗っ取られてるって。なんせアドレス思い出せなくて入るの諦めてるだけだから。この時点でどうやっても入れないとは知らないのだ。
すると、よく見たらダイレクトメールが届いていたことに気付く。
(誰かな?)
そのメールはネオページ契約作家の日埜和なこさんからだった。
(なこ姉さんか。なんだろ)
『彼方さん、おはようございます。元のアカウント乗っ取られました?』
そういうとなこ姉さんはおれからこんなメールがきてるというスクリーンショットを見せてくれました。
それはおれが昨晩ベトベンねつぞうから受け取ったメールに瓜二つだったのです。おれはそこでやっとこの事件の全貌を把握しました。
「大変だ、これ」
「どうしたの?」
「これは、アカウント乗っ取り詐欺だったんだ」
おれは、詐欺被害にあいかけたと思ってた。でも、本当は違う。この詐欺は2段構えの詐欺で、おれはもう詐欺被害者になっていたのだ。そしてそれと同時に詐欺加害者にもおれの偽物が今なろうとしている。乗っ取られたアカウントによって。今すぐ元アカを凍結させないと。
なこ姉さんは素晴らしくて、おれに今やるべき行動を適切に指示してくれました。
『ちなみに、凍結させるためにはフォロワー数以上の通報件数が必要です。
一人で何度も報告するのは危険なので、フォロワーに協力してもらい、通報後は、アカウントをブロ解してもらうといいと思います』
おれの元アカのフォロワー数は2900人です。
これはとんでもないことになったと青ざめた。そんな朝だった。




