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鋼鉄のアイ  作者: 大紀直家@パブロン
スチール
22/90

ラストアタック

 タクムとアイはA隊のいる最前線から300メートルほど下がった高台にて出てくる敵を次々に屠っていた。


『狙い、敵軍中央。106ミリ、発射!』

「発射!」

 よく訓練された兵士のようにタクムは応え、106ミリ無反動砲を射出させた。砲弾は見事に敵集団の中央にいた『ジャイアントゴーレム』を直撃する。砲弾はフレシェット弾であり、着弾と共に無数の矢が弾頭から飛び出す仕組みになっている。

 大蟻の内部まで侵入した弾頭が内部で破裂し、強力な装甲を持つ生体兵器を内側から粉砕する。


 背後では旺盛な迫撃砲の射撃音が聞こえていた。放物線を描き、巣の入り口辺りに炸裂した榴弾が出てきたばかりの蟻共の装甲をガリガリと削っていた。


 タクムはブローニングM2を構え、入り口へ向けて一斉射。12.7ミリの大口径ライフル弾が、装甲を削られて弱り切った『アントゴーレム』に次々と止めを刺していった。


 戦車隊による見事な足止めのおかげで前線は安定していた。後方からは次々に迫撃が放たれ、敵を着実に弱らせていく。


 タクムはアイの指示で、動きの弱ったを狙い撃ちにしていた。ラストアタックによる経験値ボーナスが見込めるとのことだった。


 前線を支えるわけでもなく、後方から的確な支援もできるわけではないタクムが、どれだけ戦果を上げられたかを証明するには、これぐらいしか方法がなかったともいえる。

 ダメージディーラといえば聞こえがいいかも知れないが、重戦車や高火力の戦闘車両であるA隊でもそれは可能なことだ。

 この世界では大きい=強いと考えてほぼ間違いない。大きければより強力な兵器を搭載出来るし、銃弾もそれだけ積み込むことが出来る。


 蟻の巣の討伐は、報酬額100万ドルの高額依頼だが、所属する各隊によって振り分けられる金額が異なっている。まず最も危険なA隊の中で全報酬の50%が渡され、その中で等分される。最もダメージを与えられるB隊が40%を受け取り、山分け。C隊は10%という僅かな報酬しか得られない。


 しかもC隊はAB隊に比べて車両数が断トツで多く、過半数である10輌が所属している。何もしなければ2%、僅か2万ドルしか得られない計算となる。


 もちろん、今までのような小さな依頼とは比較にならないほどの額だが、アイの事務能力により、一度の狩りでこれぐらいの金額なら稼ぎ出せるタクム達にはなんとなく物足りなく感じられた。

(無論、巣発見による功績でギルドから特別ボーナスが出たのと、その後の弾薬買占めで得た巨額の資金については既にその存在を忘れている)


 が、巣討伐によって得られる報酬はまだまだ存在する。


 生体兵器のカードと素材である。生体兵器は死ぬとカードを落とし、その際、誰に倒されたかの情報を残してくれる。


 これだけは各自で倒した分だけそれぞれ報酬として分配されることになっている。もしもこれまで山分けなどと言っていたら、C隊の士気が下がりまくって大変なことになっていたはずだ。


 カードの買取額は小蟻が200ドル、大蟻が2000ドルだ。タクムは既に小型を30体以上、中型も4体は仕留めており、総額10万ドル近い相当額の報酬が約束されていた。ちなみに他の隊では倒しても小型10体、中型は1体かか2体といったところなので、タクムの砲手としての資質の高さを示している。


 そもそもノウハウが違うのだ。


 最近は<アリクイ>ことタクム達の活躍により、ガンマの街だけでなく近隣において、蟻素材は常に安定して供給を得られる代物となっていた。

 タクム達は三日一度の出動で平均30体以上のアントゴーレムを狩り、中型も日に一度は倒している。月産では小型300体、中型10体もの蟻型生体兵器を倒していた。それを三ヶ月も続けてきた。


 1000体近い戦闘経験は、もはや対蟻戦の専門家プロフェッショナルと言っていいレベルであり、<アリクイ>という二つ名は、ギルドや他の開拓者からの敬意の現れ――派手に稼ぎまくる新参者に対する僻みやからかいの意味も多分に含まれている――でもあった。


 ガンマと周辺の村々を合わせれば開拓者の数は千を超える。千名の供給開拓者ギルドが満たしきれなかった需要を僅か一名で補っている計算になる。むしろ最近は若干、供給過多気味であり、事務官たるアイはしばらく依頼の受諾や素材の売り出しを控えようかとぼやいていたほどである。


 タクムは、どの程度の攻撃を、どのポイントに、どれだけ当てれば殺害できるかが分かってしまっている。最適化された攻撃、圧倒的な戦闘経験によるステータスに上らぬスキルが、火力に勝る古参開拓者達をも上回る速度での殺害ラストアタックを可能としていた。


『マスター、次は敵右翼が固まってるよ!』

「了解!」

 タクムはそう言って、再び装填された106ミリ無反動砲を、ブローニングM2を構える。


『ちょ、待って! 攻撃中断! ちゅうだーん!!』

 珍しく慌てたアイの声にタクムは銃撃を中断した。

「なんだ、どうした?」

『上、空を見て』


 抜けるような青、強い日差しに目を焼かれながらタクムは認識する。


 ――ジャイアント、スカイ……。


 太陽光を跳ね返す、銀の外殻。すっと細身のシルエットは蟻というよりも蜂に似ている。戦闘ヘリほどの大きさをしたそれは四枚の羽を瞬かせながら膨らんだ腹部を戦車隊に向けた。


「キシュゥゥゥ――ッ!!」


 ドン、と上空で鈍い音が響き、バスケットボール大の半透明な球体が恐るべき勢いで飛来する。重力の助けを借りて加速しながら逃げ遅れた装甲車のひとつにぶち上がった。


 装甲車の砲塔が消えていた。数リットルという液体が、数トンという巨体を飲み込んでいく。大量の煙、じゅわじゅわと装甲板が丸裸にされていく。


「――ッ!?」

 そこでタクムは見た。


「ぐあッ、ぎゃあぁぁぁぁぁ――ッ」

 見て、しまった。


 生きたまま溶かされていく人間の姿を。髪が解ける、肌が剥がれ、顔を出したピンク色の筋肉組織が蕩けていき、真っ白な骸骨となり、それすらも、消えた。装甲車と人が入り混じった溶解液が地面に広がっていく。


「なんて、威力だ……」

 タクムは戦慄した。いくらなんでも強すぎる。


 ――有り得ないだろ、こんなに勝てるのか!!


 あきらかに蟻酸のほうが容量が少ないというのにその数千倍という体積を持つ、装甲車を丸々一輌溶かし切る。通常では有り得ないことだった。


『大丈夫。多分、彼らの車両には蟻から取れた装甲板を使っていなかったんだ。きちんと対策を取っておけば二、三発直撃したくらいじゃビクともしないよ。ほら、これスペック表』

 恐怖に駆られたタクムに、アイが言った。


-------------------------------------

ジャイアントスカイ

蟻型生体兵器の亜種。

サイズこそアントゴーレム程度だが、飛行能力を持つため、移動能力は比較にならない。また地上種と異なり、生体砲弾の口径こそ下がったものの、連射が効くようになり、脅威度が上がっている。

上空から放たれる蟻酸砲弾は危険極まりない。


また全身を覆う白い外殻は、薄く軽量ながらジャイアントゴーレムと同等以上の強度を持つとされており、撃墜は容易ではない。開拓者の中では<爆撃ヘリ>とも呼ばれている。

熟練の戦車乗りですら裸足で逃げ出すほどの強敵であり、その脅威度から特型に認定されている。


脅威度:B

生命力:C

近/中/遠攻撃力:F/B/B

装甲:C

俊敏性:B+

-------------------------------------


 タクムは携帯のディスプレイに目を落とす。するとどうだろう、縮こまった心が解けていくのが分かった。


 ――まるでゲームだ。いや、違う。これはゲームなんだ!


 蟻酸など何を恐れることがあろうか。あんなもの屁でもない。


 マイクロ戦車は以前、装甲板の総入れ替えを行ったことがある。使用した金属は文字通り売りに出すほど有り余っているジャイアントゴーレムの外殻だったのである。


 自分の武器で自分を傷つける生物はいない。アント種は体内で蟻酸を体内で生成するため、外殻にも強固な耐酸性能が施されているのだ。


 当然、蟻合金を使った戦車は酸に対して強い。


 タクムが駆る<シーサペント>の装甲板は99%がジャイアントゴーレムの外殻から作られており、他の戦車を圧倒している。いかな特型生体兵器の蟻酸だろうが怖くはない。


「装甲ケチった奴等が悪いって?」

『そうそう、自業自得だよ。だからマスター、やっちゃって』

 おう、とタクムは応えてブローニングM2を構えた。仰角を最大に、上空300メートルの位置でホバリングをしている蟻ヘリに向けて銃撃を放つ。


 その寸前、二本の閃光が重なり合って上空を切り裂いた。


 タクムがその出元を見れば、そこにはコバルトブルーの主力戦車<セリエ・アール>の威容があった。後部に備えた二門のブローニングM2に砲手が張り付いている。


『蟻金属さえ張ってれば大丈夫だ! 装甲に使っているやつは前に出ろ!』

 無線からはデル・ピエロッペンの叱咤の声が響いている。


 ジャイアントスカイは上空で身を捩り、四つの羽を瞬かせ、二本の斜線を巧みに躱していた。空蟻は回避性能が高く、一方向からの攻撃では見切られてしまうようだ。


「アイ!」

『了解だよ』

 マイクロ戦車がドルルルとエンジン音を響かせて、空蟻を挟むようにセリエ・アールと平行に並ぶ。


 ――|十字砲火がジャイアントスカイを打ち据える(ガガガガガガガガガガガガガガガガガ)――


「キシュー!」

 曳光弾の輝きが空蟻の腹部に吸い込まれる。


「クソ! 硬てぇ!」

 ジャイアントスカイは一度高度を下げ、しかし、自由落下の速度を活かして射線から逃れる。その飛行には何の変化もないように見えた。


 どうやら12.7ミリ弾の掃射はジャイアントスカイの装甲を僅かに傷つけるだけに終わったようだ。


『マスター、ハッチの中に!』

 そればかりか、怒りを買ったのか猛烈な砲弾の反撃を受ける羽目になった。

 いかな耐酸装甲とはいえ、生身の体に受ければひとたまりもない。タクムは慌てて車内に飛び込み、舌を鳴らした。


「アイ!!」

『大丈夫、当たらないよ。ちょっと待っててね』

 車体がぐんと傾ぐ。滑らかな四脚の足が大地を噛み、ローラを高速回転させる。背後で砲弾が破裂する音が聞こえてくる。直撃はない。一度に大量の蟻酸を浴びせられなければマイクロ戦車は溶かせない。


 ジャイアントスカイの生体砲弾は小さい分だけ連射が効くようだ。しかし、マイクロ戦車も小さい。アイはランダム軌道でシーサペントをちょこまかと動き回らせて、生体兵器を翻弄する。


『ねえ、君たち? 戦わないなら帰ってくれない? デカイから進路取るのに邪魔なんだけど』

 オープン回線に繋げたアイは、嘲笑混じりのヴォーカロイド声でそう言った。


『その通りだ、てめえら何ぼさっとしてやがる!』

『くそ、負けてたまるか!』

『こんなちんまいのに舐められたままでいられるか!!』

 アイの挑発に、隊長機の罵声に当てられて、崩れかけていた前線が徐々に安定し始める。


 車外カメラの映像には次々に重ライフル弾を浴びせられるジャイアントスカイの姿があった。


 十字砲火どころの話ではない。周囲にいた20輌の戦闘車両が機銃を一斉射したのだ。幾筋もの火線がジャイアントスカイに張り付き、ガリガリと外殻を削っていく。


 何十もの火線が重なり、戦闘ヘリをも撃ち落とす重ライフル弾が空蟻に叩き込まれる。

 

「キシャー!!」

 200発は浴びせただろうが、蟻は未だに空に留まっている。地面に落ちる様子はない。動きこそ鈍ってきたが、銃撃の合間を縫っては生体砲弾を射出する程度には元気だ。


 なんという生命力だ、とタクムは驚きを隠せない。ジャイアントゴーレムであらば既に死に体だろうに、飛行どころか戦闘まで続けている。


 しかし、不思議だった。先ほどタクムはブローニングM2をフルオートで5秒――60発ほどの銃弾を吐き出したわけだが、そのうち命中したのは20発程度であった。


 慣れない対空射撃のために重機の反動で手元が狂ったと言われればそれまでなのだが、タクムの膂力(STR)は既に常人のそれではない。慣れ親しんだブローニングM2の反動を見誤るはずはなかった。


 ならば狙いが悪かったのかと思えば、それはもっと有り得ない。タクムには弾道予測がある。彼はその銃器の有効射程内であればどのような射線でも追うことが出来る。


 60発の内50発は奴の体を捕らえるはずだった。多少避けられたとしても本来であれば今の倍、40発程度は当たっていなければおかしい。


「風か……?」

 あの巨体を持ち上げるのに必要な風力、あるいは揚力はどれほどであろうか。きっとジャイアントスカイの周囲には暴風――12.7ミリ級の重ライフル弾をも吹き飛ばす乱気流が発生しているのだろう。


『ブローニングM2ならただの風なんてものともしないよ。多分、魔法による磁場だろうね』

「魔法ね、」

『うん。だって、あんな巨大な鉄の塊をあんな小さな羽根で飛ばせるなんておかしいと思わない? それにさっきから砲弾出しすぎ。体積の半分以上が蟻酸で出来ていることになるよ』

「じゃあ、あの羽は飛行用ってだけじゃなく、銃弾の方向を狂わせるバリアの役目もあるってことか」

『恐らくね。エアシールドと同じ仕組みだと思う。規模はぜんぜん違うけど』

 エアシールドは自分の周囲に空気の膜を作って、銃弾を逸らしたり、威力を軽減できたりする近接戦闘――CQBスキルだ。タクムの能力ではコルトジュニアやスタームルガーMk1のような護身用の小型拳銃程度しか防げず、9ミリパラベラム弾クラスの大口径の拳銃弾になると弾道を逸らすことも出来ない。防弾服を合わせて使用することで初めて効果が発生するぐらいのものである。


「対応策は?」

 ここらでいい加減、落としておきたい。戦端が開かれてからかれこれ1時間は経っている。銃弾は豊富に用意してきたつもりだが、もう2割を切っていた。他も同じようなものだろう。このまま無駄弾を消費し続ければ最悪、銃弾が尽き、撤退からの壊走などというシナリオも有り得た。


 無抵抗な状態で空飛ぶありんこに追い掛け回されるなんて目も当てられない。


『そうだね、一応、あれも魔法だから同じようにこちらも魔弾で対抗するしかないんじゃないかな?』

 魔弾。弾丸に自らの魔力を与え、属性を変更して撃ち出すという特殊な弾丸のことである。


 実戦で使ったことはない。今まではどんなに硬い敵だろうとブローニングM2とバズーカ砲さえあればなんとかなった。しかし、大型や特型などという化け物相手にするなら、そんなファンタジーめいたものを使わなければ敵わないということだろう。


「わかった、やってみる……何を使えばいい?」

『フレイムランチャーかな。一番SPを使うから、その分、抵抗力もあると思う。迫撃砲かRPG-7で使えるけどどっちにする?』

「RPG-7を使う。こっちはまだ弾が余っているからな」

 タクムの有する兵器の中でも最高の火力を誇る106ミリ無反動砲だが、残弾は3発しかない。撤退や帰路のことを考えると出来るだけ残しておきたかった。


 タクムは砲塔からロケットランチャーを構えた。ブローニングM2の12.7ミリ弾が音速を超えるのに対し、ロケットランチャーは速度面で遥かに劣る。ついでに誘導弾でもないため、飛翔物にぶち当てるのは至難の業だ。


 ――タイミングは敵が動きを止める寸前……狙いは射線を逃れきる少し先……。


「フレイムランチャー」

 しかし、タクムは迷わない。迷えばそれだけ危険が増す。うだうだ迷っているよりは、まずは行動するべきだと判断する。例え避けられたとしても、もう一発撃てばいい。回避や防御はアイに任せておけばいい。


 意識したわけではないが、タクムの脳内ではそのような判断が下されていた。素早い判断力と実行力は現場の兵士に最も必要な能力のひとつであった。


 3ヶ月に及ぶ訓練と延べ60回を超える実戦経験は、戦争素人のタクムを一人前の兵士へと変えていた。それどころかアイ一流による高効率なレベルアップによって、こと能力面だけでいえばタクムは<人類>としての最高到達点に位置している。


 上空へと伸びる幾十という弾道予測線。無数の白線の重なりのなかにある僅かな隙間エアースポット。タクムはそのうちのひとつに狙いを定めた。


 空飛ぶ蟻は上空へと飛び上がり、止まり、滑るように真横に逃げる。戦闘ヘリでは有り得ない、垂直角の空中軌道。無数にある隙間は徐々に埋まり、敵の軌道が読めてくる。徐々に隙間の候補が限られていく。


 そうしてタクムが狙いを付けたその場所に、ジャイアントスカイが飛び込んで、


 ――来た!!!!ボシュゥゥゥッ


 反射的にトリガーが引かれ、直後に轟音。


 左から回り込むような軌道を描いた成型炸薬弾が、空蟻の左背部に吸い込まれる。


 真昼の空に二つ目の太陽が生まれる。魔弾によって増幅された爆発。灼熱の業火がジャイアントスカイを包み込む。


「ギッ、ジュワワヮヮヮヮ―!」

 背中の羽をごっそりと奪われた蟻が撃墜される。翅をやられ、ただの小型生体兵器に成り下がったそれを<セリエ・アール>の105ミリ戦車砲が仕留める。


『あぁーッ! やられた!! ラストアタック奪われた!!』

『ははは、悪いな、坊主共! でも、まあ、いいじゃねえか。こいつの素材の2割はお前等のもんだよ』

 アイがオープン回線で叫ぶと、セリエアール車長のデルから通信が返ってくる。


 レイドを組んだ時、その敵を倒す際に最も尽力した者に、LA取得者が報酬の2割を渡すのは慣例になっていることだった。サッカーでFWがゴールを決めたら、スルーパスを出した選手にもアシストが付くのと同じである。


『各車に告ぐ。戦闘終了。作戦は成功だ! 総員、この場で待機。運び屋がこいつ等を引き取りに来るまで戦線を維持! 野郎共、街に帰ったら宴会だ! それまで死ぬ気で気張りやがれ!!』

 わぁっと回線がパンクせんばかりの歓声がタクムのヘッドセットに響き渡る。


「やったな、アイ」

『うん。マスターもお疲れ様。今日のMVPは間違いなくマスターだよ。臨時ボーナス、期待出来るんじゃない?』

 タクムが安堵の声を漏らすと、アイもほっとしたように答えた。


 こうしてガンマの街における蟻の巣殲滅作戦は成功を迎えた、


 ように、


 思えた。



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