27話 奥に進もう 挿絵あり
神秘洞窟は樹林の奥にある洞窟で、入るにはフィールドを走破して滝をフリーフォールする必要がある。お手軽に行くなら街で翼竜を借りるのが楽だけど、このパーティーはどうするのかな?
「洞窟までどうやって行きます?フィールド走破か翼竜ショートカットになると思いますけど。」
「今回は翼竜チャーターで行く。道中の素材は結構集めたし、あーちゃんがな・・・。」
確かに眠いって言ってたしそれでいいか。道中は道中でモンスターも多いしドロップもそこそこおいしい。それにパーティーのやり方も見れればと思ったけど洞窟を周回しているなら、ある程度戦法も決まってるんだろうし遊撃なら後方は任せて大丈夫かな。
「分かりました、なら翼竜借りて行きましょう。」
翼竜チャーター場所へ行き翼竜借りて空へ。形としてはワイバーンに鞍を付けた様な感じだな。イベント次第では翼竜を育てて空中戦をしようなんてのもあるから見慣れているし乗り慣れている。そう言えば領地のワイバーンは餌だけ与えて放置してるけど大丈夫だろうか?使える機会があんまりないから多少忘れがちになる。
「戦闘の指揮は俺がやる予定だが、ツキは何かコレって言う要望はあるかい?」
「遊撃なんで周り見ながら逐次迎撃ですかね?後方から支援もしてもらえるでしょうし、タゲ取りして攻めてる時にノックバックでモンスターふっ飛ばされたら困るとか?」
「あぁ、その辺りは大丈夫だ。基本的にウチらはタンクや迎撃出来る奴にタゲ取りしてもらって押す感じだったしな。しかし、カンストしてるからにはかなり動くんだろ?ウチらの方が遅れを取らないかの方か心配さ。」
「う〜ん・・・、訳あって今リハビリ中なんですよね。普段は俯瞰視点で楽しんでたんですけど今は一人称視点に変えたり、こうして撮影して配信してみたり。それにガチ勢じゃなくてエンジョイ勢くらいの実力なんで、そこまで動けないですよ。」
「そう言えば配信チャンネル教えて〜。私達の旅も配信されるなら見るから。」
「いいですよ〜。」
配信チャンネルを教えている内に滝を降りていき滝壺近くの洞窟入口へ。現実ならマイナスイオンが〜とか言いたい景色だけど、それよりも湿度が高くて尻尾が重い。まぁ、感覚だけでそれがデバフになるわけじゃないからいいんだけどさ。
洞窟内へ入ると頭上に『神秘洞窟』とエリアがポップする。中は洞窟の壁が光ったり妖精っぽいキャラクターがピカピカ光と暗さは気にならない。入口周辺にはゴブリンやらアクアスライムが多く、たまに出て来るリザードマンやら水中から顔出して魔法撃ってくるシューターウオとバラエティー豊か。
タゲ取りと言う事で魔法でモンスターにちょっかいかけて誘導してまとめつつ、4人がボコスカ攻撃するのを確認してまたタゲ取りへ。火力は十分だしタゲ取りミスらなければ余裕も出てくるし・・・。
「ここで少し採掘するけどいいかい?」
「了解です、モンスター警戒しときますね。」
「化っ石、化っ石!宝石もでるしレア鉱石も!」
「肥料を作るぞー!!」
「皆さんかなり領地戦に意気込んでますけど、何かあったんですか?」
「前回領地戦で手酷くやられてな。5人で同盟締結して臨んだんだが根こそぎ強奪された。」
「アレは誰が悪いってわけじゃないけど、強いて言うなら相手が悪かった。そうだろ?シモン。」
「まぁな、だからこそ1ヶ月かけて準備してリベンジマッチに臨む!大型同盟なんのその!少数だろうと単騎だろうと、勝ちの目があるだけこのゲームはマシだ。と、ツキは領地戦出るのか?」
「う〜ん・・・、出るには出るけど時間が取れるかが微妙かも。最悪空領地戦法で参加賞貰うだけでもありだし、ガチりそうなフレがガチでやるならそれの助っ人するかも。」
秋ドンさんはどうしてるやら。資源は溜め込んでるし、この前は襲撃イベントで1位だったしと、やる気は十分だけど確実に勝ちに行くにはフレも大事。単騎で領地戦を勝ち抜くにはかなりの幸運と慎重な立ち回りがいるし、それをしてても押し潰されたら元も子もない。マンパワーは領地戦で正義!
「そうか、リハビリとか言ってたもんな。」
「そう言えばそう言ってたけどなんかの病気?珍しいね。」
「嬉野突っ込むなよ。リアルの話はあんまりな・・・。」
「別にいいですよ。リハビリって言ってもこうしてゲームしつつ病室にいるだけですからね。悲観するほど重大な病でもないですし薄幸の美少女ってわけでもないですから。」
「美少女?」
「あ〜、ちょっと見たけどコスプレする勇気のある人は多分綺麗だよ。配信のワイプで狐耳だけしか見えないけど。でも、なんでわざわざ声まで加工してんの?」
「その声は私の声ですけど?姿は現実基準ですからね。」
「現実基準?ならそのうち佐賀に来るといい。日本三大稲荷神社もあるしお参りすると良い事があるかもしれないぞ。」
「たまに狐の嫁入りイベントとかしてて、ツキが来たら本当に嫁入りさせられたりしてな。」
「おっ!農家の嫁確保か?米ならあるぞ?佐賀ほのかは佐賀の米!」
「いやぁ〜!人の子なぞ孕みとうない・・・。」
「エロ同人乙。なんにせよ元気になって旅行でもするなら行くといい。そこそこ綺麗だぞ。」
「暇が出来たら行ってみますっと、モンスターが来ましたね。ちょっと遊撃要員として狩ってきましょう。」
「助っ人はいるか?」
「いいですよ。採掘優先して貰った方が後から分配して貰う量が増えますからね。」
大麻を握ってモンスターに特攻!トライデント持ったリザードマンとゴブリンやらスライムがせめてくるけど、そこまで潜ってないから1人で大丈夫だろう。流石にボス戦をソロでするのはかなりの準備がいるけど、下位の集団ならねぇ。
「パンプアップ、オーバーリビドー、マジックアップに妖精の手助けっと。ほらほらほら!サンダーバレットバルカン!」
初期魔法を乱射しつつリザードマンに近寄り一閃、筋力アップしたカンスト亜人の火力中々のものだろう?手助けしてくれる妖精は今回は2人か、ランダに召喚されるけど最大でも5人らしい。
俺の横を飛びつつ1/4の火力でランダムに初期魔法を出してくれる。単純に手数で押すなら助かるけどランダム魔法だから下手すると無効化される事も・・・。あぁ・・・、なんでそこで2人ともウォーターバレットをリザードマンに・・・。無効されてダメージも出ない。
「ツキ行くぞ!バーミリオンショット!」
「ほい来た!」
背後から声が上がり援護射撃が飛んでくる。弓は銃系統だから射撃系のアーツが乗る。バーミリオンと言うだけあって無数の矢が飛んでくるのは壮観で、広範囲に矢の雨が突き刺さる。パーティー全員が使えるアーツで両手弓で撃つもんだから殲滅力は高いな。
採掘を終えてアスレチックを越え、膝までの水場を歩いて更に奥へ。入口は水系が多いけど奥に行くにつれてスケルトンソルジャーやら這い寄るナメクジなんかも出て来る。この辺りが肥料の材料をよく落とすし、川の水が溜まっている所で採取すると流れ着いた種がよく採れる。
進み具合は順調だしこの分なら余裕を持って終われるかな?問題はボス戦で何を引くかによるけどさ。




