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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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35話 えっ!?

(なんでエセ外人風に話したんですか?笑うところでしたよ?)


(話が通じても海外の人と見ると日本人は身構える。さっさと話を切りたいなら外人を装うのが最適ですし、格好についても突っ込まれないでしょう?海外の方ってピッチピチのスキニーとかでウロウロしてますし。それに、下手に外見でモノを言うと下手したら裁判だー!とかもありますし。)


 海外の医療裁判とか怖い。下手な事言うと本当に訴えられるし・・・。何にせよ身長やらで話されたら訴えられるな。正式にこの身体は30歳と認められてるし・・・。そう言えばコレでコンビニでお酒も買える。タバコはたまにしか吸わなかったけど、仕事終わりのお酒は明日へのガソリンなのでぼちぼち恋しい。


「ヒソヒソ話すのはいいとして、これからの話はかなりディープな話となります。他言無用、口外しても握り潰されるでしょうが下手な事はしないで下さい。仮に守れないと思うなら敷田さんはここでお別れです。」


「えっと・・・、私は?」


「マリちゃんは知るべき立場の人間と判断しました。寧ろ知らないとマズイが正解です。」


 敷田さんと顔を見合わせるけど、敷田さんの方も話に着いてこれていないらしい。内容を聞いたら後戻り出来ないけど、聞いたら聞いたで後戻りも出来ない。う〜ん、俺はもう後戻り出来ないと言うか知っておかないとマズイ話なんだろうけど・・・。


「敷田さん、逃げるなら今ですよ。判断を誤ったら多分尾を引く感じの話です。」


「尾を引いて、引きずったら今度は気になって知ろうとする。医者って知りたがりで未知があると解明したくなるんですよね。特にマリちゃんとか私が設計したデバイス使ってるわけですし。」


「それでももう責任の範疇外では?私は健康になったし、こうして外も歩ける。」


「それでも社会復帰と言う話ではまだですよ。どちらにせよここまで来てお別れと言う話は私の中にはないですね。さ、主任行きましょう。」


「もう一度確認しますが、その選択で構いませんね?」


「はい。」


「よろしい。では医院長と面会しましょう。」


 三枝先生が医院長室と書かれた部屋の扉を開ける。中は医院長室と言う割には簡素でキャビネットやペーパー資料の入った棚、他にはウォーターサーバーが何台か置いてある。そんな部屋の奥からポリポリと言う音がする。と、言うか細身な男が机に座ってキュウリを食ってる。


 特徴的と言えば髪型と言うか髪色?粉砂糖をまぶしたチョコケーキの様に、頭のてっぺんは白いのに一定の位置からは黒い。次いでに言うと髪先がモーツァルトの様にくるくると癖毛なのか跳ねるどころか巻いている。


「失礼します医院長。」


「あぁ、三枝君か。で、そちらが例の?」


「はい。雁木 真利さんと敷田 晴海さんです。大丈夫ですか医院長?」


「大丈夫かと聞かれると困るなぁ〜。だって狐の姿で尻尾が玉藻を越えてるし、身構えるなって方が無理無理。まぁ、僕等とは多少違うとは分かるんだけどね。と、まだ名乗ってなかったけど僕は天野 荒五郎。ここで医院長をやってるけど・・・、平たく言うと妖怪だ。」


「は?」


「妖怪?」


「そう、妖怪。」


「いやいや妖怪なんてねぇ、敷田さん。」


「そうですよねぇマリちゃん。ウイットなジョークとか?」


「違うよ敷田君、マジマジ。そもそも妖怪って元は奇形やらから産まれたり空想から産まれるとけど本当に一部は存在する。そして、人と妖怪の垣根を越えてきたのは人間の方さ。」


「え〜と、三枝先生?」


「マジのガチです。例えば半陰陽やアンドロギュノス、その他にも孫悟空や鬼にサイクロプス。こいうった者は遺伝子異常の末に誕生した。そして、常人とは違う者を日本では妖怪と呼び西洋では天使や悪魔とした。」


「鬼って説明出来るんですか?」


「非ジストロフィー性ミオトニー症候群、筋肉が肥大しヘラクレス様体型に一部の方がなります。当然力強く体型的にも昔の人からすれば怪力無双で良い例なら金太郎、悪い例なら鬼でしょう。サイクロプスも単眼症と言う疾患が有り基本的には死産とされますが、成長したらと想像すれば怪物となります。」


「はぁ・・・、え?もしかしてこの尻尾も前に言ってた人尾って話で?」


「雁木君は姿だけなら本物の空想生物の類だね。人尾を備えたモノを孫悟空としても1本で猿の様な感じだし、そもそも人の人尾に毛はないよ。さっきも言ったけど妖怪と人の垣根を越えてきたのは人が先で、僕達は近くても遠く関わりない所でたまにイタズラしながら生きていた。でも、そこに垣根をぶっ壊す事が起きた。」


「垣根をぶっ壊す?」


「VRゲームとナノマシンと脳波、この3つ。」


 天野医院長が指を立てながら要因を上げるけど、それって今だと誰でも使ってるんじゃ・・・。今どきVRに限らずゲームをしない人はいないし、病気になればナノマシンは使う。脳波だってスマートレンズを使ったり、ハンズフリー操作をする時は必ず読み取られる。


 寧ろ小学校とかでも脳波による操作方法の授業が合って、小さい頃から慣れ親しんで来た事だ。それがなんでまた妖怪なんて言う本当に古風なモノと繋がりが?と、言うか医院長も多少変わった髪型の人としか見えないし。


「敷田さんは知ってました?」


「いや・・・、妖怪。それってもしかしてネットミームとかも?」


「一部はそうかもね。僕だってどれくらい妖怪がいて、どれくらいの妖怪が敵対的なのか、それとも友好的なのかなんて知らないよ。まぁ、新しい妖怪と言えば・・・、昔は家鳴りなんてのがいたけど形が変わって今だとベコンだな。」


「ベコン?」


「そうそう、人を驚かすのが好きでお湯をシンクに注ぐと・・・。」


「ベコンってなる奴!アレって妖怪仕業だったのか!」


「医院長、騙そうとしない。アレは熱膨張による振動音です。」


「まぁまぁ三枝君。知らなければ妖怪の仕業かと思うだろ?事実としてVRゲームに出て来るキャラクターの一部は我々を模しているし、そのキャラクターになりきって遊ぶ者もいる。たまにやたらと動きのいいモンスターなんかはそれの例だね。」


「アレってAIが操作してるんじゃ・・・。」


「してるけど化け物のモーションを知ってるのは化け物だけで、魔法なんてものを知っているのもまた、化け物だけ。そして、雁木君は一番新しい妖怪かな?」


「それってヒールが使えたから?」


「そうだとも言えるし、そうだとも言えない。そもそも魔法やら魔術なんてものは取引なんだよ。僕達に何か渡すから何かしてくれっていうね。それは医術にも通じるし、その医術の基礎は錬金術なんて言う等価交換。でも君の等価交換は自己等価交換だね。」


「自己等価交換?」


「コレは敷田さんも関わっていますし、面倒ですが白波先生にも話を振るかも知れない事項ですが、私にヒールをかけた後マリちゃんはお腹が空いてましたよね?」


「ええ、まぁ。我慢出来ない訳ではないですけどこう・・・、小腹空いたなぁ〜とか。」


「そこです。あの時私はナノマシンに該当する物を一切持っていませんでした。しかし、マリちゃんはヒールを唱え大麻はそれを実行しようとした。その結果・・・。」


「もしかしてデバイスがフル稼働した?傷を癒す材料を生産する為に?えっ!あのデバイスは確かにバイオナノマシンを生産する事が出来ますけど、それの操作なんて・・・。」


「それがクラウドからのデータ収集です。ゲームデータを元に雁木さんはツキとなり、ツキはアバターからプレーヤーとしてこの世界に来てしまった。そして、元から出来た事を出来る様になる為にデータを集めた。マリちゃんがよくよくお腹が空くのは、現実で試した事に対する支払いだと思って下さい。例えるならMPを使って魔法を使う、ゲームならMPはマジックポイントですが、現実では満腹ポイントです。」


「満腹ポイント・・・。何というかダサい。」


「ちょっ!マリちゃんそこ!?」


「雁木君って変わり者って言われない?三枝君、そこどうなの?僕って結構ビビりだから変に自己完結で魔法とか使われるとすんごい怖いんだけど。」


「私もそこまで本人との関わりは・・・。」


「いや、医院長が妖怪と言うとカッパとかでしょうし、私も尻尾と耳生えてヒール使って満腹ポイントとか言われたら疑う事はないのかなぁ〜と。実際疑ってかかっても何も進展しなさそうですし、今困ってる事にあんまり関係ないですからね。」


「困ってるって、外出の話?確か三枝君からは外に出たいと聞いたけど。」


「ええ。外出したいと言うか、この姿で長く生きるなら引きこもってても仕方ないのかなぁ〜と。それに川端さんやら両親にも顔見せしたいですし。」


「本人と明かすのは別として、ハロウィンでの顔出しライブ配信は許可しますよ。この機は逃せませんからね。」


「僕としても被検体として協力してくれるなら、ささやかながらバックアップしてあげようかな?後、僕はカッパじゃなくてハーフだからね?アマビエとの。取り敢えず、国とは僕から話すから気長に待っといてよ。」


「私は乗りかかった船なのでマリちゃんをプロデュースしますよ。」

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― 新着の感想 ―
まさかの妖怪認定! もしかしてツキさんのフレンドにも密かにいたり??
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