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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
9章 永劫に沈まぬ太陽
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さいつよののうりょく

「そういえば、日本で一番強い人って誰なの?」


 始まりはそんな疑問だった。


 俺と月夜さんは偶然にも二人きりになり、帰り道を歩いていく。


 話の種とせいてこういった話題を振ったのだが


「神薙信一」


 月夜さんの一言で疑問は一瞬で解決した。


「じゃなくて、日本としての最大戦力」


 あの人は一人宇宙だからノーカン


「嘉神育美」

「母さんは、まあ、確かに強いけど、ねえ」


 父さん張りに株が暴落しているから。

 マイナス補正がかかりすぎている。


「そしたら嘉神さんですよ」

「あ、そうなんだ。裏も含めて」

「今からあなた好みの主張をしますね」


 月夜さんが何を言い出すのかは大体わかる。


「本当に強い人は、恥ずべきことをする必要がありません。罪を重ねるなんてことは弱い人がすることです」


 完璧な論理であり、何一つ異議を申し立てることはない。


「じゃあ裏ランキングもほとんど同じなわけ?」


 超者ランクは表沙汰に出来る人間のみのランキングであり、父さんのような犯罪者や母さんのような清掃員(意味深)はのることがない。


「そうですね。多分そうだと思います」

「ふーん。つまり現状俺を倒せる人は日本にいないわけだ」

「いいえ。可能性として嘉神さん相手にワンチャンスある人間は何人かいます」


 いるんだ。


「どんな人?」

「嘉神さんにワンチャンス取れるということですので、嘉神さんの攻撃に耐えるということは考えません。あくまで人形の呪い映しと共依存の能力を突破できるという前提の話です」


 これが俺の最大の防御力

 世界に散らばった人形を同時に破壊しなければ、俺にダメージを与えることが出来ない。


 他にも高位次元になって攻撃を無力化したり、吸収したりいろいろあるが、それらはあくまで能動的に使うものであるため、


「そしてワンチャンス取れるという話ですので、反辿世界による死に戻りはワンチャンス取られたものと見なし、考えません」


 逆にこの能力があるからワンチャンスすら怖くないともいえるわけだ。


「まず先ほど紹介に上がった、そんなこと知らんと上から潰せる人です」


 『法則』の上。事実上『物語』


 母さんの能力の無力化で、俺のギフトを無力化する。

 または神薙さん(以下略)


 だから出来る人は2人。


「これが出来る人が3人います」


 しかし月夜さんは俺の予想を裏切った。


「え? 3人? 2人じゃなくて」

「はい、3人です」


 驚いた。まさかそんな人がいるとは。


「誰?」

「わたしは知りませんが、嘉神さんは知っている人です」


 俺が知っている人物?


「ほんと誰?」

「次に――」


 話す気はないらしい。


 まあ月夜さんが話さないと決めた以上、口を割ることはないので言及はしないが。


「人形を全部破壊できる人間です。これは地獄トラップに引っかからない、もしくは耐えることができ、その上人形を見つけ出し、そのすべてを同時に破壊できる能力者という条件です」


 地獄トラップとは夢幻のことで、強引に探れば殺され続ける。


「まず早苗」


 これは確定。


 早苗の必中により、人形すべてを殴り飛ばすことが可能。


 一番手っ取り早く確実であるといえる。

 早苗だけは唯一可能性ではなく、確実に正々堂々人形を破壊できる。


「次にシュウ。ただシュウの場合可能性になるが」


 同じように必中で電撃を人形に同時に浴びせればいい。

 ただ早苗の場合と違って、選択肢が多いため地獄トラップに引っかかる可能性を孕んでいるともいえる。


 そこがシュウの弱点。


 耐性とか超悦者とかみんながもっているものしか防御能力がない。


「あとは多分父さん」

「いえ。できません」

「え?」

「殺されないと言いますが、正式には黄泉送りです。残念ながら耐える方法がなく、かつ見つけ出す能力もないので事実上不可能です」


 相変わらず本人がいないところで株を下げる。


 本人がいたらいたならで暴落するけどな。


「他には……だれかいる?」

「そうですね……条件付きならば」


 条件付き?


「嘉神さんの人形の能力を知っていて、かつ下手に探ると死んでしまうという条件をしっているなら、1人」


 大分譲歩したな。


「その人も俺が知っている人?」

「いいえ。わたしたち誰も会ったことはありません」


 へえ。まだ俺達に関わらずに強い人がいたんだ。


「その人も言えない?」

「いえ。名前は天堂御々(てんどうみお)」

「女性?」

「いいえ。男性です」


 名前の響きが女性ぽかった。


「あなたの母親の上司ですね」


 つまり白仮面のトップ


「SCOって覚えていますか」

「覚えているも何も俺の夢だった職業じゃん」


 日本で最も難易度の高い職業

 犯罪者を自分のモノとして扱い、使用できる警察官。


 他作品を使って例えるのは卑怯だが、犯罪係数が見えるアニメの執行官といったところ。


「その職も兼任しています」

「神じゃん」


 尊敬してきた。


「その人は何でランキングに載ってないの?」

「国防の要であるからと、対人に特化しすぎているから」


 なるほどね。


 確かに対人に特化した能力は評価されづらい。


「じゃあれか。俺でも対面したら普通に負ける可能性があるのか」

「はい。むしろ対面しての勝負なら、若干嘉神さんが不利です」


 よかった。

 日本の未来は明るい。


「現状日本の未来を暗くするのは嘉神さんだと思うんですが」


 ひどすぎる。


「残りは……まあ、いいですか」

「え? 気になる。最後まで言って」

「嘉神さん側にこうすれば100%勝てるという明確な解答がありますが、一切何もしないという条件でならなんとかなるかなあという人が」


 そこまでくると、実質不可能だ。


「今度はわたしから聞いてもいいですか」

「なに? 大事な質問?」

「まったく」


 じゃあ気楽に答えるか。


「最も強い能力って何だと思いますか?」


 最強の能力とは何か。

 確かに気になる。


「難しいなあ。耐性は考えなくていいんだよね」

「はい。むしろ考えてはだめです」


 俺達は『時間』系などの能力は効かないので、そういった能力が最強になりえない。


 ただそういう上下や耐性がなかった場合の話。


 あくまで思考実験の話。


「間違っても俺の能力じゃないのは確か」

「コピー系ではないと」

「バスケットボールで例えたら分かりやすい」

「バスケット、ですか」

「そそ。例えばものすごく高くジャンプできる能力とか、物凄い柔軟なプレーができるとか、存在感を無くすとか、そんな技があるじゃん」

「恐ろしいくらい怪しいたとえをしますね」


 別に伏字使えばいいだろ

 大丈夫大丈夫へーきだから。


「便宜上コピー能力を黄と呼ぶね」

「すがすがしく隠す気ないですね」

「でさ、黄は5分間だけ全能力コピーできるという能力があるじゃん」

「はいはい」


 黒〇スね。


「でもあれって、結局使うのは緑だよね」

「赤も結構使いますけどね。それがどうかしました」

「じゃあさ、そいつ緑がいない世界線でどう戦うんだ」


 3P出来る能力が無ければ


「ぶっちゃけ2Pしか入らないし、適当に走らせておけば勝手に時間切れになるよな」

「……そうですね」

「つまりさ、黄って緑がいてくれるから強いわけで、いなければそこまで強くないわけよ」


 リアルバスケに黄を突っ込んでも、大したことならない。


「他人のふんどしで戦う能力を最強とは言わない」


 もしくは言いたくない。


「同じ理屈で父さん母さんの奪取や無効も最強ではない」


 強いのは確かだし、無敵に近いのも確かだけど、それでも最強ではない。


「あと誤解を恐れずに言うけど、身体能力系はそこそこだと思うがドラ〇ンボールのナ〇パ理論はゴミだと思う」


 もちろん超悦者を抜きにして考えている。


「何でしたっけ? その理論」

「強さが違いすぎると能力が効かないってやつ」

「あーあるんですか。公式にそんなの」

「さあ?」


 最強キャラは飴玉に変身させられてるし、吸収はバリアを張らないと防げないけど。


「それでさ、敵が能力を使う前にぶん殴るとか、効果が自分に及ぶ前に蹴り殺すとかならわかるんだけどな、あいつら強いからそんな能力ききませーんっていうんだよ」

「ほんとにそんなこと言う人いるんですか?」

「いる。現に感想欄にそういったこと書きこんだ奴いるから」


 びっくりした。

 都市伝説と思っていたのに、そんなこというなんて。


「でさ、結局それって本人が強いんじゃなくて、精度の高い無効化能力が強いだけだよね」


 結局それは腕っぷしが強いんじゃなく、無効化能力が強いだけ。

 故に神薙信一の無限の能力の下位互換でしかない。


「ド〇ゴンボールのキャラが他作品より強いのは純粋な強さからではなく、とっても強い無効化能力があるから。身体能力は長所であらず、なんて言われて納得する?」

「しませんね」

「そそ。でも結局そう主張をせざるを得ないってことはそれくらいなんだと思う」


 結論、身体能力は無効化以下。


「それで、嘉神さんの意見は何ですか」


 これまでは俺が否定するだけだった。

 主張をするなら自分の立場を明確にしないと、ただの批判野郎になってしまう。


「時間停止に類するものが、最強」


 正確にはちょっと違うが。


「へえ。その心は?」

「ゲームとかでさ、速度が重要ではないゲームってないよな?」


 どんなゲームもspeedやAGIが命。


「そうですね。パラメータが複数あるゲームにおいて、それが重要ではないゲームはないでしょう。役割を持てないから捨てる人たちを除いては」


 別に彼らは素早さが遅ければいいという主張ではない。

 あるに越したことはないが、それ以上に重要なステータスがあるだけだ。


「相手より先に攻撃するも重要だが、それと同じくらいそれ以上に重要なことがある」

「何ですか?」

「相手から攻撃される前に倒し続けたら、ずっと行動できるっていう点だ」


 これが重要。


「疑似的に行動回数を増やしている」

「なるほど」


 乱暴な話、行動回数が全て。


 これを増減させるゲームで、この値を無視できるゲームは無い。

 これを上げることこそが最優先のはずだ。


「行動回数をいかに増やすか、または敵の行動回数をいかに減らすか。これが重要」

「だからこその時間停止」


 そうだ。

 時間停止ならば、自分だけ行動回数を延々と増やし続けることが可能。


「神薙先生じゃないんだが、人間やれば何でもできるんだから」


 だからこそ、やったり、やらせなかったりが重要。


「ありがとうございました。いい暇つぶしになりました」


 それはよかった。


「ところで嘉神さん、この流れで非常に心苦しいのですが……」

「どうした?」


 月夜さんにしてはしおらしく、顔を赤くしていた。


「わたしと、遊園地に行きませんか?」




ちなみに

300オーバー

嘉神一樹ならび大体の章ボス

200以上

嘉神夫妻

100以上

月夜幸

100以下

時雨驟雨

10以下

衣川早苗

免罪体質

宝瀬真百合、神薙信一



だと勝手に思っています


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