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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
4章 八重崎咲と文化祭
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外道すぎるエピローグ

注意 この小説の主人公は嘉神一樹です。敵キャラでもラスボスでもありません。

 決戦の合図は公正を期すため真百合がコイントスをして落ちた時に開始することになった。


「いざ尋常に」


 真百合が投げたコインは綺麗に放物線を描き


「――初め」


 俺たちの間に落ちた。


「てめえを殺すのに一瞬じゃつまらないぜぇ。だから最初は手加減してやる。犯された聖少女アイアンメイデン

「――くっ」


 この痛みは金属バットで後頭部を殴られた痛みくらいか。


 やられたことないのではっきりとしたことは言えないが。


「倒れねえか。だったら次は犯された聖少女アイアンメイデン


 全身から槍で刺されたような痛みが体中を駆け巡る。


 うん。痛い。


 ものすごく痛い。


 ただ


「我慢できないほどの痛みじゃないな」


 このギフトの弱点、いや普通に考えたら分かる当たり前なことなのだが


「痛みなんて我慢すればいいだけだからな」


 ホントこの犯された聖少女アイアンメイデン、何の実害もない可愛い能力だ。


 なんならダメージそのものを与えるギフトでもよかったくらいだ。


 ごめん。やっぱその能力は駄目。


「ふん。そうくるとは分かっていたぜぇ。次は男のてめえに絶対に耐えられない痛みを教えてやる」

「何ですかそれ?」

「出産の痛みだぜぇ。知ってるか?男は出産の痛みに耐えることは出来ずにショック死してしまうんだぜぇ」


 へえ。知らなかった。


 本当に知らなかった。


「知りませんでした」

「だろ?」

「はい。笹見先輩が本当にどうしようもない位阿呆ということが」


 最初から勝てる自信はあったがこの発言で俺は勝ちを確信した。


「でも先輩、やったことありますか?その出産するときの痛みを与えることを」


 あるはずがない。


 もしもあるのならそんな口に出すのが恥ずかしい台詞言えるわけがないからな。


「やったことあるか?今からやるぜぇ!犯された聖少女アイアンメイデン


 俺は痛みを味わった。


「どうだ!」

「痛いですね。はい」


 これが出産の痛みだ。


 確かに意識が薄れそうになる。


 間違いなく痛い。


「でも死ぬほどじゃないですよこれ」

「なっぁ!?」


 驚いてる驚いてる。


 ついでに周りの皆も驚いている。


「何で死なねえんだよ!!」

「質問を質問で返すようで悪いんですが、なんで先輩は出産程度の痛みで男を殺せるなんて勘違いできるんですか?」

「そ、そりゃ男は死ぬって」

「男が出産なんて起きたことないのに?」

「そ、そうだ。保健の先生が言ってたんだよ。男は死ぬって」

「ハッ」


 つい鼻で笑ってしまった。


「ホント先輩は可愛いですね。痛みを与えるだけの可愛げのあるギフトにお似合いです。一から十まで学校の先生の言っていたことを信じるなんてきっと先輩はいい小学生になれますよ」


 出産の痛みで男は死ぬなんて要は誰かがそう言っているだけ。


 実際にそれが起きたことなんて一度もないのに。


「受験前に無学な先輩に教えてあげます。群発頭痛を知ってるか?」

「なんだそれ?」

「別名自殺頭痛って言われるほど自殺するくらいの頭痛がする病気なんです」

「…………」

「症状は一年に数回または数年に数回の間隔て群発的に起きるらしく、女性より男性の方が五倍の確率で発症しやすいらしいんです。その痛みを例えるのならスプーンで目玉を抉られるほどって例えられるんですって」


 頭痛が痛いなんて表現は日本語的に間違えているが、これに関してばかりは間違えているとも言えなくない。


「何が言いたいんだ?」


 俺は何が言いたいか?


 そんなのは一つだ。


「その痛みお産よりも痛いんです」


 これだけである。


「そんなはずねえ」

「ありますよ。既に医学的に証明済みです」


 誰かに聞いたとかそんな話じゃない。証明は終えている。


「もう言いたいことは分かりますね。群発頭痛に耐えられる男が、お産程度の痛みを耐えられない訳ないんです」

「……」

「あ、ついでに最も有名な三大痛は心筋梗塞、尿路結石、群発頭痛であってお産は含まれません。心筋梗塞はあれですけど残りの二つは発症してもちゃんと生きていられます」


 ホント無学相手に教えるのは苦労するな。


「勿論出産が大変なことは分かっています。死ぬ可能性だってあるでしょう。でもそれは子宮からの出血だったり等が要因のわけで、痛みで死ぬわけじゃないんですよ」


 だから俺は出産の痛みを受けても死なない。


「でもだったらなんで!てめえは立っていられるんだよ!立っていられた人間なんて聞いたことないぜぇ!」

「いや、普通に痛みに慣れましたから」


 実際に死んだことのある俺に死ぬほどの痛みはそこまで大したことない。


 これを何度も死んだことのある真百合に言ったら笑われそうだが。


「どうします?俺を殺すためにあと十倍出力を上げてみますか?ただ俺としては後三分で昼休みが終わるので待ってあげませんけど!」


 距離を縮め鳩尾に腹パン。


「――っっぁぁ」


 笹見先輩は声にならない悲鳴を上げる。


 膝から崩れ落ちそうだったのを、前髪を掴んで支える。


「さて、そろそろ先輩にも痛い目にあってもらいます。ただしこっちは実害ありですけどね」


 決闘による殺人は合法だと特別法第三条に明記されている。


 だから俺がここで笹見先輩を殺そうが罪には問われない。


 良い法とは言えないが法律だから仕方ない。


「降参は出来ない約束でしたし、敗北条件は地面に頭を十秒間こすり付けるか死ぬかの二択でしたよね?でもこうして頭を掴んでしまったらどうなるんでしょうね」


 一つ目の敗北条件は満たされず残った敗北条件は死ぬだけだ。


 ただこんなことしていればきっと誰かが助けに来る。


 笹見先輩はそう思っていたのだろう。


 だがな、そっち側もすでに対策済みなんだよな。


「どうしてですの?どうしてアタクシたち水晶さんを助けることができないのです!?」

「!?」


 全ては計算通りだった。


「教えてあげますね。大賀茂先輩俺達がした口約束全部覚えていますか?」

「え、ええ」


 交わした口約束は、


『降参は禁止、敗北条件は頭を十秒間こすり付けるか死ぬこと』

『もしあんたと俺の二人の戦いで、俺が勝ったら二度と俺に逆らうことはしない。この条件をのんでくれるのなら俺はギフトを使わない、ということ』


 それ以外にもいくつかあるが重要なのはこの二つ。


「いいですか?俺はまだギフトを一つも使っていない。つまり笹見先輩は俺との二人の戦いで俺が勝ったら二度と逆らわないという条件を飲んでいることになります」

「それがどうかしたんですの?」

「まだ分かりませんか?俺がギフトを使わない以上、この戦いは二人の戦いなんですよ。他者の介入は出来ないんです」

「!!!!」


 俺がギフトを使わないと約束した本当の理由は二度と逆らわせないことじゃない。


 二人きりの戦いを持ち込むこと。


 これから俺が何をしようがギフトを使わない限り二人の戦いという口約束は守らなくてはならない。


「二度と逆らわないという約束はカモフラージュです。本当の目的は確実に笹見先輩を始末することとその仲間達が俺に挑んでこさせないようにするのが目的です。というかこれから死ぬ笹見先輩が二度と俺に逆らわないなんて矛盾もいいところですよね?」

「まさかあなた最初から水晶を殺すつもりで!?」


 別にそういうことは一切思っていない。


 むしろ俺は被害を出さないためにやっているつもりだ。


「一回一回再戦していたらキリがないですし、受験を控えた先輩方にこんな無駄なことをやめさせたいんです。こうやっておけば先輩達俺に戦いを挑もうなんて思えないでしょ?」


 右ひざによる膝蹴り。


 既に反応を見せずぐったりしている。


「もうやめてください!!水晶さんは女性なんですよ!!」


 四楓院先輩が俺に懇願するが


「四楓院先輩にも一つ教えてあげますね。時代は男女平等です」


 俺はにっこりとして返答した。




 美少女物が蔓延るこの世の中ですが、戦う以上は女性も傷つく覚悟が必要だと思っています。

 むしろチート能力が無いのに女だからという理由で傷つかない作品に違和感を感じます。


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