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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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21話 俺と私の知らない話

 溶液を入れると言われたけど、気持ち的には温水プールに潜っている感じとか?特に粘り気があるわけでもなくナノ洗浄もしてくれるので、風呂に入ってない俺としてはありがたい。これでボコボコ泡が出ればジャグジー気分だけど、流石に医療ポッドにそれは高望みし過ぎかな?


 なんにしてもここから出られないから適当な動画をでも見よう。有名配信者と言うか、バズりやすい動画にはある程度法則的なものがある。


 1つは商品紹介動画。


 季節物にしろコスメやらにしろ、何かをしたいと言う時に使ってプレビューしてくれていたら1回見て考えられるから見る人は多い。でも、これって勝手に買ってプレビューしても企業から文句言われそうだし、かと言っていい話ばかりしても疑われそう。何より俺は女性物の服やコスメに詳しくないし、尻尾の生えた人用の紹介とかニッチ過ぎる。


 2つ目は料理や飲食店系


 経費で飯食ったお金が貰えるならいいんだろうけど、そこまで食べ歩きはしてないし、何よりまだ外出してないからかなり厳しい。でも、有名店とか行ってご飯食べつつお店紹介とかにはちょっと憧れる。


 3つ目はやってみた系


 スライム風呂に入ってみたとか、巨大花火打ち上げてみたとか・・・。これは無理かな?初期投資と言うか事前準備にお金がかかり過ぎるし何より体張って何々って外見的にどうなんだろう?見た目は悪くないから喜ぶ男はいる?


 4つ目はやっぱりゲーム系。


 色々なタイトルがあるけどVRMMOはジャンルとして定着してる。定着してるけどその分競争相手が多い。ただ、そこにアドバンテージを考えるなら、やっぱりアバターと同じ姿の人が同じ声でゲームやってる事とか?コスプレ配信が少なくない訳じゃないけど、それはアバターのコスプレじゃなくてアニメのコスプレとかが多い。なら、自分のアバターになりきってると言うか、スキャンされた姿をそのままアバターにしたと言えば逆に耳と尻尾があってもおかしくない。


 その他にも雑学系やおもしろ画像にツッコミ入れる動画も人気だけど、最終目標が外を出歩くだからこの辺りは範囲外かな?でもキャンプ動画と言うか、野山で焚き火したり海で釣りしたりしてるのには憧れる。


 三枝先生に渡した企画書っぽい物から考えると4を主軸としつつ、コスプレイベントとかにお邪魔して認知度を上げていくのが最善かなぁ〜?いや、逆にハロウィンならこのまま外に出てもコスプレで済ませられるのか・・・。と、言うかかなり検査が長い。


 貰ったゴーグルもなんか操作が効かなくなってずっと医学論文?生体科学?ナノマシンの操作とか?とにかく人体の不思議的な映像やらナノマシンの映像、後は神話とか遠野物語が流れてくるし・・・。そう言えばそのゴーグルの端に大麻振ってるツキが見えるけど、敷田さんが入れてくれたのかな?


 ファイヤバレットやらウォーターバレットを撃ったり、回復魔法使ったりと節操がないと言えばそれまでで、狐火なんかはフヨンフヨン飛んでいく。そう言えば符を使ったけど狐火も操作出来ないかなぁ〜。剣技と言うか客観的にツキの動きを見るともう少しこう・・・、無駄なく動けそうな気はする。主軸として使うのは大麻でいいとして・・・。


(?、なんか触った?と、言うかいつからなにかがあった?)


 医療ポッドの中に入る時俺は特に何も持ち込んでない。寧ろ医療ポッドに入る時は極力検査衣以外は身に着けないし、医者から渡された物以外は原則として持ち込み禁止なのよね。そう考えると漂ってて壁にでも触った?でもなんか掴めそうと言うか掴んでる?


 握り込んだ感じ硬いし尻尾ではないと思う。でも本当にいつからそれがあったのだろう?慣れ親しんだ手触りと言われればそんな感じもするし、硬いと言われれば硬い。こう・・・、爪を立ててみても刺さった感覚がないから弾力もないのかな?


『マリちゃん大丈夫!?』


『大丈夫ですけどまだですか?結構プカプカ浮いてんるですけど。』


『大丈夫ならいいですが、異常があったらすぐにその棒でポッドを叩き割って下さい。』


『棒?棒なんて持って入ってないんですけど・・・。』


『気付いてないかもしれませんが、マリちゃんの手にはいます大麻が握られています。』


『えっ!?出て来たんですか?でもどこから?』


『ポッドへの指示を出してクラウドと接続した辺りからです。取り敢えず2時間と算出されましたが、身の危険を感じたらすぐに言って下さい、強制停止させますので。』


『はぁ、お願いします?』


 身の危険と言うか普通に気持ちいい。しっかし消えた大麻は出て来たし本当になんなんだろう、コレ。俺の焦げとかが集まって出来た物らしいけど、這い寄ってきたり消えたりまた出てきたりとかなりフリーダム。ただ、棒だけに相棒なのか不快感はないのよね。


 それからそこそこ時間が経ったと思うけど、相変わらずゴーグルの画面には医学やらナノマシンやら科学的ななにかやらの文章がフラッシュ暗算みたいに流れてるし、コレが後1時間くらいとなると結構キツイ様な・・・。それに背中とかもちょっと痒いし。短髪だったのに髪の毛が長くなって、その毛が背中をブラインドタッチして来てムズムズする。


 手を回して掻こう。そう思って手を伸ばすより先に背中のちょうどいい所が絶妙な力加減でポリポリと掻かれる。気持ちいい反面、明らかな異常だけど不思議とこう・・・、危ない気はしない。ゴーグルの中で大麻振ってたツキも大麻を孫の手みたいにして背中を搔いてるみたいだし・・・。もしかして連動してる?身体は動いてないから大麻だけとか・・・。


『先生、大麻ってどうなってます?』


『怖い事を言いますが背かなを撫でる?搔く?とにかくその様な動きをしています。なにか異常を感じますか?』


『いや・・・、痒いなぁ〜搔こうかなぁ〜と、思ってたら搔いてくれてるからそのままでいいかなぁ〜と。』


『・・・、失礼ですがマリちゃんは図太いと言われませんか?』


『丸焼けにされたので相当図太くなってるとは思いますよ?』


 あの恐怖やら絶望感に比べたら多少なにかが動いてもビビるくらい?流石に幽霊やら妖怪が出てきたら・・・、幽霊じゃないけど明らかに妖怪変化な俺は妖怪にビビると同族にビビった事になるのだろうか?変な所で哲学的問題が!まぁ、お化け屋敷に行けばキャストの人やらARのモーション動画にはビビるし、多分普通普通。


『マリちゃんがそれでいいならそれでいいですが、くれぐれも異常と感じたら言うかなにかアクションを起こしてくださいね。』


『分かりました。』



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



 大麻がいつの間にか・・・。いや、正確には急激な溶液内のナノマシンが減少してから現れてきた。考察するにあの大麻はナノマシンの集合体?それも詳しく検査しなければならないが、今使っているのは医療ポッドであって機器の診断装置ではない。MRIに寄るスキャンは出来たとして、断面図を見てどうなる?


「またで出来ましたね、あの棒。大麻でしたっけ?今度は黒くないですけど。」


「仮説とするならナノマシンの集合体であると同時に、マリちゃんの補助機能なのかもしれません。」


「補助機能?」


「ええ。今は分かりませんが大元の大麻はマリちゃんの脱落した皮膚等から出来ています。そして、皮膚と言うのは外部からの熱や細菌等を防ぐ人の防衛機能です。その防衛機能を進化させれば・・・。」


「外部装置の様になると?かなり飛躍していませんか?」


「しかしあの棒を取り込んだマリちゃんは動ける様になり、人にはないはずの耳や尻尾もスムーズに動いています。本人の弁ではまだ尻尾は上手く動かせないと言いますが、それは所感であって医者である私から言わせてもらえば、少しでも動かせる時点で既に身体機能の一部として理解していると言えます。そして、今回のデータの取り込みです。」


「頭ではなくあの棒がデバイス代わりって事ですかね?しかし、無機物なのでは?いくらナノマシンと焦げ・・・、炭素の集合体だとしても・・・。」


「本質的にはあの大麻の中身はナノマシンだけかもしれません。外側を炭素結晶で覆い持てる形とし、不要なら体内に取り込むと言うね。」


「もしかし大麻がマリちゃんの中に入って行ってたのって、食事が足りずナノマシンも足りず、その中で動きたいと願ったから?それってナノマシンの人為的操作・・・、でも本人の体内にあるナノマシンは本人の危機を察知しすれば・・・。」


「極度の飢えは生命の危機ですよ。それは古来から変わりません。何より・・・。」


 テキストデータにある妖怪・・・。マリちゃんは人だと思っているけど、コレがどう働くか・・・。確かに妖怪と言う生物は非公式ながら観測されている。実態がある者もない者もそして、古来神と謳われた様な者も。


 人と神或いは妖怪との垣根は確かにあり、互いに遠くて近い世界に住んでいた。その垣根を先に跨ごうとしたのは人間で、昨今のAR技術を用いた映像の中には、実は本当の妖怪等が混ざっている事がある。端的に言えばお化け屋敷がその発生確率が高い。


 いないはずの者に姿を与え、隠れているはずの者を見て楽しむ。大半のソレはおおらかで人が恐れる様を見て気を静めているが、それが一度荒ぶれば簡単に停電だって起こる。


「もうすぐ2時間ですけどどうします?更に溶液を注入しますか?かなり循環してナノマシン自体が少なくなってますけど。」


「・・・、ポッドに任せましょう。今の所異常をマリちゃんは訴えていませんし。」


『DLが完了しました。他の指示がある場合は指示をお願いします。』


「指示、患者の状態を詳細出力。出力出来たデータは三枝に転送して抹消。」


「いいんですか主任?」


「事が大きくなるかもしれません。データを残し不用意に見られるよりはよほどマシです。」

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― 新着の感想 ―
ファンネルのような孫の手大麻! それを普通に受け入れてるツキさん大物ですね!
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