スパム3 詐欺判明、しかし……
ネットバンクの口座を見せろと言われてかなり疑いの目をかけ始めたおれ。なによりも、何もしていないのにこんな面倒事になっているという現状にとてつもなく苛立っていました。
スパム3
詐欺判明、しかし……
『ネットバンクを使用していないとしても何らかの銀行口座は持っているでしょう』
「まあ、ありますね」
ここ、正直に言うことなかったな。『全部家の貯金箱です』という回答をしてもよかった。事実、そういう知り合いは何人かいる。あぶねーやつらだなと思うけど。
『それの最近の動きを撮影して見せてください』
おれは別にそれを見ても何も意味がないであろうことを確信して最終ページの撮影をした。
残高16607円。
(給料は全て妻に渡すようにしてるのでおれは本当にこれしか持ってない)
どう考えても悪さして稼いでるような人間の残高ではない。100%白だ。
「どっからどう見ても無実であるという証拠になったろ。恥を晒して見せたんだから当然もう解放されますよね」
『近くにセブンイレブンはありますか』
この時、こいつが詐欺であろうがなかろうが関係なくブチ切れた。
「外に出ろって言ってんですか。それだけはない。パクリズムさん? 人をなんだと思ってんですか。人の時間は無料じゃない、あんまり非常識な態度だとあなたが何者であれ許しませんよ」
『これが最後の工程なので』
「……………………はーーー。何をすればいいんですか。事と場合によっては警察に相談しますよ」
かなりパクリズムに疑いをかけてる段階なのでおれの威嚇がすごいです。でも、実はこの段階で既に負けてる側なんですよね。腹立たしいわ全く。
『セブンイレブンでアップルペイカードを40000円分購入して下さい。これは本人確認のためなので。送金して下されば解放してその後全額返金します。金額が大きければ確認作業も早いという結果が出ています』
もうね、確信できるわ。これは詐欺だ。アンドロイド利用者であるおれにアップルペイは必要ないし。
その時、横に妻がいたのでDiscordでやり取りする流れになる詐欺があるか調べてもらいました。
「それ、詐欺だね。その手口ヒットしたよ」
「やっぱりか! くそったれ。面倒なことになったな。電話番号やメールアドレスが流出したよ」
「まあ、そのくらいはあることだから。謎の電話は無視するとかで対応できるし。メールはあけなきゃいいよ。でも、これお金送金しちゃう人もいたはずだよね。最低だね詐欺っていうのは」
「本当にな。まあおれは所持金40000円とかないから絶対引っかかれないんだけど」
「切ない」
やっと長い夜が終わったと思った。
最初からこうすれば良かったんですが、最初は詐欺だなんて疑ってなかったんですよね。
それに、おれはまだ気付いてない。おれにダイレクトメールをしてきたベトベンねつぞうも偽物だし、おれ自身もいま乗っ取られて詐欺アカウントとして動いているという事に――




