48話 意外と出来た
腕立ての速度を増すってそう言えばどうするのだろうか?降りる方は重力に逆らわなからいいとして、上げる方を早くするとか?大体腕が疲れて回数は落ちるし上げる方を意識して頑張って見よう。
「おぉ・・・、高速腕立て。早送りしてるみたい。」
そんな敷田さんの声を聞きつつ1分。やっぱり腕が疲れる感じもしないし、そんなにお腹が減った気もしない。ヒールやらカボチャ出した時はお腹が減ったけど不思議なもんだな。
「どんなもんです?」
「軽く倍以上は出来てますけど腕大丈夫ですか?パンパンになったりとか。」
「そんな感じはしないですけど、明日来たりします?筋肉痛。」
「う〜ん・・・、三枝先生と話したんですけどまだ推論だから先に腹筋しましょうか。出来ます?」
「疲れてないから出来ると言えば出来ますけど、尻尾使ったらそれは腹筋と呼べるんですかね?逆に使わないと、ただ重り背負って腹筋する事になりますけど。」
「確かに尻尾使ったら腹筋で起き上がると言うよりも、背中を押して起き上がってるって感じですもんね。う〜ん・・・、なら反復横跳びはどうです?」
「それなら大丈夫なのかなぁ?コケそうになったら尻尾使っていいですよね?」
「怪我しても困りますしいいですよ。」
そう言われて反復横跳び開始!普通に足で飛んでたけど、尻尾も使って飛んだ方が楽だな。下手すると瞬発力やら飛ぶ力は足よりも尻尾の方が強いかも。胡座かいて尻尾だけで反復横跳び仕様とすると結構快適と言うか、身体がブレないからそこそこな速度で飛べる。強いて言うなら指がないから滑るとか?
アスファルトの上とかでやってら皮が剥けて痛いだろうからやらないとして、普段使いすると考えるなら行動支援アーム的な役割は出来るかな?ただその行動支援アームも1本使うのが現実的で、数を増やすと脳が混乱する。そう考えると10本使いこなせてる風だからかなり便利だな。
魔法を使って更に反復横跳。ただ速度が上がっても滑りそうだから劇的な変化はないかな?速度を上げるなら足の方がいいのかも。ただ走る事を考えると多脚戦車とか爆走するタタリ神チックに走れるかも。
「小さいからって訳じゃないですけど高機動ですね。」
「元々ゲーム的には速度と回避重視でしたからね。すばしっこさには定評があるビルドですよ。にしても魔法使ってお腹減らないのも変な感じですね。あっ、チョコ貰い。」
「さっき言ってた仮説ですけど、大量にナノマシンを生産したりしない限りは大丈夫なんじゃないかって話なんですよね〜。」
「ナノマシンを生産?生産したら魔法が使えるって話ですか?」
「ええ。検証材料は少ないですけど、ヒールやカボチャは誰かに対しての使用じゃないですか。それに対して強化は自己に対して作用していますからね。ナノマシンも細胞サイクルに沿って入れ替わりが発生しますけど、それを強制的に行うとすればやっぱりナノマシンの生産が鍵になってきます。」
「なるほど。なら自己強化はほぼノーリスクって感じなんですね。あくまで今あるナノマシンが活性化して身体を効率的に動かすって話ですから。」
「そうですけどあんまり強い強化はやっぱり腹ペコに繋がりますね。」
「そんな事も分かるんですか?」
「マリちゃんの心拍なんかを監視してましたけど、心拍数が異常に跳ね上がる部分があったんですよ。コレは運動によって息が上がったではなく、デバイスに対して電力供給を上げた為と考えて下さい。危険推移・・・、そもそもマリちゃんの危険推移ってどこなのか不明なんですけどね。」
「危険推移が不明?普通なら100越えたらヤバいんじゃないですかね?」
「100を越え続けるのが危ないのであって、運動すれば200とかまで行くときは行きますよ。本当にヤバいのは毎分400回以上とかで、その場合は心停止に至る可能性が極めて高い、非常に危険な致死性不整脈が示唆されますね。ただマリちゃんの心臓やらはバイオナノマシンと普通の細胞が入れ替わり続けてるから、心臓としても体内生産と言う面でも強靭ですよ。」
「なるほど。そう言えば魔法も検査するんですか?強化は試しましたけど。」
「アクアバレットとかファイアバレットは後回しにしてサンダーバレットからやりましょうか。」
「了解ですっと、的はアレでいいんですよね?」
「ええ。周りは絶縁体で覆ってるからバシッ!と撃っちゃって下さい。」
「なら・・・、サンダーバレット!」
気合を入れて大麻を振る。ゲームなら雷の弾っぽい物が飛んでいくけど現実だとどうなるやら。って、一応なんか飛んだ?こう・・・、蛍の光的な小さな光が・・・。
バチッ!
「おぉ~、飛ぶもんですね。」
「的の表面見てきますけど先に髪とか尻尾整えた方がいいですよ。結構跳ねてますんで。」
「えっ?静電気かな?」
手櫛を入れるとバチバチ言うから多分静電気かな?知らなかった、雷魔法の元って静電気なんだ。確かに静電気って一般家庭の電圧の約15〜300倍にあたる数千ボルトあるって言われてる。その反面電流微弱だから感電してもケガしない。う〜ん、何かがトランジスタの役割でもしてるのかな?それこそ大麻とか。
「的の表面が焦げてますね。電圧としては10〜15Vくらい?確かに静電気や生体電気を扱えて、それを電流と言う形で出力出来れば可能か。マリちゃん、このサンダーバレットって操れたりします?」
「う〜ん・・・、ゲーム的には乱射前提の魔法だから操作とかはどうなんでしょう?ゲーム基準と現実基準って違いますし、なにより乱射したらお腹は減りそうですけどね。」
「その為に食べ物用意してるんですよ!取り敢えず撃てるだけ撃ってみましょう!簡単に漏電しないんでささ!」
「よし、やってみましょう!」
ひたすらサンダーバレットを乱射!なんと言うかヒールよりもお腹空かない?と、言う事はそこまでナノマシン使わないと言うか、排出してるわけじゃないのかな?なんと言うか判定が難しい。水は多分ナノマシン使ってない。石は間違いなく使ってる。なら火は?
そんな疑問を飯食って魔法使って解消していく。身体が健康と言うのは確かな様でジャンプ力も結構あったし、飛び蹴りとかも結構再現度高そう。そんな事をしていると敷田さんが緊急用にと渡して来た物があった。何を隠そうナノマシン溶液である。
毎回ドカ食いし過ぎるのも悪いと言う事で、コレを飲めばナノマシンの生産が緩やかになり食事による補填も控えられるのでは?と渡された。事実として飲むとちょっと空腹感は紛れる気がする。文字通りMPポーションだな。いや、傷とかも回復するからエリクサー的な?
「さてと、結構色々やりましたけど次が最後にしましょうか。」
「いいですけど何します?」
「そこまで難しい事じゃないですけど、コレの上で沈まずに足踏み出来ます?」
「水ダライ・・・、歩法訓練とか現実では勘弁ですよ?絶対足パンパンになるやつじゃないですか!そもそも42kgの物体を水に浮かせると言ったら船とかが必要です。」
「そうですね。物理的に考えると秒速約30メートルっていう、非常に速いスピードで継続的に水面を足で叩く必要がありますし、人間の足が発揮できる力の約15倍に相当するから無理でしょう。でも、トカゲとかは出来てますよ?足の裏にエアーポケットを作って沈む前に踏み出したりとか。」
「残念な事に狐であってトカゲじゃありませんよ。浮くだけなら可能かもしれませんけどね。」
「なにか試したんですか?浮くだけって。」
「したと言うよりはシャワー浴びてたら結構水弾いたし空気の層があれば浮くでしょう?上等な毛皮は水に浮きますし。多分、私の尻尾は上等なので間違いなく水に浮きますね。」
「なんか尻尾自慢する狐の妖怪チックですけど了解しました。でも、せっかく用意しましたし少しやってみません?」
「周りが水浸しになる方が嫌じゃありません?」
「まぁまぁ、片付けは私がやるので水遊びだと思ってささ。」
「まぁ、それならいいですけど。一応大麻持ってっと。今から水蜘蛛やるよ〜。」
そんな宣言をして素足で足踏みしながらタライの中へ。おっ?おっ!?バシャバシャと音はするもののほとんど水は飛び散らないし、なんと言うかこんにゃく踏んでいる様に弾力がある。もしかして、ダイラタンシー流体とかだった?それなら白っぽく見えたりしそうなものだけど、見た目はただの水は出しなぁ・・・。
「沈みませんね。」
「どうにかなるもんなんですね。何か粉とか入れてます?この水。」
「いえ、何もしてないですね。もういいですよ〜。その水は検証用として貰いますんでそのままでいいとして、検査はコレで全てです。お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした。何かやっておくことってあります?」
「取り敢えず部屋に戻ってお腹の減り具合には気おつけて下さい。シャワー等は構いませんけど、スマートレンズは外さないで下さいね、何かあれば連絡入れますから。」
「了解で〜す。」




