28話 ボス戦突入! 挿絵あり
「パーティーとしてはボスって何を引きたいです?私は何でもいいと言えば何でもいいですけど。」
「ツキを見てたらなんでもいい気はするけど、引けるならセンチネル以外か?アレはツキとしても面倒だろう?」
「センチネル?アレって1番楽じゃないですか?逆にキングリザードマンがクッソ面倒で私は嫌いですよ。なんですか!あの連続呼び出しとか!兵士だってねぇ!多分日常とかあるんですよ!」
キングリザードマンは本当に嫌い!火力はそこまでだけど、頻繁に呼び出しを行いエリートリザードマンが3〜6体ボンっと現れる。そしてエリートリザードは固有スキル『我ここにあり!』を発動して強制的にターゲット変更を余儀なくされる。
普通のゲームでターゲット変更はそこまでと思うかもしれないが、トラブルオンラインでのターゲット変更はMPルーブに入っているプレーヤーにとってはブチ切れ案件である。
HPバーがなく、ある程度の損傷度合いで削れたと感じるゲームにとって、そろそろトドメ!と思う瞬間にターゲット変更でトドメをさせないと苛立つし、ボスが回復を標準装備なのも苛立つ。いやさ、プレーヤーが回復出来てモンスターが回復出来ないのはフェアじゃないけど、ボスは初っ端から回復するって鬼門だよね・・・。
世界観に没入するなら邪神云々よりも身近な脅威がクッソ面倒と思う方がいいんだろうけど、悪い文明の運営はNPCがいない所にもいる所身にも面倒を振りまく。プレーヤー重視で初回攻略?していいよ?だが、次に同じ事が出来ると思うなよ?と。
実際レベルが低く初期勢としてエリア攻略に掲示板見ながら攻略に向かい、攻略した後にレベルも上げて新武器やらアーツに魔法、モーション積んで挑んで挑んだら瞬殺された。嫌らしい事に学習AIはプレーヤーの動きを学習している。
それはマスクデータでいつ更新されているか分からないけど、攻略されたならAIは適正まで進化して行こうとする。流石にカンストして初期エリアのモンスターやらボスに負ける事はないけど、解禁エリアは何をしてくるか分からない。長らく遊ぶ閉じて、同じ攻略方法で同じモンスターが同じ戦法と言うのはつまらないし、種族的な固有条件はあるにしても・・・。例えばS武器がSR武器に負けないと言う証明かな?
課金への補償を考えると同系統のS武器が、他系統のSRに負けるにしても半年から1年は要すると言う。そう考えると配布やら 貢献度武器は運営の思想的な武器なんだろうか?実際大麻って似た性能はあっても完全上記互換はないし。近場にスライムがいたので採取しつつムニムニ。
「ツキは没入型プレーヤーか。或いはソロ専?多人数前提のVRMMOなら軍団戦は数が出るのは当たり前だろう?それを捻じ伏せるなら突出するしかないさ。」
「プレーヤーの年齢次第としか。社会人が24時間ほぼ休みなくINしてたら色々と怖くありません?」
「あ〜、分かる。詳細は伏せるにしても分かる。」
「確かにこぇぇ・・・。仲間内ならある程度リアルも分かるけど、それでもこぇぇ。」
「伏せても一緒じゃない?私達パーティーは現状が分かるけどツキが365日接続してたら疑問も怖さも出てくるし。」
「中には石油王みたいなガチ富豪とか配信で生計立てて、それも本気で有名人で儲けてる人なら分かるけど、ツキって本当に最近始めた人だよね?配信の本数も少ないし。サブアカやるにしても旨味はないし。」
「あ〜・・・。時間帯的なホラーは別として、ガチのリハビリ要員で患者なのはマジです。込み入った話は伏せるしかないですけど、互いにリアルへの詮索やらは辞めません?それに、疑問点への解も配信が進めば分かる予定です。」
言葉選びマズったなぁ・・・。リアルへの詮索がマナー違反だとしても、それは明確に規約違反でも無ければ法律違反でもない。う〜ん・・・、配信は続けるにしもリアルに繋がる発言は控えるしかないかな?
どれだけ時間が経ってどれだけ世間が寛容になろうとも、俺が狐娘であるのは変わりないし、変われないならそうして居場所を作るしかないのよね。だから自己発信は必要思うけど中々上手くいかない。
「そうか。なんにせよ俺達パーティーは聞いた話、言われた話以外は詮索しない。だからツキがいつINしようと何をしていようと気にしない。だからその・・・、フレってOK?」
「いいですよ〜。ホラー振りまく狐娘はニコニコ大麻振りながら受諾します。領地防衛戦、他チームならガチに殺しに行きますからね?」
「それは頼む。加減されて譲られた勝利は結局他の強豪に潰される。なら、ガチって遊んだ方が楽しい。」
ムニムニしていたスライムの核を抜いて倒し、ボスへ向けて出発。ガチコンガチコン採掘してくれたおかげで結構素材も集まってるし、神秘洞窟採掘固有レアのアクアマリンやら大量にいる古代の欠片、他にも竜骨も出てる。採掘そのモノはフィールドでも出来るけど、固有ドロップはその場所に行かないといけないからアクアマリンは素直に嬉しいな。
「高速射撃、弾丸巨大化、フェイルノート!からのヴァジュラシュート!あーちゃんそっちは!」
「バーミリオンシュート!流石に何度倒してもコウモリ共は面倒!って、近寄るなぁ〜!このボケ!」
「ヒール!邪霊招来!どんどん呪ってけー!あーちゃんまとめるけどHP保つ?」
「大丈夫ツキ!ここを乗り切ったら回復するよ〜。」
「ギギギ・・・、落ちろ。ダークバレット・・・。」
「その魔法は通させない!デコイボム!集めますよ!そこにぶち込んで下さい!」
「よし来た!ほのか行くよ!」
「あいよ嬉野!」
「おいでませ風精招来!からの大渦!」
「・・・、よし固まった!火力ぶち込め!」
自己バフモリモリで落っこちたら終わりの橋の上。コウモリと言いつつ姿は羽根の生えたゾンビっぽい奴等が洞窟の中を舞いながら魔法を撃ってくる。ザコだからと倒しては少しの間を置いてすぐにリスポーンするから、体感的にはここが洞窟の山場かな?既に遊撃してまとめ倒してドロップ稼いでと進んではいるものの結構打倒している。
そんな道中を経てボス戦前の扉へ。一応安置なのでここで色々と準備する。と、言うか安置あるから挑むなら準備しろと言う悪い運営からの挑発宣言かな?
「稼げるけどやっぱ面倒い。それにそろそろ眠気ががが・・・。」
「ほいポーション。買い込んだ分にはまだ余裕があるけど、ボス戦考えると個人持ちのポーションも使わないとな。」
「あぁ、ならあーちゃんヒール!重ねがけならこれで大丈夫だよ。」
「ツキありがと〜。やっぱり大麻凄いね。MP管理かなりいい加減でもよさそうだし。」
「それが大麻最大のアドバンテージだからな。俺も1本持ってるけど覚醒させるにはどれくらいかかるやら・・・。ツキはどれくらで覚醒を?」
「ついこの間ですよシモン。魔法乱射でまだだらしない顔浮かべるお年頃ですねぇ。」
多分戦中にMP回復見ながら魔法ループしたりしてたからニヤけてたと思う。その上でタゲ取りながら自爆特攻するデコイボムとか高MP消費の魔法使ってもどんどん回復するから笑いが止まらん。
「カンストプレーヤーでも最近って考えると道のりは遠そうだっと、バフ盛ってそろそろ入るとするか。」
個人バフにパーティーバフ、デコイに妖精に追従する召喚獣。ボスと戦うと言うのは自分達がその時持てる全ての力を持って挑むもので、確かに弱いボスや初期エリアのボスに今更負ける事はないけど、それでも通常攻撃縛りなんかの縛りプレーはかなり厳しい。いや、格闘好きとかならやれるのかな?
「さて、何が出るかな何が出るかな?」
『ボスエネミー:邪悪なる妖精王、来場・・・』
「我が領土荒らす俗物よ・・・、誅する!」




