30話 耳がぁ〜 挿絵あり
「エターナルレイン。」
「範囲攻撃!逃げろ〜〜!!」
シモン達はティターニアを引き付けてくれてるけど、そこそこ時間の長い範囲攻撃が飛んできている。パーティーと言う事で追加されたのはティターニアに継続的な範囲攻撃かぁ。離れてなかったら強制的に仕切り直しさせられていたから助かった。
流石にもう召喚はないよな?ここでされたら嫌なのはヒールやらの回復だけど、それをするようにも見えない。そうなると、このまま押し切れば勝てる?今のところノーダメだけど、亜人のHPはそこまで高くないし、そもそもスピード型だから紙とは言わないけど相手の一撃は貰うと手痛い。
ナインテールの再生を待つか攻めるか・・・、バレット系の魔法で雀の涙ほど削りつつ再度魔法ループに持ち込みたいけど、崩さずに入ろうとすれば切られるよなぁ〜・・・。クロックアップ入ってるし、無拍子使ってくるし下手な範囲魔法ぶち込もうとしたら3枚におろされかねない。
「来ぬか?なら妖精の粉・・・。」
「お前が使うのかよ!えぇい!エアサイクロン!」
あの野郎!片手掲げて握り潰す様な動作をしたら周囲に光の粉が舞う。急いで魔法使って対処したけど、状態異常アイコンが付いた!やっべー、妖精の粉の効果は2つ、速度ダウンと左右反転。時間経過で回復するものの、考えたこととやってる事が強制的に真逆になる。浴びた量が少ないおかげか、20カウントが表示されてそれが減っていっている。
「無拍子3段!」
「っ!・・・、ハードナックル!」
大麻で受けようと思えば手が出る。無拍子3段の軌道は一緒か?最後のナインテールが1段目をジャストガードして千切れ、2段目は胸の真ん中を突く突き!それを身体を躱して肩で受け、出た手にスキルを載せてカウンター気味に腹をぶん殴る!くっそぅ~、めっちゃ肩が痛い。
「小癪な!クロックアッ!くっ!」
「しめた!ヒール!瞑想呼吸法、ロケットドロップキック!」
「かっは!」
「耳がぁ〜!耳がぁ〜!」
サンダーマイン様々!背中で起爆したマインがクロックアップを中断させ、その隙に回復からのレジストを試みる。呼吸法なので1発解除とはいかないもののカウントは減る。その上で左右が反転しても気にならないスキルをチョイス!って、なんでロケット頭突きなんですかねぇ!そうですよ!これも反転したんですよ!
本当に頭に耳があるからなお痛い気がする・・・って、そんな事をやってる場合じゃない。ロケット頭突きのおかげで今は丁度マウントボジション。ならやる事は1つ!
インベントリからカイザーナックルを両手に装備してそのままぶん殴る!ぷにぷにの腕だけど、数値的種族的に亜人は火力要員なんだよ!
「バードナックル!バードナックル!採取してバードナックル、貫手双龍、まだ採取してバーチカルハンマー・・・!」
「私の栄光が・・・。」
「妖精郷へ帰りましょう貴方・・・。」
初めて見た討伐ムービーだけど、妖精王を殴り飛ばしているとティターニアが妖精王を連れて妖精郷なる所へ帰ると言い出した。まぁ、何人以上とかで挑めばこんなムービーもあるのかな?俺って基本的にフレと時間合わないとソロだし。お祓い気分で大麻をフリフリしながら見送っていると・・・。
「大丈夫かツキ!」
「まてティターニア!」
「ほのかどうどう。なんか討伐ムービーっぽいよ。」
「アイテム使い切った〜。終わったなら寝る・・・。」
「大丈夫ですよ〜。ほらお前達は妖精郷とやらにさっさと帰った!帰った!多分討伐・・・。で、間違いないですね。宝箱出ましたし。」
妖精王とティターニアが消えたらボンっ!と宝箱が出てきた。これは間違いなく討伐完了だな。後は箱開けて討伐完了者用ポータル使って外に出るだけ。簡単なクエストだと思ったら結構時間食ってしまった。まぁ、野良で組んだけど連携とかも取れたし文句は出ないだろう。
「さてどうぞシモン、宝箱を開けてくださいな。」
「いや、それを開けるのはツキに譲るよ。どのみち開けるだけでその後分配だしな、それなら妖精の髪飾り欲しがってるツキが開けるといい。」
「いいんですか?この瞬間が1番楽しいのに。」
「俺達はまだ夜にでも周回するし、そん時また妖精王が出たらどうするって対策も考えれる。それなら今朝出会ったツキに楽しんでもらうさ。なぁ?」
「俺はそれでいいぞ。」
「私も賛成。」
「はよ開けて、半分布団に包まってるからそろそろ・・・。」
「若干1名寝落ちしそうなので開けますね。」
大麻をフリフリしてからご開帳〜。先ずはゴールド、次に妖精の弓、妖精騎士の鎧に妖精王の冠か。ガッテム!物欲センサーに・・・、負けた。
「お、おぉ〜。」
「取り敢えず分配の話は後にしてここを出ましょう。あんまり長居するとポータルが消えるし。」
「そうだな、ボスは復活しないけどポータルが消えたら来た道を自力で帰る羽目になる。」
さっさとポータルに触れて神秘洞窟の入口に出て、そこからワイバーンに乗ってジャイロへ。着い時点であーちゃんは後は任せると言ってログアウトし、嬉野も昼の準備と言って落ちた。残ったのはシモンとほのかだけど、この2人がいれば分配の話は大丈夫だろう。
「さて、どう分けます?」
「ツキは弓や鎧、冠いる?」
「殆ど使わない物ですね。スナイパーボウなら亜人でも使えますけど、その弓だと外ればっかりに・・・。鎧の方も悪くはないですけど、今の巫女服の方が強い。そう言えば妖精王から採取した物もありますけどどうします?」
「モンスター採取は共有採取じゃないからそのままツキの渡していいが・・・、それって肥料に使えるか?」
「多分使えないですね。毟ったのは妖精王の血肉と妖精王の核ですし。」
「う〜ん・・・、確かにそれは肥料にはならない特に集めてないからいらないか。ほのか、このままツキに渡すけどいいか?」
「いいぞ〜。周回してれば俺達にも採取チャンスはあるだろうし、部位破壊ボーナスドロップもあるからそれを分配しよう。」
話はまとまり宝石やら骨やらを分配していく。途中、お金多めに渡すから端数素材くれと言う話になったので、端数はそのまま渡してしまった。その代わりに部位破壊で出た妖精王の羽をそれとなくコチラに分配してくれたのでありがたい。
「よし、これで分配完了っと。結構時間がかかってすまんな。」
「いいですよ、配信に上げる動画の尺もありますからね。ではこれでパーティー解散です。」
「解散だな。フレだから何かの時は声をかけてくれ、こっちからも声をかける。」
「分かりました、それではまた!」
パーティーを解散してクエスト達成報酬も貰ったし、丁度昼時なので一旦ログアウト。思ったよりも妖精王戦が長引いたな、面白いけどこの時間泥棒め!途中抜けが出なくてよかった。野良だと途中でどうしても用事が入って誰かが抜ける事もあるしな・・・。
「・・・、耳が痛い・・・。」
ぶっ刺された肩は痛くないけどロケット頭突きした耳はなんだか痛い気がする。う〜ん、イヤホンが合ってないのかな?人が使うイヤホンを無理やり耳に詰め込んでるみたいなものだし。でも、今までは何ともなかったような・・・。
試しにやってみちゃう?せっかく短いけど大麻もあるし、子供っぽいけどやってみちゃう?こう・・・、傘でゴルフのスイング練習するおっさん的なノリで。
「ヒール!」
「マリちゃんお昼ですよ〜。お腹空いてます?」
「「・・・。」」
「ごゆるりと・・・。」
「敷田さん・・・、武士の情けです。」
(でも、今マリちゃん光ったよね・・・?)




