41話 配信終了 挿絵あり
>> 配信切れない?
>> 終わり宣言したならワイプ表示もオフ。
よくあるミスでオフ宣言したら終わると思ってるヤツw
本当はログアウトと機材止めないといけないのよね
>> そこまで配信慣れしてないし、本音聞ける?
>> 聞いて精神もつならきけ。本音聞いてもファンならきけ
コントは控えろよ?気付かれたら本音も言わん。
>> それを知ってやってる可能性は?
>> それは流星コースだろ?本音でヤバいなら炎上して消え
るし 知ってるなら裏配信、ハルPがどれだけツキと
意思疎通出来てるかで濃度が変わる
>> つまり、これからが本気配信?調教された視聴者は
ここに無言の視聴を敢行する!
終わりを宣言しつつ撮影と配信は多分切れてない。うん、敷田さんがそんな入れ知恵をしてくれたから分かるけど、配信見ればそんなコメントもあった。俺自身はコメントせずに見るだけだったから分からなかったけど、撮影してる本人からすればこんな感じなのね。
「パーティーば解散として、フロムさん笑いは?」
「お前さんの現実基準の事なら爆笑しちゃる。寧ろ何があったらそんな事になるんじゃ?」
「さっさと病室から出たいからですかね〜?割とガチな話、病院から配信してるのはマジですよ?まぁ、死ぬ様な事はないんですけどね。何にしろ長い付き合いであるフロムさんには笑って欲しかったからかな?エゴだとしても配信するならと笑いは必要ですし。」
「病院いたら簡単には死なないからな。さてと、俺は明日も仕事あるしそろそろ落ちるよ。込み入った話はフレには濃すぎるし、フレになって日も浅いからカンストプレーヤーのツキさんのフレってポジションだけでいい。」
「改めてお疲れ様でしたハヤトさん。渡すのはレアドロップ2個でしたね。成り行きと言うかライブ配信に出て頂いてありがとうございます。」
「いや、あの後引けたからいいよ。足りなかったら貰うけど足りたなら要らないと言うか、武器コレクションとかには興味ないからな。それに配信者って知ってたから来たら撮影されるってのも分かってたよ。なんにせよゲームは楽しめて挑戦出来ればそれでいいさ。じゃあ、またな。」
そう言ってハヤトさんはログアウトする。なんだかんだで気のいいフレだな。MMOには色々な人もいる。それこそクランを運営する人はそれに気を使って全体の勝利を優先するし、野良なら強さを優先する人もいる。俺自身は割り切りタイプだだし勝った負けたやら次のイベントは勝とう!と言う気もない。
そりゃぁ負けたら気にするけど、多分悔しさの度合いを言うならゲームにのめり込んでる人には負ける。それでも楽しく遊べるフレがいる言うのは貴重だし、野良にはそう言う人が多い。発生クエストを引いて協力者なしと言うなは野良だと死活問題だしね。
ゲームに人生を捧げるのはナンセンスと言うは分かっていても、そこにしか逃げ場がないと言う人はいるのよねぇ。何にしても現実と言うのは強くて毎日付き合うしかないモノで、ログアウトしてしまえばその世界に帰るしかない。
「ハヤトさんにはお礼したかったですね。色々最後の方は助けてもらいましたし。コレはツキさんに返しますよ。」
「オペラ・メテオラか。ぶっちゃげた話をすると60代なら頑張れば覚醒までいけるよ。『歌唄う狂乱の歌手』ってシナリオを攻略と言うか周回すればいい。」
「なるほど、シナリオ名が分かるならどうにかなりますね!普段は刀ばかりでしたけど、今回のイベントで銃も面白いと思いました。次は無理かもしれませんけど、どれか1つくらい銃を覚醒させておきますよ。では、僕も交換は後回しにして落ちます。お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした〜。」
篝火さんも落ちたし残るはフロムさんか。特にこれと言って今の所話す事はないけど、落ちないなら適当に話振るかな?差し当たって領地戦とか?かなり近づいてるし。
「フロムさんはやっぱり領地戦は不参加ですか?」
「迷っとる。ツキさんが何を思って配信始めたかは知らんが、参加だけしとくのも手だと思ってな。放置報酬狙いでもいいし、最近は残業やらもやめとるから土日もそこそこ時間もある。」
「時間あるのはいいですね、ゲームもいいですけど旅行とかします?土日なら1泊2日で高速とか使えば何処に住んでるか知りませんけど、隣の県とか行けるんじゃありません?」
「旅行なぁ〜。最近事故見て車関係はちょっと苦手なんだよ。」
「事故?珍しい。自動運転やらで殆ど起こらないのに。」
「技術が発展しても何があるか分からんと言う事だ。それこそ最近は停電とかあってたしな。と、そろそろワシも落ちるか。報酬交換忘れんなよ。」
「あいあい、私は忘れない為にこれから交換ですよ。」
そう言ってフロムさんも落ちた。事故見たなんて本当に珍しい。俺が事故られた日には何件か発生していたけど、普段は自動運転で車間距離やら速度調整も完璧にされている。そもそも等間隔に速度センサーが付いていて、その速度で走行するから混まないし下道も信号機にセンサーが付けられていて赤になる前に車に信号が送られて止まる。
「さてと。止まぁ〜らぁない〜好奇心〜覚醒をぉ目指してぇ〜♫ゆずぅれぇ〜ない〜、報酬を抱きしめて〜・・・♪」
敷田さんから、そのうち歌を披露するかもしれないからと言われて適当な替え歌を口ずさむ。歌うのは嫌いじゃないけどどうなんだろう?そもそも男だったから男性ボーカル曲は歌うけど、今の声って高めだから重低音は多分出しづらい。
う〜ん、聞かされたアニソンを耳コピして替え歌として歌ってるけど後からアーカイブ見るかな。下手ではないと思うけど新しい声の調子なんて分からない。そんな事を考えつつレアドロップを5個開けてさっさと覚醒!今回は魔女のドレスか。
覚醒ボーナスは火属性耐性25%で防御力は雀の涙程度。例年と変わらない数値だけど、凝っているのはデザイン方面なのでやっぱり記念品かな?男女共に数値は変わらないし違いは鎧かローブかだけだし。開封すると男女どちらの装備か確定するので残りは未開封のまま貯金。
露店で売るとそこそこ買う人もいるし、ユアンさんみたいなコレクターは過去の物を探し回る人もいる。長くゲームしていて一番有利なのは何気にこう言った限定品をその場で集められるとか?
「どれどれ、取り敢えず覚醒したから装備を・・・。ほほぅ〜、結構可愛い。」
帽子は耳が貫通と言うかツバの部分と上の部分の間にスリットか入っていて違和感なく耳が出せる様になっているし、ドレスそのモノはゴシックドレスぽく作ってありつつも普段着感もある。魔法都市トルネコとかなら合うかな?あそこってかなり西洋間があるし。そんな事を思っていると敷田さんから撮影終了のお知らせがリアルで囁かれる。当然今も撮影されている事を知らないと言うテイなのでそのままログアウト。
「長時間の撮影お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした敷田さん。配信は大丈夫そうでした?コメントとか読めない物も多かったですけど。」
「エゴサとか気になります?もう大物配信者気取りとかしちゃいます?」
「違いますぅ〜、私に人気なんてないですぅ〜。」
「なんでそこでぶりっ子ムーブするかは置いておいて、ライブ配信と言う事でしたけど大きなヘマは無かったですし、話し合った内容とそこまで乖離する事もなかったので大丈夫ですよ。テンション上がって無茶をする様な事も発言も無かったですしね。」
「ゲーム内で無茶って何ですかね?」
「ガチャに大金突っ込むとか、ワイプの方で脱ぐとかですかね?」
「エロ配信はする気がないですし、欲しくもない武器やらにお金を使う気もないですね。お金は大事、貯金も大事。そもそも制約が多いですからね。」
「でも、出歩くだけならアイアンハートがあれば大丈夫かもしれませんよ?ネットニュースで流れてきましたけど、コスプレ有段者はコスプレしたまま会場に行ったり電車乗ったりするみたいですし。」
「それは限定的であって日常的ではないでしょう?毎日毎日コスプレして電車やバスに乗るのは何事と思われます。う〜ん・・・、車とかいるのかなぁ〜。出来ればキャンピングカー的なモノが。」
「・・・、怖くないんですか?運転する事が。」
「運転が?不思議な話をすると怖くないですよ?どちらかと言えば怖いのは密室とかですかね?逃げ場がない方が今は怖い。」
流石に火達磨になったから逃げ場は欲しい。そう考えると早く外に出たいのはトラウマなのかな?病院で火達磨になる事は多分ないけど入り口が開かないと言うのは中々に怖い。
「ふむ・・・、なんにせよ早々密室なんてないですからね。夜怖くなったら私を呼んでもいいですよ?今日は宿直なので駆け付けられますし。」
「子供じゃないから大丈夫ですよ。それでも怖いと思うならぬいぐるみでも買います。では、おやすみなさい。」
「おやすみなさい、お疲れ様でした。」




