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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
4章 八重崎咲と文化祭
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衣川早苗のポジション

 更新遅れてすみません。

 そして次回も遅れると思います。

 リアルが悪いんです。

「早苗、何か言うことは無いか」

「ち、違う、誤解なのだ!!」

「誤解?こんな証拠があるのに?」


 紙切れを机に叩き付ける。


「それは何かの間違いなのだ!!わ、私は――――」

「はっ、これが間違い?そりゃ俺だってそう信じたい。でもな、そうじゃないだろ?」

「信じてくれ……頼むのだ」


 早苗は涙目で懇願するが


「駄目よ早苗。諦めなさい。私達があなたを裏切ったんじゃなくて、あなたが私達を裏切った。そうでしょ?」


 真百合に問い詰められ早苗は反論しなくなる。


 恐らく彼女も思う所があったのだろう。


「許してくれ」


 ついには反論ではなく懇願するようになった。


 だが俺達は何も言わない。


 無言のまま早苗を見つめる。


「幸も何か言ってくれ!」


 俺達を説得できないと思ったのか、友人の月夜幸で説得をさせようとする。


「そうですね、嘉神さん。一つだけいいですか」

「なんだ」


 月夜幸は言う。


 俺達のすれちがいを。







「テスト返却程度で、なんでそんなにマジになってんですか?」







 時はあれから少し進み五月の半ば。


 博優学園では、六月に文化祭があるため一学期中間テストを五月中旬に実施している。


 この中間テストは今までの総復習であり高校生活のスタートダッシュを決めるという意味で重要な関門の一つだった。


 しかし早苗は去年一年間全く勉強してこなかった。


 これについては仕方ない理由がある。


 勉強は日々日頃の積み重ねだ。だから早苗の頭が悪いのは仕方ない。


 ただその勉強のできない要因が排除された今、早苗は一か月前から必死に勉強した。俺も出来る限り教えてた。


 試験三日前なんて真百合と一緒に勉強したし(ただ真百合も勉強が必要なはずなのに勉強していた様子は一切なかった)、前日は泊りがけで教えた。


 なのに、だ。


 なのに、である。


「地理41点?喧嘩売ってんの?」


 机に叩き付けた早苗の答案用紙をもう一度つかみ、見せつける。


「うぐっ……」


 早苗は何も言い返せなくなった。


 こんなの紙切れ同然なものは、くしゃくしゃにしてごみ箱に捨てる。


「わ、私の答案用紙になにを!?」


 んなゴミ知らん。


 焚火の燃料にでもしてろ。


「早苗、ちょっとここで正座」

「え?ええ?」


 俺は床を指さす。


「 せ い ざ 」

「だが、周りにクラスメイトもいるのだぞ」


 今は放課後というわけではない。


 昼休みであり、普通にクラスメイトが沢山いる。


「だったらどうした?俺は正座しろと言っている」

「そ、そんな!」

「何度も言わせるな」

「私にも人権というものが……」

「いいか早苗、馬鹿にも人権はある。だがな、馬鹿は人権という言葉を使っちゃいけないんだ。反論があるなら馬鹿が使う言葉で言い返せ」

「馬鹿という方が馬鹿なのだ。ばーか」


 おお。


 その言い返し方とっても馬鹿っぽい。


 だがちょっっっっとキレちまった。


「なあ早苗。お前この成績母親に見せて大丈夫か?」

「大丈夫だ。………………多分」

「そう、頭の悪い早苗には理解できないかもしれないけど、ちゃんと聞いておけよ。もしも運悪く俺が早苗の母さんに偶然早苗の成績を口にして実はあんまり勉強していなかったなんて言ってしまったらどうなると思う?」

「正座します」


 よろしい。


 それにしても綺麗な正座である。


 実家が893だとそういうのにも慣れるのだろうか。


「別に俺は早苗が馬鹿だということも思うように成績が伸びなかったということも怒っているわけじゃないんだ」

「そうなのか?」

「ああ。俺は早苗が叩けば伸びるタイプだと信じているからな。今こうやって酷いことしてるがそれは早苗がこの屈辱をバネにして成長してくれるって思っているからの行動だ」

「そこまで一樹は考えてくれていたのか」


 考えているわけないだろ。


 早苗は一体何を言っているんだ。


「当たり前だろ。早苗は俺を誰だと思っている。百手どころか一万手先をみる男だぜ。それじゃさっき俺がゴミ箱に捨てた答案用紙回収してきてくれ。ごみ箱を漁って悔しいって思うかもしれないが、その悔しさが早苗を成長させる肥やしになるんだ」

「分かったのだ!!」


 早苗は立ち上がり俺が捨てた早苗の答案用紙を回収する。


「うん。で、また正座ね」

「了解」


 素直に従う早苗。


「で、嘉神さん。本当はどこまで考えていたんですか?」

「全く考えていない。行き当たりばったりだ」

「ですよねー」


 流石は月夜さんというべきか、彼女は俺の行動を見破っていた。


「俺が教えた所ちゃんとやっていれば八割は間違えなく取れたはずなんだがな?」

「確かにそうかもしれんが私がそれを覚えているのは別の話であろう」

「…………」

「む、無言でその目は止めるのだ」


 はあ。


 泣かそう。


「なあ早苗。ちょっと今回のテスト勝負しないか?」

「え?」

「もちろん合計点で勝負なんてアンフェアなことはしない。俺が取った最低点と早苗が取った最高点で勝負だ」

「だめだ。私は今まで70点以上をとったことが無い」

「………………おっけ。じゃあ早苗の点数は全部+20していい」

「ならば受けよう」


 最初から勝負の条件は+20でいいと思っていた。


 ただそれだと早苗に勝負を断られる可能性があった。


 そこでとある詐欺のテクニックを使ったのだ。


 初めに無茶な要求をし、一度断らせた後で罪悪感をつのらせる。


 その後、難易度の下げた要求をすることで相手が断りづらくなる。


 えっと……名前は……………


「ドア・インザ・フェイス」

「そうそれ。ありがと真百合」


 月夜さんも苦笑いである。


「?」


 早苗だけ気づいていないが。


「じゃ、負けた時は何でもひとつ相手の言うことを聞くってことで」

「うむ。了解した」

「あ…………」


 真百合は気が付いたようだ。


本来こういう口約束を守る必要なんてない。


 口約束に法的拘束力はあるが、それはあくまでも責任能力の範囲内である。


 ただ俺には昨日手に入れた躾けられた支配者トレーナーズコントロールという口約束を守らせるギフトがある。


 つまり早苗はもうこのギフトの支配下にあるのだ。


「ひ、ひでぇです。これが主人公のやることですか」


 月夜さんが何を言おうが関係ない。俺は俺の道を行くだけだ。


「嘉神君嘉神君」

「何?」

「私も叩けば伸びるタイプと思うのだけど」

「因みに地理の点数は?」

「100だなんて言えないわ」


 帰れ。


 あんた授業内容忘れたから二年に戻ってきたんじゃなかったのかよ。






 さて、そういうことで早苗と俺はテストで勝負することになったのだが


「50」「94」

「62」「98」

「44」「100」

「33」「97」


「な・ぜ・な・の・だ」


 いやあ、思ったよりひどくなくて安心した。


「待て一樹。貴様の国語の点が98なのはおかしい」

「何だ早苗?俺としては100とれた自信があったし、未だに解説聞いても何で減点されたのか納得のいかない所があるが」

「そうではない。一樹の読解力は小学生レベルだろ」


 おお?


 早苗に馬鹿にされるとは。


 よほど早苗はキツイお仕置きがご所望と見る。


「あー。いいですか早苗さん。国語の試験において『べ。別にあんたのことなんて全然好きじゃないんだからね』という問いに対して『ぐへへ。こいつ絶対に俺のことに気があるな。簡単に落ちやがってこのチョロインが』なんて思っちゃいけないんです。嘉神さんの様に感情なんか無くして『そーなのかー』として流さないと良い点は取れませんよ」

「そうなのか?」

「そういうものなんです。数学は日常生活において役に立たないなんて言う人いますけど、間違いなく学校で習う国語の方が役に立ちません」


 軽く俺のことを罵倒しながら早苗を説得する月夜さんだった。




 数学の答案が返され残りは英語だけで早苗の最高点が62、俺の最低点が94なわけだ。


 余談だが月夜さんは全教科平均点。真百合は全教科満点であり色々とおかしい。


「+30でもよかったんじゃないですか?」

「いや、今回英語ちょっとミスったから多分80くらいしかないからな。ある意味予想通りだよ」


 とはいえ本当に予想通りの結果だった。


「ふ、ふ、ふ」

「どうした?馬鹿みたいに気持ち悪い笑い方して」

「今回実は英語80ある自身がある」

「なん……だと……」


 あり得ない。


 早苗がそんな点数取るなんて……!


「ちょっと答案用紙貸せ」


 俺は早苗に質問をしたのだが


「だいたい合っているだと……?」


 本当に八割取っていそうだ。


「あ、あり得ないわ。早苗がそんな点数取れるなんて」

「本当です。早苗さん。もしかしてカンニングしましたね」

「真百合と幸。お前たちは私のことを何だと思っている」

「「救いようのない馬鹿ね(です)」」

「…………(´・ω・`)」

「あ。分かった。これはあれだ。早苗絶対スペルミスしている」

「ああ!なるほどです。納得しました」

「そうね。もしくは解答欄間違えているもあり得るわね」

「…………最近一樹たち私の扱い酷すぎないか?」


 そんなことは無い、と思う。






「ちっ、86か」


 予想よりかは高かったがそれでも悪い。


 そして問題は早苗の方だ。


 あいつが本当に70以上強いては67以上をとっていれば俺の負けであり、俺は何か一つ早苗の言うことを聞かないといけない。


 もしそうなったら八つ当たりとして四楓院をちょいと痛めつける。




 いよいよ早苗のテスト返却だ。


「!!!!」


 早苗のリアクションを見れば分かる。


 勝った……!


「…………なぜだ」


 ぼそりと呟く早苗。


「何点だった?見せろ」


 早苗の点は




『65』




 あっぶねえええええええええ。


 紙一重の勝負とはまさにこのことである。


「まだだ。まだ採点ミスという可能性がある」


 確かに英語のテストは生徒の要求がすんなり通ることがある。


 だがどこをどうみても合っているところは○されて間違えているところは×されている。


「待つのだ。これは点数の数えミスだ」


 た……確かに。


 ぱっと足すと75だ。


 …………75だ。


「抗議してくる」


 意気揚々と先生に抗議しに行った早苗だったが


「…………」


 意気消沈して戻ってきた。


「何だって?」

「いやだ。何も言わん」

「えい」


 月夜さんが早苗の答案用紙を取り上げる。


「こ……これは!?」

「い、言うな!幸!!」

「何ということでしょう。早苗さん自分の名前間違えてます」

「はあ?」

「ほら、見てください」


 月夜さんが見せた早苗の答案用紙には


『Kagami Sanae』


 とかかれてあった。


 どうやら早苗は自分の苗字を間違え-10の減点を喰らったたらしい。


「馬鹿じゃねえの」

「うるしゃい」


 真百合や月夜さんもこれには驚きを隠せない。


「さすがは早苗さん。とっても残念です」

「あなたの脳内、いったいどれだけお花畑なの?」

「真百合にだけは言われたくないのだ」


 早苗のツッコミに切れが無い。


 相当落ち込んでいるようだが、何とそこに追い打ちを外道がいるらしい。


「さて、全ての教科で俺を越えられなかった早苗には、すべしゃるなお仕置きを用意しました」

「な?なんだ??」

「大丈夫。そんな痛くしないし大したことないから」

「では私は一体何を」


 簡単なことだ。


 たった一言言えばいい。




「早苗は今から『何でも二つ嘉神一樹の言うことを聞く』という」





 一応次回から文化祭やる予定です。


 つうかこの章並びこの小説のヒロインって誰でしたっけ?

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