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ギチギチ

 あーうざったい。


 ガシャン

 バキバキ

 ガラガラ


 潰しても潰しても、次々湧いてくる。

 ちなみに今は、巨大化コピー人形にハイハイで進ませている。これがなかなか効率的で、移動のついでにリビングドールを潰していける。なんせ前方のリビングドールを、手でなぎ払いながら左右の壁に押し付け潰すだけで良い。かなり楽だ。難点を一つ上げるとすれば、俺を抱えて運ぶためにもう一体人形を出す必要があるくらい。まあそれだってそこまでたいした問題じゃない。

 最初から変なこと考えずにこれでやれば良かったな。


 ともかく、攻略自体は順調だ。

 巨大コピー人形はどんどんリビングドールを潰しながら進んでいる。速度も、速歩き程度には出せている。

 Fランク迷宮には、危険なトラップがあることはまず無い。ギルドの情報でも、この迷宮にトラップは無いとある。万一あったとしても、前を進む巨大コピー人形が先にトラップを踏む。しかも俺はコピー人形に抱えられている。直接トラップを踏むことはまず無い。

 リビングドールは硬いが、動きは鈍い。普通に歩くより遅いくらいだ。速歩き程度の速度でも、十分振り切ることが可能だ。これにより、前方向の敵だけを警戒すれば十分になる。人形を新たに配置しなくて良いからな。


 そうこうしてる内に、次の階層への階段を見つけることができた。だいたい20分くらいか?そのくらい。

 一直線に進んでただけだから、かなり楽だった。次の階層もこのくらい楽だと嬉しいんだが。

 巨大な少女人形が大量の人間大デッサン人形をハイハイで潰していくという、フリーホラーゲームみたいな絵面はちょっとどうかと思ったが、まあささいなことだ。


 とにかく第三階層だ。

 ギルドの情報だと、第三階層では常に複数体を目視できる程の遭遇率だそう。環境としては、石造りの地下迷路。だがそんなに広くないらしく、右手法でもゴールにたどり着けるらしい。ギルドの情報は、今のところモンスターの数以外は信用できる。だからそこは少し安心だ。

 まあそのモンスターの数が致命的なんだけどなあ、

 第二階層でアレだったからなあ。第三階層ともなると…。


 なんとなく嫌な予感を抱えながら、ゆっくり階層を降りる。そして階段の出口を前にした俺が見た光景は、とんでもないものだった。


 カタカタカカチカチタガチカタカコツカチカチカチカチカチカチコツガチコツタカタカタカタカタカカチカチカチカガチチタカタカタカタカタカガチカチカチカチカチタカタガチコツカタカカチカチコツタカタカガチカチカコツチカチコツカチタカコツタカチカチカタカタカタカタカタカカチカチタカタカタカタカチカチカガチコツタカタカコツタカタカタカカチコツガチカチカチカガチチタカタカタカコツタカタカタカカチコツカガチチカチカチタカタカタカガチタカタカタカタ


 ギッチギチである。

 例えるとするなら、おもちゃ箱に積み上げられた人形。だいたいあんな感じ。

 リビングドールが、身動きがほぼ取れないほど隙間なく詰まっていて、転倒した複数のリビングドールが折り重なってるところもある。そんなのが階段の出口ギリギリから、奥の方まで続いている。階段にはみ出てこないのが不思議なくらいだ。

 リビングドールが少しでも動くと、ほぼ確実に周囲のリビングドールにぶつかる。そのためカタカタという足音に加え、リビングドール同士がぶつかる音も加わり、中々うるさい。

 にしても壮観だ。マネキン専門のゴミ捨て場とかあればこんな感じなんだろうな、なんて馬鹿みたいな考えも浮かんでくる。

 人形じゃなければ、ぽかんとアホ面をしてただろう。


 それはともかくこれをどうにかしなければ。とはいえどうにかできるのだろうか。なんせ減らせる気がしない。

 とりあえず、巨大コピー人形でなぎ払っていく。

 だがキリが無い。潰しても潰しても、どんどん追加されていくのだ。

 そうしてどんどんリビングドールを潰していくことしばらく。たぶん十分くらい。

 ようやく少し前進でき、俺は第三階層へ降り立つことができた。


 さて、リビングドールは減らすことができるとわかり、少し落ち着いてきた。

 そして思ったのは、絶対ギルドに文句を言ってやるということ。

 いくら不人気ダンジョンだからって、手抜きもいいとこだろう。仮にも新人育成を目的に残されてるんだから、もう少しちゃんと管理してほしい。これ、俺がαスキルなんて高火力かつ応用力の高いスキルを持ってたから良かったものの。多くの新人はそうじゃない。そのまま諦めて帰ればいいが、無理して進めば悲惨だったろう。


 そんなことを考えながらも、俺はちょっとずつ歩みを進めていく。環境は第二階層とそんなに変わらない。むしろ、分かれ道が少なく曲がり角が多いため、人形を押し潰すための壁が多くて第二階層よりやりやすいくらいだ。しかしやはり数が多い。

 歩くのより少し遅いくらいの進行速度。

 リビングドールにも追い付かれる程なので、後ろを守るためにもう1体。

 それに分かれ道で不正解の道を行くと、さらに時間がかかる。

 幸い先が行き止まりなら、分かれ道で少し粘ればそっちの密度がさがるので、密度の濃い方に進めばいい。


 そんなこんなで1時間か2時間か…もしかすると3時間とかかもしれない。

 俺はようやく終点──ボス部屋に到着した。





 

ストックはここまで。

またある程度書き貯めできたら投稿します

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― 新着の感想 ―
[良い点] 3つのスキルを組み合わせて戦うのが面白いですね! [一言] 「不思議の国の呪い」の代償には、吹きました。幼い金髪碧眼の少女になる~w。確かに「不思議の国」ですね……(爆)。
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