つよきものはつきよのもの
オリンピック開催中にこの章を終わらせたい(開催できるとは言っていない)
俺達は1秒もあれば帝国に密入国が出来るが、国の代表として出ている以上、国際法に引っかかることはできない。
数時間もかかる飛行機に乗って2度目の帝国に向かう。
修学旅行で行った時と違い、ファーストクラスの旅路はすごい快適だ。
とはいえやることもないので、ここらで一度大会のルールを整理しようと思う。
健常者のパラリンピックこと、オリンピックとルールの大差ない。
陸上競技やサッカーがある。
ただいくつか変更と追加がある。
・能力は使用してもいいし、しなくてもいい。
100m走で普通に走ったほうが能力使ったより早いなら、それでもいい。
・大会と並行して、決戦を行う。
5vs5の異種勝ち抜き戦。詳しくは前々章を参照。
大まかに説明すると、勝ち抜きだが3連勝したら次の試合は確定敗北扱いになる。
唯一異なるのが、死んでも負け。
だから相手は殺しにかかってくる。
気を付けよう。
・2種目の参加まで許される。
これがないと一人が全部やってもいい。
それを防ぐためのこのルール。
・決算非参加者は異種目に参加することはできない。
例えばサッカーと水泳を同時に参加したい選手がいたとして、そいつは必ず決戦に参加しないといけない。
また参加しないと大会は失格扱いとなり、メダルを取ってもはく奪される。
決戦の参加者とは、本選で参加することなので、仮に1回戦で国が負けた場合、最大で5人、最小で4人の選手しか参加者扱いにならない。
そして複数の競技に参加したい人数が8人とかだと、少なくとも3人の失格が確定する。
つまり国としての名誉を守りたければ、1回戦を勝ち抜かないといけない。
そして決戦のトーナメントだが、開会式の後予選を行い、そこからトーナメント表を作成する。
国としての格が低い所だと、このトーナメントが全力を出す舞台というところもある。
どこが低いかという議論になると、肌の色によって見れば何となく察するとだけいっておく。
男女差別はよくても、人種差別はよくないからね。
まあ、不等号の順番を伏せさせてもらい、黒、白、黄というイメージでOK
正直、予選について日本国民は誰一人心配していない。
絶対に帝国と日本が1位2位抜けをするからだ。
仮に3位4位になったとしても、帝国とは逆ブロックになればいいだけ。
気にするべきなのは外人たち。
少しでも上に立ちたいのなら、日本と帝国と同じブロックにはなってはいけない。
同じブロックになるとしても、少しでも後にぶつからないといけない。
予選ですべてが決まるといっても過言ではない。
決戦のルールは説明してある(修学旅行編)が一応説明したものを踏まえて箇条書きにする。
・開会式の後予選が始まり、その結果によって、決戦トーナメント表が作成される。
・複数の競技に出る場合は、決戦の参加が義務付けらえれる。
・決戦は大会と並行して行われる
・競技は異能力の使用が許される。
・決戦に参加できない競技者は、失格となる。
・決戦は5vs5の異種勝ち抜き戦で行う。
・3連勝した場合は次の試合は不戦敗となる
・引き分けは両者敗北だが、大将に限り1度だけ引き分けを勝ちにできる
・いかなる状況であっても、死んだら負けであり全ての競技で失格
なら予選のルールはというと、ケロイド? ……ああ、警察と泥棒だからケイドロか。
ケイドロをする。
全員が警察で全員が泥棒。
背中にタッチされたらout、タッチ出来たら10秒無敵
判定は高性能のセンサが行うらしい。タッチするだけで大丈夫だが、破壊も一応OK
発信機の攻撃はOKだが、受信機を攻撃したら一発アウトなので、今回はやらない。
ケイドロをしたことがある人間なら察しが付くと思うが、警察が誰を捕まえるかですべてが決まる。
足の速い人から狙われたら一瞬で捕まるし、見逃してもらえれば長く生き永らえられる。
ここでいう俊足イケメンは日本人のこと、その人に好かれないといけないと生きながらえることはできない。
ということなので
「ちょっといい話があるんだけど」
こういう風に取引を持ち掛けてくる輩は後を絶たない。
こういった手合いから避けるため、真百合はいつも自家用ジェット機で移動しているのだが、今回は国を代表して言っている都合上、こういった公共機関を用いた。
俺達が乗ると分かった瞬間、その便の席が一瞬で売れた。
「実はさ、ここに100年物のワインがあってね、チーズも24か月熟成した……」
「いや、それもう間に合ってるんで」
金や物品で釣ろうなんて舐めすぎている。
どこの国のもんか知らねえが、こちとら宝瀬だぞ。
世界の半分の財産を既に持っている国だ。
その気になれば一瞬で独占できる都合上、本社に公安室ができるほどの一強の企業だぞ。
今やっているそれは、メジャーリーガーに野球を教えてやるから金を払えと言っているくらいに冒涜だ。
今すぐここで殺してもいいんだが、後片付けがめんどいので見逃してやる。
おめでとう、運がいいぞ。
「なんだ、金なら」
「失せろ。俺がお前の顔を覚えないうちに」
覚えてしまったら、そういうことをしてしまいそうだ。
「うっ」
「失礼します」
立ち慄く男には目もくれず、一人の少女が俺のもとにやってくる。
「お久しぶり、シルヴィ王女」
「もう、こういう二人きりのところではシルヴィでいいといってますのに」
「まあ、まあ」
尻尾振るならこういう態度で接してもらわないと、こちらも出すものも出せない。
こういうブロンズ女が望ましい。
「最近はこっちも忙しくてこれなかったけど、調子はどう?」
「はい、兵の皆さんも動くが非常によくなり、銃弾を急所から外す動きなら可能になったそうです。それに――――」
「それも大事だけど、君のことが聞きたいな」
「あ、はうぅ」
はいはい。
適当に相槌を打ちながら、シルヴィの話を聴く。
そうしていると、いよいよ着陸するときになったので
「口惜しいけどまたあとで。なに、3週間はいつでも会いたいときに会えるさ」
「はい!」
こうして王女と話をして別れた。
「子犬に吠える犬はみっともない」
「ん? どうした真百合」
「いえ、こっちの話」
さてと
今日この日の間に、いろいろ準備してきた。
姉妹の基礎スペックの強化、シルヴィの国並び賛同者の支援。(※父さんはノータッチ、左右田さんはシュウが担当)
武力以外の帝国包囲網は完成している。
武力ですら、もう日本と帝国に大きな差はない。
帝国は国を維持するために、死に物狂いで勝たないといけないだろう。
仮に大会で帝国が負けるようなことがあるのなら、それは国の終わり。
俺達の完全なる勝利である。
帝国に対する恨み辛みはない。
だが向こうが俺の命を狙うというのなら、それ相応の対応はする。
殺してみろ帝王。その前に俺がお前たちを滅してやる。
帝国の主義は実力主義。
強い方が正しい。
ならば
より強き者の手によって摘み取られることを、黙って享受しておけ。
「嘉神さん。ちょっといいですか。あなたにお願いしたいことがあるんです」
「何?」
「ちょっとあんまり言いにくいんですけど」
「ああ、殺人?」
「否定はしません」
「まあ、神薙がいないこのタイミングしかできないよな。ということは、そういうことか」
「はい。このタイミングだから、やっちゃいまそう」
「いつ? どこで?」
「秘密です。タイミングを見てやっちゃいます」
「そう。でも一応確認するけど、それって必要なこと」
「必要です。やらないと嘉神さん死にますよ」
「マジか」
「あなたが思っているより、状況は良くないんです」
「……そんなに?」
「ええ。でも安心してください。わたしの言うとおりにすれば、助かります」
「なら大丈夫だな。俺は月夜さんを信じてる」
「わたしもです。二人で、みんなで、生き抜きましょう」
ストックは一文字もないんですが、最終章までのプロットは頭の中でですが完成しています




