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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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36話 顔出し 挿絵あり

「バックアップ等はありがとうございます。・・・、ところで妖怪って何が出来るんですか?」


「何が出来るか?千差万別だけど僕は取り敢えずキュウリが食べられる。泳ぎも得意で流行り病の兆候が分かるとかかな?ほら、アマビエって病流行るよ〜て、川から出てきて伝えるし。インフルエンザとか今年大流行するから早めに対策してとか言える。」


「予知的なものなんですね。」


「昔は生水飲んでたからバンバン疫病とか流行ってたけど、今は医療も発達したしそんなところだね。で、最新のデジタル妖怪雁木君・・・、他もマリちゃんと呼ぶしマリちゃんでいいか。君の場合僕達に近いけど僕達とは成り立ちがまた違う。だからこそ協力関係を築きたい。分かる?」


 柔和な笑顔で天野医院長か話しかけてくるけど、協力関係って何?被検体として協力はするし、何より自分で自分が何が出来るかも分からない。う〜ん・・・、ヒール出来るから看護師として働くとか?それはそれで安定した生活に繋がりそうだし助かるのかな?


「その申し出はお受けしますけど具体的には?」


「三枝君と敷田君と協力して今の所は実態調査かな?そもそもね、怪異的な脅威って単純に分解していくと火が出る、雷が降る、鉄砲水に強風や土砂崩れと自然災害的なモノが多いし、それを個人単位で操れるから畏怖された。でも、それってちょっと頭が良くて何らかの兆候に気づければ、シュチエーションを利用して魔法やら呪いって言い張れたんだよ。」


「言い張れるもんなんですかね?」


「例えば火山の噴火。これの兆候は地震、地盤の隆起や沈降、噴気の増加や変化、火山ガスの放出、動物の異常行動があります。それを知ってさえいれば知らない人に山が怒っている、お供え物を捧げ祈祷をして鎮めると言い張れる。まぁ、した結果噴火するのかそれとも収まるのかは別の話です。祈祷してその日に噴火さえしなければ祈祷は成功と言えますし、1年でも1ヶ月後にでも噴火すれば、お供え物が足りなかったとも言えます。」


「昔ならかなりアバウトですからね。そう考えると陰陽師とかは頭良かったんだろうなとか、魔法使いが机に齧り付いてたりするのも分かりますね〜。でも、マリちゃんってどうなんです?」


「私は良くも悪くも大学出たくらいですね。特に有名大学と言うわけでもないですし、専攻としては経済学とか販売心理学をメインにしたくらいですよ。先生達みたいに有名大学医学部卒でガッツリキャリア組って訳でもないですし。」


 普通に大学入ってストレートで卒業して会社に入って仕事する。ありふれた生活と言えばそうだけど、アウトローに憧れるにしても大冒険するにしても別に現実でやるリスクを犯すくらいならゲームでいい。そりゃあ南極探検とかオーロラ見に行くとかはやってみたいけど、ゲームでもそれは見れるし脳波に作用してくるから実体験と変わらないほどリアルに感じられる。


「なんにせよこれからもよろしくねマリちゃん。取り敢えずマリー・ガンディーと言う名で僕の客人とは通達しておくけど、不用意な外出はまだ辞めてね?絶対混乱とか起こるから。その代わり配信だっけ?そっちは2人に任せるよ。」


「分かりました天野医院長。」


「右に同じくです医院長。」


 そう2人が言って医院長との面会は終了。しっかし本当に妖怪っているもんなんだな。と、言いつつも半信半疑な所はあるのよね。特に医院長が緑やら赤い肌をしていた訳でもないし、皿っぽく見えても頭に皿はなかった。強いて言えばキュウリ食ってた所がカッパっぽかったとか?


 でも、別になんか魔法とか使ったわけでもないし、安心させる為の発言と思えなくもない。う〜ん・・・、まぁいても害がないならそれでいいかな?あんまり考えても簡単に答えが出るとも限らないし、分からない事な方が圧倒的に多い。


「取り敢えず主任、これからどうします?」


「先ほど話した様にマリちゃんが何が出来るのか?そこからだと思って下さい。研究方法やテストは私の方で項目を作ります。敷田さんとマリちゃんはハロウィンに向けて配信準備をして下さい。」


「わっかりました〜。じゃあ行こうかマリちゃん。」


「そうですね、取り敢えず部屋で話しましょうか。」


 部屋に戻り明日のハロウィンで顔出しの事を敷田さんと話そう。と、言うか敷田さんも配信に絡んでくるの?医者だから暇ではないと思うんだけど大丈夫だろうか?


「敷田さんは配信協力とかしてて仕事は大丈夫ですか?」


「これも仕事のうちですよ?デバイスを設計して作成依頼を出したのは私ですからね。それが思いも寄らない動作をしているなら、現状分析や確認するのも私の勤めです。それに、マリちゃんには話しますけどこの研究って優先度MAXなんですよね。」


「そんなに優先度高いんですか?まぁ、姿が変わったりしたら究明するのは当然と言えば当然なんでしょうけど、理由は生体データの誤認で間違いないのでは?」


「違いますよ?生体データの誤認や姿が変わった事は確かに重大ですけど、それよりもオールS判定なんですよ。」


「オールS?」


「デバイスとバイオナノマシンをこれから治療に使用した場合の、健康維持や遺伝子的疾患の発生確率低減等に対する評価。言ってしまうとAI判定で今回マリちゃんに使用したモノは今のナノマシンを一新して、スタンダードなナノマシン治療として画期的であると言う評価ですね。そして、その評価がある限りデバイスもバイオナノマシンも生産量ラインに載せろと言う指示が来ます。今の所は被検体を経過観察するって話で主任が差し止めしてるんですよ。」


「つまり、今後は私の様に姿が変わる人が出てくるかもしれないと?」


「可能性としてはって話ですね。ただ、生体データの部分で不明点が多いとも言っていたので、今すぐにどうこうと言う話はないと思いますよ。それよりも私はマリちゃんのプロデューサーのハルくんとして、ゲーム内は別として現実方面ではサポートしますね。」


「ハルくん?名前のもじりとかですか?」


「半分はそうですね。私の名前は晴海って言うんですけど、それのハルと安倍晴明の晴の字が一緒なんでそこからです。私に不満がある時は『おのれ晴明!』って言えますよ。」


「そのネタは追々使いましょうかね。著名な陰陽師のハルくんとでも紹介すればそれでいいかな?と、顔出し配信ってどうすればいいと思います?どうせ視聴者数は低いですし、顔出し姿出し配信が仮に伸びても一過性のモノだと思いますけど。」


「私達としてはそれでOKなんですよね。これがバズって検索1位とかになると後々面倒なので、先ずは実際証明と言う形で現実基準アバターの少女が、コスプレして配信ていると言う体裁を作ります。」


「ふむ、それは私も考えた形ですね。外に出ると言う布石として姿を見せるのは大切ですから。」


「その時に出来ればアバターと同じ様に耳とか尻尾って動かせません?」


「耳とか尻尾を?フィールドに出ずに街で透過スクリーンモードとAR拡張機能を使えば多分出来ない事もないと思いますよ?あんまり私も使わない機能だからどこまで出来るかは分かりませんけど。」


「ならそれでやりましょう。どこまでもリアルなコスプレを追求して現実でも動かせる。病室からの配信となりますけど、場所の特定はフィルター機能で大丈夫でしょうし、何か小物とか衣装が必要ですよね?」


「小物は定番と言えばカボチャですかね?おいでませジャック・オー・ランタン!とかかか・・・。」


「ちょっ!どうしました!?」


 ゲームでも使うジャック・オー・ランタン召喚。カボチャ頭にマント着けたキャラクターが飛び回って攻撃する魔法スキル。秋ドンさんには蜂の巣にされたけど、なんかそれが出そう。と、言うかすんごい勢いで腹が減る。体感だけで言うとマラソンを何時間か走った感じとか?


「おっ!おお!!ジャック・オー・ランタン出てますよ!」


「それよりも何か食べる物を・・・。」


「重さ的に数キロとして、それだけの体積がマリちゃんから失われた?いや、側だけなら1〜2kg程度?でも、それってステーキに換算すると大体10人分くらい?なるほど、何か食べる物を持ってきます。我慢できますか?」


「一応まだ大丈夫ですけど、早めにお願いします。」


「分かりました!カボチャは持っていきますね!」


 敷田さんはカボチャを持って出ていったけど、あのカボチャってゲームのアレだよな?えー、現実世界でスキル使おうとしてら実際に出るの?トラブルオンラインの魔法スキルって基本的にスキル名だけだし、詠唱ありの魔法は大魔法スキルだから大丈夫だとしてもかなり不便じゃない?


 あれっ?てもゲーム中に何回もスキルは叫んでるし、その時はカボチャとか出てきてないよな?そうなると何か・・・。何か触媒的なモノが・・・。大麻?もしかして、これ持ってスキル使うと出せる?確かに三枝先生にヒールした時は大麻が動いてたよな。


「取り敢えずお肉持ってきました!ささっ!ビーストになる前に食べて下さい。」


「お手数かけます・・・。」


 考えている間に敷田さんが大量の肉を持ってきてくれたので、それをもっちゃもっちゃ食べる。普通に見たら大食いのレベルで食べ切れるとも思えないけど、鋭い犬歯は肉を簡単に噛み切ってくれるしどんどん食える。最大の敵は食費か!


 生きてる限り食わないといけないし、その生きていく上で魔法なんて使ったら食費はうなぎ登り。コレってゲームのMP消費とか関係してるのかな?そんな事を考えながら食べているとある程度落ち着いて来た。


「ふ〜・・・、あのカボチャってどうしました?」


「研究に回しましたけど消えませんよね?」


「う〜ん・・・、ゲーム的に言えばある程度で消えるとしか・・・。それに、多分大麻が関係してるんじゃないかとは思いますよ?」


「大麻がですか?」


「ええ。今は医院長に会うのに大麻を持ってきてくれって言われて白衣の内側にぶら下げてるんですけど、コレって装備してる状態だと思うんですよね。ゲーム的に言えば杖やそれに準ずる魔法が使える装備がないと攻撃系魔法スキルって使えないんですよ。」


 そうは言っても籠手に杖を組み合わせて魔法が撃てる様にも出来るし、アクセサリーで魔法触媒可の物は杖の代わりにもなる。ただ大抵そういったアクセサリーはバフオンリーとかになる。そこで大麻はどうかと言えば無課金装備の最強杖枠であり剣。大魔法も使えるし申し分ないけど、これ持って大魔法とか使ったら現実では大災害だよなぁ・・・。と、言うか大魔法とか使ったら身体がなくなるんじゃない?消費カロリー的に。


「なんとも言えないですけど、取り敢えず大麻は棚にでも置いておきましょうか。と、言うか身体の中に引っ込めたらいいんじゃありません?前も出来ましたし。」


「やり方が分からないんですよね・・・。取り敢えず棚に大麻は置いておきましょう。さて、お腹も落ち着きましたし配信どうするかですね。」


「あ〜・・・。まぁ、そうなりますよね。巫女服は変えます?ハロウィンっぽい衣装とかにゲームではですけど。」


「過去のイベントの物があると言えばありますけど、ネット注文で袴頼んだんですよね。」


「えっ?なんでまたそんな物を?」


「いや、尻尾を隠せてゆったり着れそうなズボンって袴かなぁ〜と。それが届けばそれを着てもいいですね。」


 ローライズなズボンやスカートも買ったけど、尻の割れ目は尻尾で見えないにしても多分落ちたかないんだろうなぁ・・・。実際今も白衣来てるけど背中は尻尾に引っかかって捲れ上がった状態だし。


「なら現実でも袴が間に合えば袴でやりましょうか。ゲーム的には何かイベントとかしないんですか?」


「多分やりますよ?1日限定ハロウィンイベントを。ログイン特典は毎年カボチャ装備やらで、フィールドにパンプキンヘッドモンスターが現れるのでそれを収穫する感じですね。ランキングもなくて収穫したカボチャでアイテムなんかと交換する感じです。」


「なら、顔出ししてそのイベントを楽しむ感じにしましょうか。」


 そんな感じで敷田さんと話を詰め、間に合ったけど着方の分からない袴をどうにかこうにか着こなしていざ当日。配信チャンネルで顔出しやらの告知もしたし、敷田さんがハル@ツキのプロデューサーと言うアカウントを作って他のSNSでも告知をした。


 チャンネル登録者は50人くらいになったけど、多分そんなもんなんだろう。何か最新の情報を届けるわけでもないし、ゲーム動画配信だけだしね。病室のベッドの上に巫女服着て正座し、前に立つ敷田さんがスマホで撮影を開始すればライブ配信が始まる。


「行きますよ~。3、2、1・・・。」


「どうも〜。稲荷巫女、狐に憑かれツキです。」


  挿絵(By みてみん)


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