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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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第30話 カレンの覚悟 その②

双子の魂佰までも

2


カレンが地面に落ちた翼々風魔扇を拾い上げ、間髪入れずに振った。


「風神之槍!」


ゴウッ!!


竜巻の槍が、斧に変形した機械生命体を穿つ。


機械生命体はクラっと、まるで制御不能になったヘリのような動きをした。


(まさか・・・)


カレンの脳裏をある予感が掠める。


(機械生命体は、風に弱い?)


冷静に考えれば頷けることだった。機械生命体は空を飛んでいる。ならば、飛行の邪魔となるのは風だ。


「だったら、どんどん畳み掛けるわよぉ!!」


勝利への糸口を見つけたカレンは、翼々風魔扇を主な攻撃手段へと切り替え、機械生命体へ竜巻を放った。


「風神之槍!」


機械生命体は大きく動いて竜巻を躱す。


「やっぱり嫌がっているわぁ!!」


風を当てるだけでも効果がある。ならば、槍などと貫通力を重視している場合ではない。


カレンは極太の竜巻を発生させた。


「風神之大翼!!」


広範囲に及ぶ竜巻が、機械生命体を巻き込む。


機械生命体は風に揺られ、フラフラと地面に落下した。


「決めるわよォ!!」


カレンはThe Scytheに持ち替えると、隙を見せた機械生命体に斬りこんだ。


その瞬間、機械生命体の形状が歪む。


「変形する!?」


ぐにゃり。ぐにゃり。ぐにゃり。


構わない。それよりも先に、機械生命体を斬り裂くだけ。


カレンは刃を振り下ろした。


そして。


ザンッ!!!


「うっ!!」


カレンの右手首から右肩にかけて、赤い線が雷のように走った。


ドッと血が吹き出す。


(痛い!)


速すぎた。見えなかった。


響也の愛武器、【The Scythe】に変形した機械生命体の攻撃に、反応が出来なかった。


(The Scytheにまで変形ができるの!?)


カレンは一旦飛び退く。


血で手がぬめった。


機械生命体が湾曲した刃をもって追撃してくる。


「くっ!!」


カレンは手に力を込めると、その斬撃を受け止めた。


機械生命体が切り返す。


「!?」


カレンの首筋の薄皮が斬れた。


(このUMA、首を狙ってる!?)


理解している。知能がある。


機械生命体は、カレンの首を落とせば、カレンが死ぬことを知っていた。


「はあっ!!」


カレンは首を守りながら、機械生命体と剣戟を繰り広げた。


ギンッ!!!


ギンッ!!!


ギンッ!!!


ギンッ!!!


「風神之槍!!」


フェイントで、死角から竜巻を放つ。


やはり風が嫌いな機械生命体は、カレンから距離を取った。


「まだまだよぉ!!」


翼々風魔扇を振り、突風を巻き起こす。


その瞬間、またしても機械生命体の形が歪み、変形を開始した。


(今度は何に!?)


身構えた瞬間、カレンの脇腹がカッと熱くなった。


「うぐっ!!」


血が吹き出す。


機械生命体が変形したのは、超極細の槍だった。


カレンの風を貫き、カレンに攻撃を命中させる。


「くっ・・・」


横腹を抉られたカレンは、ふらりとバランスを崩した。そこに、槍に変形した機械生命体の攻撃が直撃する。


ギンッ!!!


何とか、The Scytheの刃で防ぐ。しかし、踏ん張りが効かず、吹き飛んだ。


「がはっ!!」


岩に叩きつけられる。


「はあ・・・、はあ・・・」


カレンの右肩、右腕、左横腹が真っ赤に染まっていた。


「目が、霞んできた・・・」


腕が、鉛でも付けられたかのように重くなった。


カレンは歯を食いしばって立ち上がる。


「このくらいで、負けてられないわ・・・」


自分は、桜班副班長【城之内カレン】。代々受け告げられてきた名家の娘。


誇り高く、寛大な心で、目の前の事象に立ち向かっていく。


「それが、私の家の、鉄の掟よ」


カレンはThe Scytheを握り直した。


その時、カレンの耳元で誰かが囁いた。










お前は、本当に役立たずだな。










「えっ!?」


振り向いて見るが、誰も居ない。


幻聴だった。


「はっ!?」


油断した所を、機械生命体が攻撃する。


ギンッ!!!


The Scytheで防ぐが、傷口が深いせいで、またしても吹き飛ぶ。


そして、またしても誰かの声が、カレンに囁いた。










お前は、本当に役立たずだな。










(誰なの!?)


頭がズキンズキンと、割れるように傷んだ。貧血のせいか、この幻聴のせいか、分からなかった。










牢に入れておきなさい。










「・・・!?」










我が家の当主は、カレンにしよう。










「私の名前・・・?」










クレアは、捨てなさい。










ズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキンズキン


「ううっ!!」


カレンは自分の頭を押さえた。


声が響く。


頭が痛む。


「何よ、この記憶は・・・!?」


記憶が蘇る。


幼き頃の記憶。


「誰よ・・・、誰なのよ・・・!?」


カレンの身に起こった異変などつゆ知らず。機械生命体はカレンの首を斬ろうと襲いかかってくる。


「誰なのよぉ!!」


振り下ろされた刃にThe Scytheを差し出すも、受けきれない。


吹き飛ばされたカレンの身体は、宙に舞っていた


ザンッ!!!


そして、無防備な彼女の右肩から、腰にかけて、赤い線が走る。


「っ!」


視界に火花が散った。


(やられた・・・)


そのまま、カレンは地面の上に仰向けで落ちた。


じわりじわりと、土の上に、血液が広がっていく。


心臓の音が速くなった。


カレンの耳に響く声が、大きく、ハッキリとしたものになる。











「お前は、本当に役立たずだな」












(だから、誰なのよ・・・)


カレンの意識は、そこで途切れた。










番外編【城之内カレン外伝】に続く

番外編【城之内カレン外伝】に続く

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