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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
8章 人という名の
219/353

悪魔とヒーローの遭遇

第一声が新年のあいさつなら、予約投稿を間違えたと勘違いしてくださる読者の方がいるかもしれないので改めて



あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします

 ギフトが社会的に認められている帝国では、日常的にギフトの恩恵を授かることになる。

 たとえば今俺がいるこのスキー場もそうだ。

 通常スキー場は場所にもよるが11月から運営し、雪が解ければ一旦運営をやめるだろう。


 しかし帝国では気候を自由自在に操作する能力者が存在するため、十を超えるスキー場は年間営業をしている。


 ぶっちゃけた話帝国はこういった観光業が第一の収入である。


 まあそういった背景があるので、修学旅行の行き先としてはなかなかな施設で、俺もいざ滑ろうとしたところで


「正直な話、スキーってつまらなくありません?」


 水を差される。


「別にスキーという競技が悪いって話じゃなくて単純に超悦者と相性が悪いってことです」

「……」

「だってどんなに切り詰めても滑るよりも走ったほうが速いですし、滑っても好きなだけ距離は伸ばせます。自分で完結する競技はつまらないって話です」


 いわれなくてもなんとなくは察していた。

 ただここではいそうですねと返すのも芸がないので


「知った仲でもなく、名乗ってもいないのに同意を求められてもな」


 お互い個人的には知っているが、こうして個人で話をするのは初めてなはず。


「あ、そうですね。名乗ってませんでした。自分は九曜白夜。第一帝国学園二年A組、そして帝国四天王の一角をやってます」


 髪の色はギフトもちには珍しく、黒を基調とし、その要旨は中の上もしくは上の下。

 おそらく本気で覚えることをしなければ5分で忘れそうな、特徴のないのが特徴の顔立ち。


 しかしだからといって不快感を覚えさせるなんてことはせず、むしろさわやかな印象を与える。


 彼を一行で表現するのなら「どこにでもいる高校生(大嘘)」


「嘉神一樹。博優学園二年十組、それ以外の方外はせいぜい超者ランク2位くらいしかないな」


 明確な順位は忘れたが、確かシュウより一つ上か下かだったはず。


 どのみち俺の下であることには変わらない。


「それでスキーがつまらないから何だって?」

「こういった競技で楽しくする方法は対戦があります」

「対戦って言ってもな。俺は修学旅行できているから、あまり大きくは動けないんだが」


 やろうと思えばマッハで下れるが、そんな迷惑なことはしない。


「だったら駄弁りながら一緒に滑りませんか。お互い直接聞いてみたいことはあるでしょう?」


 最初は断ろうとしたのだが、確かに聞いてみたいことがないわけじゃない。


「いいな。交互で何か聞きあおう。パスはしてもいいがその場合は質問を変えてもう一度質問をできるというルールでどうだ?」

「いいですね。のります。先手はどうぞ」


 ここで先手を譲ってもらわなければ、上下の関係で俺から奪うつもりではあった。


「じゃ、俺からいくぞ」


 滑り始める。


「九曜家って陰陽師といううわさを聞いたんだが、何をしているのか具体的に聞いていい?」

「え? あ、いいですけど。帝国の話とかじゃないんですか?」

「いや、あんまり」


 帝国のことはシュウにある程度やらせることになった。

 だから内政がどうとか世論がどうとかは最早興味がなくなった。


「あ、答える前に俺が知っている情報は幽霊とかの除霊や霊脈の監視とかだから、それだかならそれだけといってほしい」

「そういえば十日姉がそっちにいましたね。そこからの伝ですか」

「そそ。で、回答は?」

「答えます。まず十日姉は分家で自分は本家ですので、教えたことが違っている場合こっちが事実だと認識してください」


 一子相伝の情報とかあるもんな。

 納得。


「オフレコでお願いしますね。自分たちがメインでやっているのは妖怪村の監視というより……管轄です」

「え? そんなのがあるの?」

「ええ。妖怪は現存していますよ」

「あ。待った2回ね。1回は今のは相槌で質問じゃない点。もう一つは疑問点は妖怪という存在を疑っていたわけではなく、妖怪なんていう人外がこの地球上に存在するという点についてだ」


 だって考えても見ろ。


 神薙がそんなものの存在を認めるか?


 でもよくよく考えてみると、お付の一人がおきつね様だったりしているから、そこまで閉鎖的な考えではなかったりするのか。


「鬼や天狗とかか?」

「そんな人に仇をなす化生は存在しません。地上に出ているのは呪わない狐、捕らえない雪女くらいです」


 雪女っぽい人もいたことだし、ひょっとしてこれ7人のうち2人の家族か?

 殺してやりたいけど、自分の身内の身内だから温情をかけて生かしてやる。


 やばい、すごい簡単にその光景が浮かぶ。


 あの人俺より身内に甘くて敵に厳しいから。


「じゃあ次自分がいいですか?」

「いいよ」

「結局のところあなたのギフトって、キスをすれば相手の能力を模倣もしくはそれに順ずる能力なんですか?」


 沈黙。


 まあ帝国民も馬鹿じゃないか。


「見直したよ、ご明察だ」


 初手でこんなことを聞いてきたということはそれなりの自信があってのこと。

 その自信を確信に変える代わりに、代わりに一つ質問する権利を失わせたと考えれば、言うほど悪くない。


 と、ここで滑り終わる。


 しかし雪上では光が反射してまぶしいが、それと同じくらいに視線が刺さる。


「すみませーん。いいですかー」


 隣に立っている杉よりも頭の悪そうな二人組みの女が話しかけてきた。


「あのー。写真とってもらいたいんですけどー」

「あ、いいですよ。いいですよね」


 あ、俺に聞いてるのね。


 仕方なく頷く。これがよくなかった。


 近くにいた他の女たち、いや男女問わず群がって


「あの、帝国新聞です。一枚お願いします」

「これ、名詞なんでっ、 よかったら連絡ください。待ってます」

「お兄さんたち。ぼくの動画に出てください」


 こいつら……


「えっと、その待って。とりあえず色を見せて順番に並んで」


 この色というのは、前に説明した三累権の制度で、その人がどれだけ権利を所持しているのかをわかり易くするため、免許証や諸々に色をつけてアピールするという習慣らしい。


 赤が一番上で、そこから十二色のあれを時計回りにいくことでランクが落ちていく。


 俺たちがオレンジでこの場所には2人しか存在しない。


「どうします? 何色まで相手します?」


 ぱっとみ、30は人がいる。

 一人一人相手するのも面倒だからな……


「しゃーない。増やすか」


 自分のクローンを生成。

 正直名前忘れたけど、なんだかんだ使えるからまあいっか。


「増えるのか・・・・・・」


 敬語がとけ素が出たようだが、この能力は有用であっても有力じゃないからな。


 俺の力を図るのにはまだまだ足りない。


「どうした? 白夜君は増えることができないのか?」

「・・・・・・・・・・・・ふう、わかりました」


 長い精神統一のあと


「影分身の術だニン」


 10人の九曜白夜が出現した。


「おおぉ。すっげえ」

「きゃー21Pよー」


 外野が騒ぐがさすがに始めて肝が冷えた。


 まずこれは残像ではなく、純粋に数が増えるタイプの影分身である点。

 つまり超悦者の能力ではないことが前提になる。


 そして当たり前だが、トップ10に入る能力者が、影分身の能力者なんてありえない。


 1兆人出そうが、100番台がいいところだ。


 あとあの驚き方は、少なくともその瞬間はできない人間がする驚き方。


 以上のことから導かれる答えは自分で能力をつくった。


 そう考えるしかない。

 だがそんなことを、仮にも敵である俺に見せるだろうか。


 否、見せるわけがなくだったらこれは俺がクローンを出したのと同じ理屈。


 能力を作る能力が見せゴマにしかならないと判断したから。


 そしてそれを見せゴマにするということは自分の能力はもっと上にあるという表れでもある。


「どうしました? 笑ってくれないといい写真が取れませんよ」

「悪い。まぶしくてな」


 いったいどういう能力なのか。

 ファンの人たちを相手している最中じっと考えていたがわからなかった。


 罠だとは思うが仕方ない。


 2週目のリフトに乗っている最中


「九曜白夜、質問だ。お前の能力は能力を作る能力ではないんだよな」

「……さすがというか、なんというか」

「で、どうなんだ?」

「お察しのとおりです。自分のギフトは能力を造る能力ではありませんが、片手間に能力を作ることはできます」


 やべえ奴じゃん。

 俺は確かに能力を数十と持ってはいるが、自分でゼロからつくる能力は持ってないんだよな。


「では次は自分から。最早隠すことはしません。あなた『法則』の能力をいくつ持っています?」


 答えは2


 人形にダメージを移す能力と、片方が壊れない限りもう片方も壊れない能力


「パス」

「では世界」


 これはいくつだっけか?

 廻廊同穴と反転世界と二次色の筆と獄落常奴


 あとは組み合わせでどうこうするのが2つ3つあるがそれを答えに入れるのはどうか。


「4」

「あ。意外に少ない」


 煽られたー

 チョーショックー


「そうだな。次は俺の番だな。残りの四天王の印象を聞くのは1回に含まれる?」

「……次自分が外道五輪の印象を聞いて答えてくれるのならありにしましょう」

「じゃあそれで」


 ギフトを聞いても答えないし答えてくれないのはお互いに承知している。


 だったらどういう人間かを知っておくかが重要になる。


「まず、祟目崇さんですね。あの人とは仲がいいのでそれなりに話せます。少し言葉遣いに特徴はありますが、基本的にいい人です。何というかスターとしてのオーラをま……持ちながら近所のお兄さんの親しみやすさも持っているような、」


 何となくただものじゃないとは思っていた。


「それで、叢雲天狗は?」


 頭に鉢巻を巻き付け、そでを通さないジャンパーを身に着けているいかにも頭の悪そうな男。


「パス」

「え?」

「すみません。よくよく考えるとその人がどういう人かは言えません」

「おいおい。そりゃないだろ」

「4人の内、2人パスありでどうですか?」


 聞ける人数は互いに2人。だが向こうは3分の1、こっちは2分の1隠せると考えたら悪くないか。


「いいだろう。それで? 氷室さんは?」

「あの人は帝王様のおつきというか、ずっと一緒にいるような人ですね。でもやっぱりいい人です」

「良い人しか言ってないじゃないか」

「実際そうなんですし」


 まあな。

 健全な肉体に健全な精神が宿るっていうし。


 ある程度の高みに到達すれば、まともな思考回路になるのは仕方ないか。


 カヌーとは違うのだ。


「じゃあ俺も、シュウも早苗も真百合も月夜さんもいい人だ」

「ガバガバすぎでしょ。もう少し抽象的に」

「真百合は理性的に優しい。シュウは人情的に優しい」


 月夜さんは大局的に優しく、早苗は絶対的に優しい。


「次は俺の質問でいいんだよな」

「どうぞ」

「逆に帝王は神薙信一のことをなんて言っていた?」

「それはこっちから聞きたいことなんですが」

「別に隠して損することないから、これだけは全部明らかにしようか」


 出した情報に関しては俺の方が多かった。


 ギフトがバランス調整のために存在するという話。

 すべての能力を無限に持っている頭のおかしい話。

 女を侍らせて下ネタを発しているきもちわるい話。


 そしてなにより、俺達が何をしようがあいつには絶対に届かないという話をした。


「帝王も同じことを言っていました。何があっても神薙信一だけは戦うな」

「まあな、大体こっちも同じ意見だが戦うなというのは間違っている」

「?」

「こっちが殺す気で戦っても、向こうはじゃれあいで済ませてしまう。そして当然あちらの方が強い」


 たぶんあの男は人生で一度も戦ったことがない。

 相手の力量を見極められない知能ならばよかったのだろう。


 だが残念なことに(真百合いわく)知能も一級品のようで、


「外が荒れているときには室内に立てこもろう。そういった話だろ?」


 やはり関わるなが対処法としては正しい。


「あとそうだな。そうそう、そうだそうだ。大切なこと聞き忘れてた」


 何で忘れていたんだろ。


「なんですか?」

「モンスターって何?」


 たびたび話題にはなっていたが。


「うーん、どうしよう。ま、いっか」

「で?」

「モンスターは宇宙人の残党です」


 とんでもないこといいやがったな。


 宇宙人は200年前に世界を滅ぼしかけた存在。

 ユダヤ人にとってのナチス人。


 それを全世界に拡大したものなんだからその恨みは計り知れない。


 国どころか国連が総力を挙げて根絶やしにする案件だ。


「あ、でも安心してください。敵じゃないです」

「敵じゃない?」

「無限に湧くだけで、ものすごく弱い。自分どころかそこらへんのギフトホルダーの攻撃でワンパン」


 シュッシュッとシャドーボクシング


「最初の五文字でどう考えても安心できないんだが」


 無限湧きとかめんどくさすぎるだろ。

 まあ、対処法がないこともないが。


「せいぜいアライグマ程度の害獣なんですけどね。実際にそれがいると知った時のややこしさが……分かるでしょ?」


 印象って大事だもんな。

 アライグマなんてたぶん農家が絶滅させたい生き物トップ3に入るのに、某アニメと某アニメのせいでそこそこな人気な動物になっている。


 逆にゲジゲジは実際そこまで害はないが見た目の気持ち悪さでたいそう気持ち悪がられている。


「それを俺に伝えてよかったの? 俺が口外するとは思わないわけ?」

「最初はその可能性もあるなって思いましたけど、まともな知能があれば自分たちにも帰ってくることにも行きつきますし、何より善人ならそんなことしないでしょ?」

「まあな。俺は善人だからな。そんなひどいことはしない」


 納得した。


「モンスターがどんな姿かたちをしているかを聞くのは質問に入るか?」

「いえ。それはおまけで自分が答えます。ですがその問いかけには正しく答えることはできません」

「ん?」

「わかんないです。宇宙人といいましたがタコみたいな足があるわけでもなく、また出目金のような目玉があるわけでもないんです。やはり二足歩行の人と同じようなものなんですが……」

「なんだ。煮えくり返らない言い方だな」


 歯切れが悪い。

 もっとこう、はっきりと簡潔に。


「見ればわかる。そして見た瞬間に皆同じことを思う」


 ゴーグル越しからでも確かにわかる。

 嘘偽りなく純粋に


「吐き気がするほど気持ち悪い」


 明確な敵意があったのだった。


 しかしその表情は一瞬で崩れ


「じゃあ次は自分ですね。そうですね……そうだ! 外道五輪のなかで恋人にするなら誰が良いですか?」

「はあ?」


 何でそんなことを急に聞くんだ。


「だってほら、3人とも綺麗ですし可愛いじゃないですか。さっきまでは国代表の質疑でしたけど、もう聞きたいことは終えたので、個人個人の話をしましょう」

「で、恋人にするならの話にはいったい何の関係があるんだ?」

「まあまあ、質問ですしその良しあしを判断するのは自分ですから。ね?」


 まあいいけど。


 しかしどうしたものか。


 恋人にするなら、ねえ。


 正直な話3人には全くそんなこと考えたことない。


 だって俺達は固い友情で結ばれているんだから、そんな不埒な考えを持つのは不敬極まりない。


 でもせっかくの質問だし3択なんだから適当に答えるのが、内心得だと理解している。


 嘘でも適当に誰かを指名しよう。


 で、だれがいいだろ?


 恋人にしたいで最初に思い浮かべた早苗とでも答えておくか。


「そう―――」

「あぁっ――――見つけたっ!!」


 甲高い声が節減に響き渡る。


「学校さぼって何スキーなんかやってるのっ! 馬鹿なの?」

「いや、これは」

「どうせあんたのことなんだから適当な女でも探してたんでしょ!」

「そうじゃないって。これは仕事だから」

「仕事? さっきSNSで女の子に囲まれてニヤニヤしている画像が拡散されたけど? それも仕事?」


 気になって俺もスマホで確認する。


 確かに九曜白夜案件で多くのリツイートが確認された。


 ちなみに俺の名前で検索するとC国よろしく検閲が入るので、つぶやいた瞬間に拡散されることはない。


 内容が良ければ一時間後、悪ければそのままアカウントが停止になる。


 大体真百合のせい。


 ついでに俺は一つ名案を思いつく。


 このまま質問の件をぼかして有耶無耶にしてしまおう。


「お嬢ちゃん、可愛いね。どう。今夜俺と一緒に」

「はあ? 何言ってんの黙ってて」


 ひどい。


 でもめげない。


「嬢ちゃん。自分の立場分かってる?」

「はあ? それはこっちのセリフよ。アタシの色を見てよくそんな口が利けるわね」


 色って言ってもな。


 確認したけど俺のほうが格上だし。


 しかしそんなことはどうも向こうが気づいていないようである。


「こら! まずいって! そんなこといっちゃ」

「アンタのナンパ仲間にどうあたろうが勝手でしょ?」

「だから仕事で、この人、2位の人」

「2位? 夜のホストランキングが2位? で、あんたが1位だって自慢してるの!?」

「だーかーら。超者ランク2位、嘉神一樹さんだって」


 俺の名前を聞き、怒りで真っ赤に染まっていた顔が、一気に蒼白色に染まる。


「え?」


 俺の顔を見た。


 折角なのでゴーグルを外す。


 その後スマホで俺の顔写真を確認。


 二度三度往復。


「本人?」

「本人」


 この寒空では涙ですら凍る。


「なんでそんな人がアンタと一緒に」

「仕事で接触してるって最初からいってるだろ」


 男のほうが正論。


「いい加減人の話を聞くのを覚えて」

「わかった」


 こういう手合いは絶対に忘れる。

 10円かけてもいい。


 しかしどうも涙目でがくがくしているのを見ると笑いが止まらん。


「名前、なんていうの」

「えっと、その……」

「まさか名前すら忘れるほどの知能だったわけ?」

「そんなわけないでしょ、このウスバカ――ゲロウって可愛いですよね。はい」


 これはこれで面白いな。


 からかったらぼろが一瞬で出るタイプ。


 これほど煽りがいのある相手もそうはいない。


「で、本当に名前は?」

「どうしよう白夜。いったら家族が皆殺しにされるかも」

「でもいうしかないでしょ。今言わないと本気でそうなるかもしれないし」

「名乗らないのなら、こっちが勝手に呼ぶよ。そうだな、ピンク色が豚っぽいからM豚ちゃんと呼ぼう」

「きぃいい! 誰がM豚ですって……! あ、いえ。もうそれでいいです」


 なまらうける。


 場所が場所でなければ声を出して笑っていた。


「M豚ちゃん。M豚ちゃん。最初の話だけど覚えてる」

「え?」

「今夜一緒にどう? 俺と遊ばない?」

「遊ぶって……」


 なんか九曜白夜も喰い気味だけど……そういうことか。


「遊ぶってそりゃ。いけないことさ。でも学生ならみんなやること」

「待ってください。自分も謝りますし、その……何でもしますから。どうか、この通りです。許してやってください」


 自分には全く関係のないところで深々と頭を下げる。


「白夜ぁぁ♡」


 なんかこの女、青かった顔がまた赤くなった。


「いやあ、その……勘違いしているようだけど」


 ネタ晴らしというか真意というか。


 最初からそのつもりでしか話をしていなかったけど、勝手に勘違いしてもらっては困る。




「枕投げ誘っただけなんだけど」




 というわけで次回、枕投げ編。ご期待ください。





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