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星月の蝶(修正版)  作者: 碧猫
4章 管理者見習い
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16話 森のアトラクション


 フォルが言っていた認識操作系の魔法だろう。集中して視なければ気づかないほどだが、結界が張られているのを視る事ができる。


「もう良いよ。ありがと」


「……もうちょっとだけいたいけど、ゼロと一緒にお話があるの。これも試験なら、エレ達がどこへ行くのか決めないと。魔物捜索に関しても、見習い試験を受けるエレ達がやるんでしょ? 」


 仕事があればそれで良いとなるが、そうでなければ、見習い試験者、つまりはエンジェリア達が探す事となっている。エンジェリアは、名残惜しいが、フォルから離れ、ゼーシェリオンの元へ向かった。


「クームも一緒に探すの。未来を担う神獣さんも、ちゃんと知っておいた方が良いと思うの」


「はい。よろしくお願いします」


「むにゅ。頼りにしてるの。クームは魔物捜索は得意? 人探しは? エレはエクーからクーム自慢をいくつも聞いているけど、クームから聞きたいの」


 エンジェリアは、そう言って笑顔を見せた。


「魔物捜索は、得意というほどではありませんが、できはします。どちらかというと人探しの方が得意です」


「ふにゅ。でも、今回の人探しはむずかしいの。情報が少ないから。隠れられる場所を探すのが良いと思うの。どこか心当たりはある? 」


「そうですね……師匠から聞いた話になりますが、いくつか心当たりがあります。人が消える遊園地。癒しの姫の地。凍りついた地。龍の塔。など、あげればキリがないです」


 全てエンジェリア達に見覚えがある場所だ。


 ――こう聞くと日陰生活ばかりしてたって感じがするの。


 エンジェリア達がそこでいた時はと考えてみるが、そのほとんどが、否定できない。


「明るい場所で生活したいの。日陰生活なんてやなの」


 エンジェリアは、そう言って不貞腐れた。


「……片っ端から調べるのは良いが、可能性が高い場所から外していく方が良いな。一番見つからなさそうなのは、人が消える遊園地か……そういえば、あの時も」


 奇跡の魔法の中の話だ。エンジェリア達は、人が消えるという遊園地に消えた子供を追って訪れた。そこで、エンジェリア一人になった時、フュリーナ達と出会った。


 それは現実ではない。この現実で、その場所で出会える可能性は低いが、それでも、そこで会いたいと願わずにはいられない。


「……人が消えるけんきゅ……遊園地へ行くのは賛成なの。奇跡を信じるなら、きっとそこへいるから」


「奇跡……うん。そうだよね。自分であんな魔法を使ってたんだ。最後まで信じないとだよね」


「うん。そうなの。フォル一人じゃ信じられなくなったら、エレ達も信じるの。それを信じているエレ達を信じるだけでも良いの」


 エンジェリアは、そう言ってゼーシェリオンと向き合った。


「ねぇねぇ、これでエレ達はご褒美にちゅぅ券をもらえるかな? 」


「もらえるかも。結婚券ももらえるかも」


「ふにゅふにゅだね」


「ぷにゅぷにゅかも」


 エンジェリアとゼーシェリオンは、両手を繋いで喜ぶ。


「そうと決まれば早速いくの! エレのエレによるエレのための転移魔法をとくとご覧あれなの……きっとフォルらぶの想いがあれば、場所とか良く分かんないとか成功回数より失敗回数の方が多いとかあってもきっと大丈夫なの」

 

「頼むからやめてくれ。フォル、転移魔法頼めるか? 」


「うん。エレにはやらせられないからね」


 フォルが困った表情でそう言って転移魔法を使った。


      **********


 人が消える遊園地の手前。遊園地は結界が張られているため、転移魔法で行く事ができない。


「……夢と同じならこの先は」


「ああ。そうだな。エレ、手」


「うん。おてて繋ぐの」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンと手を繋いだ。


 繋いでいる手が震えているのが分かる。これは、エンジェリアのものでもあるが、ゼーシェリオンのものでもある。


「大丈夫なの。エレがついているから」


「大丈夫だ。俺がついているから」


 エンジェリアは、ゼーシェリオンと一緒に結界内へ入った。


      **********


 ここはとある研究所跡地。エンジェリアとゼーシェリオンがかつていた場所。


 研究所を隠すためか、多くの遊具があり、これが遊園地と言われるようになった理由だろう。


「報告では聞いていたが、ここはギュリエンに近い研究所だったか? フォルがエレとゼロをかい……保護したという」


「うん。今回収って言おうとしてなかった? 間違ってはないけど。突然消えた研究所がここに現れたんだ」


「……見た事がある気がする」


「奇跡の魔法で行ったから。フォル、この結界に入ると常人は出てこれない。これが終わったあと、この結界の中に入れなくする? 」


「うん。そうする予定だよ。フィルも手伝って」


 現実で研究所を訪れた事があるのは、エンジェリア達を除くと、フォルだけだが、本家に報告してあるようで記録は残っているのだろう。イールグはそれで知ったようだ。


 ゼムレーグは、奇跡の魔法の夢の中。フィルは、奇跡の魔法で行ったより前から知っていたため、フォルから直接聞いていただろう。


 フォル達の会話を聞きながら、エンジェリアは迷いなく研究所へ向かう。


「確か研究所から行った気がするの。前と同じようにいけば分かると思う」


「迷うだろ。つぅか、前も迷っていただろ。迷子になる前にやめろ」


「迷子になんてならないの。みんなと会った森はこっちなの」


「ま、待ってくださいー」


 エンジェリアとゼーシェリオンは、フュリーナ達と奇跡の魔法の中で出会った森を目指す。クルカムがそのあとを追ってきた。


      **********


 エンジェリア達は、気づけばフォル達と逸れていた。


「ふにゅ? フォル達いないの。森は怖いの……フォルいないの」


「俺が一緒にいるから泣くな。とりあえず、フュリねぇ達を探すか」


「フュリねぇ達を探したいけど、これをエレ達だけでやるのはちょっとー」


 魔物討伐であればどうにでもなる。だが、エンジェリア達を待ち受けていたのは、魔物ではない。様々なアトラクションだ。


 これは、奇跡の魔法の夢の中ではなかった。


「制限時間内にこの爆弾を解除せよ。解除できなければ爆発する……ふにゅ。これは得意分野なの。エレに任せて」


「ああ。任せた」


「任せます」


 エンジェリアは、爆弾に取り付けられている魔法機械を操作する。


 不可思議な文字が並んでいる。これは、爆弾、爆発魔法具の魔法式だ。

 

 魔法具技師だけでは理解すらできないだろう。この魔法式を読み解き、爆発しないようにしながら解いていく。


「ふにゅ。このくらいはらくらくさん」


「さすがです。ここまで手際が良かったとは。師匠からは魔法学と調合学の天才だとは聞いていおりましたが」


「……そうなの。エクー、そんなお話までしていたなんて」


 エンジェリアは、解除された爆弾を収納魔法にしまった。


「これ、禁止されている方法で作られているの」


「他もそんな感じかもしれないな」


「ふにゅ。気をつけるの」


 エンジェリア達は、森の奥へ進む。


「前は夢の果てになっていたから、奥は知らないの」


「そうだったな。奥がこんな事になっていたなんて知らなかった……なぁ、これ不可能だろ。人数的にも」


 次のアトラクションは、五人以上で乗る乗り物に乗る事だ。かなり不安定でいつ落ちてもおかしくはない。


「ふにゅ。危険なの」


「なんか秒数があります……消えました」


 突然、地面が爆発する。エンジェリアは、咄嗟に防御魔法を使った。


「ふにゅぅ。助かってないの」


 魔物が大量に出現する。浄化魔法を使ったが効果がない。


「これはこの地形でエレ達だけだと大変なの」

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