表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/124

【第19話】プライベートビーチへLet's go

 真夏の炎天下。絶好の海水浴チャンスとも言えるこの日……。駅には朝霧とファン、結月、黒崎がいた。なぜだかファンが黒崎を怖がっているのが気になるところ。

 まぁそれはともかく目指すは、黒崎のプライベートビーチ。どれだけ学園で儲かっているのだか……あの昭和の古臭ババアが。なんていう正当な意見(悪口)をそっと胸の奥にしまい込みつつ改札を抜けていく。


「水着とか持ってこなくて良いってどういうことだ?」


 ホームで黒崎に問いかける。すると黒崎は「貸し出し可能だから」と返してきた。まさか水着まで完備しているとは……。恐るべし昭和の──ではなく学園長(笑)。

 そんなことを考えているとホームに電車が滑り込んでくる。行き先表示には『急行 第二二都市“晴海海岸はるみかいがん”行き』と書いてある。

 社会の授業で習ったことだが、昔の東京都という場所には晴海埠頭という場所があったらしいが、晴海海岸とは全く関係がないらしい。

 朝霧は、そんなどうでもいいことを回想しながら電車に乗り込む。

 冷房が効いており、真夏を感じさせない。これだから夏風邪をひくやつがいるわけだ、と朝霧は納得する。


「はやて~。少し寒くない?」


 案の定ファンは、この気温差についていけてないみたいだ。朝霧は、念のために持ってきた上着をファンに着せる。


「少しはマシだろ? 晴海海岸まで少し時間掛かるから、それ着て寝てろ」


 そう朝霧が言うと「分かった」とファンは返事をして、寝る体制になる。

 寝ようとしてから落ちるまでに時間はかからなかったみたいだ。朝霧の肩に頭をのせスヤスヤ眠っている。無邪気な寝顔は、朝霧の罪悪感(性欲)を助長させる。


 ──って俺は一体何を考えてんだ!?


 朝霧は、顔をブンブンと横に振る。

 と、そんな朝霧の異変に気づいたのか、すかさず結月が話しかける。


「にしてもファンちゃん懐いてるわね~。拾った子とは思えないくらいに」


 その瞬間、沈黙が訪れる。

 結月が放った言葉は、周りの時間を止めた。黒崎の動きが完全に止まり、辺りは電車の走行音以外何も聞こえなくなった。


「…………拾った子?」


 そんな沈黙を破るように、黒崎が疑問を口にした。

 ──これはマズい。

 朝霧の防衛本能は、危機的状況だと悟った。物理的にではなく社会的に……。なぜなら、もし目の前の友達が、いきなり『幼女拾って今養ってるんだ』なんて言い出したら、普通あなたはどういう反応をする?

 普通なら一一〇番通報でお縄だ。


「あ、いやそれは……」


 朝霧が戸惑っていると結月が助け舟を出す。

 助け船も何もお前が言い出したのだが……。という正論をそっと胸にしまい込み、今は結月を頼りにすることにした。


「そ、そのね。ファンちゃん実は竜なのよ。卵の状態だったのを助けたとかで……」


 まだ朝早いため、この車両に俺達四人しかいなかったのが幸いだろう。まぁいつかは話すことだし、隠してても仕方ないよな。

 そんな開き直りに似たことを考える。しかし、黒崎の瞳は動揺の色から人をバカにする色に変わっただけだった。


「だれがそんな嘘を信じますか?」


 まっとうな意見だと思う。そりゃあ目の前の少女は、実は竜でした──なんて話、普通は信じない。『頭沸いてんのか?』という言葉で決着がつくレベルだ。朝霧は、適当に話題を逸らす。


 ──今じゃなくてもいつか話せば良いよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ