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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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第26話 蛇の住む山 その③

肩に焼け付く


蛇の牙


喉に張り付く


蛇の毒

3


「あははははは!!!」


「ふふふふふふ・・・」


アクアの運転するキャンピングカーの中で、響也とカレンの笑い声が響き渡った。


笑いの種は、架陰が握る新しい武器。


「一体どうなっているんですか?」


座席と言うよりもソファに座った架陰は、ぷらぷらと木刀を揺らした。


「この木刀が、僕の新しい武器と言うんですか?」


運転席から、アクアが「これは私も予想外よー」と言った。


「まさか、【匠】とあろう名匠が、ただの木刀を送り付けて来るとは思わなかったわー」


「本当にただの木刀なのか?」


響也が覗き込んでくるので、架陰は木刀を渡した。


何度も確認したので断言できる。本当に、ただの木刀だった。


「最初は、『装飾されていない刀』かと思ったんですよ・・・、ですが、まず柄と刀身の継ぎ目も無いし、引っ張っても抜けない・・・、それは木刀です!」


「本当だな・・・」


「ですが、気になることが一点」


架陰は木刀の柄の部分を指さした。


「一応、銘が刻み込まれているんですよ・・・」


「銘か・・・」


見ると、確かに柄の部分に、【名刀・赫夜】と掘られている。その反対側に、【刀匠・二代目鉄火斎】とあった。


「てっかさい?」


響也はカレンの方を見た。


「知ってるか?」


「知らないわぁ。私のは、【四代目風来斎】様の作品だもの・・・」


「私のThe Scytheも、【五代目鹿王斎】の作品だ・・・」


「へぇ、みなさんの匠は、結構代々受け継がれているって感じですね・・・」


「そうねぇ、武器職人はかなりの歴史を持つからねぇ」


架陰は響也から、【名刀・赫夜】という名の木刀を返してもらうと、改めて刀匠の名を見た。


二代目・鉄火斎・・・。


歴史は浅い方なのか。一体、どんな人が、この武器を作ったのか・・・。


「ちなみに、誰が誰の武器を作るってのは、どうやって決まるんですか?」


その質問には、アクアが答えた。


「ハンターの情報を本部に送るのよ。そして、本部が誰に作らせるか決定する。まあ、刀匠本人が『私に作らせてくれ』って言えば、即決定みたいな部分はあるけど・・・」


「そうですか・・・」


架陰は自分の新たな刀(?)をまじまじと見た。


「とりあえず、装備しておくか・・・」


架陰の武器についての議論が一度終わったのを見越したクロナが口を開いた。


「ところでアクアさん、今日はどこに行くんですか?」


それは架陰も気になっていたことだった。


架陰とクロナ、響也にカレンがキャンピングカーに乗り込んでから(鉄平はつまみ出された)、既に30分以上が経過している。


桜班の管轄なんて、とっくに超えていた。まさか本気でキャンプに行こうとする者などいない。


窓に黒いフィルムがかけられているので、外の様子は分からない。


先程から、キャンピングカーが右に左にと曲がっている。時々、大きく揺れることもあった。山道に入っているということは容易に想像出来た。


アクアはハンドルを右に切ってから答えた。


「蛇山よ」


「蛇山?」


「正しくは、【特例管轄地域】ね」


その言葉を聞いて、響也が「なるほどな」と頷いた。


「UMAハンター達が構成する、【班】は、地域ごとに別れて、その地域に出没するUMAを退治する。だけど、全ての地域にハンターを派遣できるわけじゃない。時々、どこの班の管轄じゃない場所が出てくるの。それが、今回行く、【蛇山】という場所よ」


なんだか、いかにも蛇のUMAが出てきそうな山の名前だ。


「今回、その蛇山で、UMAの出没情報を得たわ。その任務を、椿でも薔薇でもない・・・、私ち桜班が任されたのよ」


アクアは「みんな、頑張ってね」と言った。


「今回のUMAを狩れば、見事、【Aランク】に昇格よ!!」


「まだ昇格してなかったんですね」


吸血樹とローペン二体を狩ったのだ。もうAランクには昇格しているものだと思い込んでいた。


「これで、戦うのか・・・」


いざUMAとの戦闘を想像すると、架陰の木刀が気になる。これで、どうやってUMAに傷をつければいいのか。


クロナが、茶化すように「大丈夫よ 」と言った。


「あの椿班の男も、打撃武器だったじゃない。おそろいよ」


「おそろい・・・」


すると、響也の眉間にシワが寄った。


「クロナ、お前も人のことは言えないぞ・・・」


「わかってますよ・・・」


クロナは若干歯切れを悪くして、腰のホルダーに入れた銃を叩いた。


「今度こそ、バッチリな狙撃をしてみせます!」


「ならいいが・・・」


響也はまだ何か言いたげだったか、めんどくさくなったのか、黙り込んだ。


車内に、アクアの声が響く。


「さあ、みんな、そろそろ着くわよ!!」










蛇の住む山。


クロナの過去。


架陰の木刀。










激闘が、始まる・・・。











第27話に続く

架陰「なんで木刀?」


クロナ「まだまだ精進しろってことよ」


架陰「そういえば、クロナさんも刀を使ってましたよね」


クロナ「あんたが刀を使うから、仕方なく銃に持ち替えたのよ」


架陰「すみません・・・」


クロナ「何謝ってんのよ。これはアクアさんが決めたことなんだから、あんたはその木刀を使えばいいのよ!」


架陰「そういえば、クロナさんには、【匠】の武器はないんですか?」


クロナ「・・・」


架陰「え?」


クロナ「あるわよ。もちろん」


架陰「じゃあ、それを使えば・・・」


クロナ「使いたくないのよ・・・、嫌なことを思い出すから・・・」


架陰「え?」


クロナ「次回、27話【消えない残像】」


架陰「???」

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