表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UMAハンターKAIN  作者: バーニー
54/530

第21話 刀を砕く牙 その③

牙を失ったならば


獣に生きる価値はあるのか

3


「くっ・・・」


架陰青紫に腫れ上がった右腕をだらんと垂らした。


響也がその腕をそっと持ち上げる。


「どうしたんだ・・・、これは・・・」


ただ殴っただけではこうはならないだろう。


架陰は痛みに耐えながら説明した。


「能力を使いました・・・」


「魔影ってやつか」


「はい、前にも説明しましたが、僕の魔影は、物質と触れ合うと、【衝撃波】を発生させます。吸血樹を両断させた時に使用した【魔影刀】も、切り口に衝撃波をねじ込んだので、1メートル程の刀が、あの巨大な個体を斬ることができたんです」


そして架陰は、左指で右腕を指さした。


「今回は、魔影を腕に纏わせてみたんです。【魔影拳】ですね。予想通り、衝撃波は発生して、あの獣に脳震盪を起こさせるくらいの一撃は喰らわせられたのですが・・・、慣性の法則というか・・・、僕の腕も砕けちゃいましたね・・・」


てへへ、と、恥ずかしそうに笑う架陰。


響也は直ぐに着物の懐に手をやったが、あいにく、今日は回復薬を持ち合わせていなかった。


「おい、カレン、回復薬」


「ごめんなさい、響也。私も持っていないよぉ」


カレンは両手を挙げて、降参のポーズをした。


「僕も持っていないんですよ」


「全員揃って情けないやつだな・・・」


響也は自分の軽率さと、カレン、架陰の軽率さに呆れた。


「すまないが、帰るまで我慢しろ・・・」


響也はThe Scytheを握り直すと、横で気絶しているバンイップの方を向き直った。


鎌状の刃を、バンイップの無防備な首にかける。そして、一気に引いた。


「死の技、頸刈りっと」


切断されたバンイップの首が、ゴロンと転がる。胴体の方から、大量の血液が溢れ出した。


「これでいい」


響也はThe Scytheを振り、刃に付いた血液を飛ばした。


「ところで、クロナはどうした?」


響也は、架陰と共にUMAの調査に出かけたクロナの存在を忘れていなかった。


架陰は、「それがですね・・・」と、気まずそうに頭をかいた。


「椿班の人達に襲われて、気を失っているんですよ・・・」


「何だと・・・」


響也の眉間にシワが寄った。


明らかに不機嫌になった響也の剣幕に、架陰は数歩たじろいだ。


「一応、響也さんからの連絡を受けた時、起こそうと努力はしたんですけど・・・、麻酔銃を打ち込まれたのか、全く起きなくて。車に轢かれないように道路の端に寄せて、そのまま放置してきました」


架陰はクロナを置いてきたことを叱責されるのかと身構えたが、響也が気にしていたのは別のことだった。


「おい、椿班はどこに行った?」


「え」


少し考える。


「あちらも、UMAに遭遇したらしく、自分たちの管轄に戻って行きました。元々二人だったので・・・」


「なるほどね・・・」


響也は、どちらかと言うと安堵のため息をついて、The Scytheを肩に担いだ。


「とりあえず、クロナを迎えに行くぞ・・・」


「あ、はい・・・」










4


架陰と響也、カレンが椿班の人間と遭遇した場所に向かうと、路肩に倒れ込んでいるクロナを発見した。


「おい起きろ!!」


響也が、The Scytheの切れない部分でクロナの頭を殴る。


クロナは少し顔を顰めたが、目を開ける様子はなかった。


「こいつ、舐めてるのか・・・」


「やめてあげてぇ、響也ぁ」


カレンがクロナを抱え起こす。クロナの肩から血が滲んでいた。


「ここから麻酔銃を打ち込まれたのよぉ・・・、しばらくは起きないわよぉ」


「ちっ・・・」


「椿には狙撃手がいたみたいですね」


その場にいた架陰だから分かる。


狙撃手は二人。弓矢を放ってくる者と、ライフルを撃ってくる者だ。


「どうするんですか、やり返しますか?」


架陰は一応訪ねてみた。


攻撃してきたのは向こうからなので、「仕返し」をしようと思えばできるはず。


(まあ、それがUMAハンターの規律に違反しているのかどうか分からないけど・・・)


響也は冷静に首を横に振った。


「いや、いい。隙をつかれてやられたのもこいつの責任だ・・・。それより、私たちはバンイップの死体処理という仕事がある」


「そうですか」


「架陰、お前はクロナを運べ」


響也に命じられ、架陰はすやすやと眠っているクロナを背負った。力が抜けているせいで、かなり重い。それに、右腕の骨折が痛い。


その様子を見た響也が、「あ、すまない・・・」と謝った。


「お前が骨折していたこと、忘れていた・・・」


「忘れないで下さいよ」


結局、クロナはカレンが背負って運ぶこととなった。



「・・・・・・」


響也とカレンが先行して歩くのについて行く架陰。


もちろん、右腕は相変わらず痛い。


だが、架陰にとって気掛かりなのは、また別にあった。


「僕の、刀・・・」


架陰は腰にささった自分の刀の柄に手をやった。鞘に納めているものの、刀身はバンイップの大顎に噛み砕かれてしまった。


「僕は・・・、どうやって戦えばいいんだ・・・?」













第22話に続く





架陰「みなさんは、武器を壊したことありませんか?」


響也「無いな。The Scytheはずっと使っている」


カレン「私も無いわねぇ。翼々風魔扇は最近手に入れたものだし、それ以前に使っていたものは大切に保管してあるわぁ」


架陰「どうしましょう?」


響也「まあ、お前の【鉄刀】は量産型だから、耐久性はそこそこだな」


架陰「バンイップのせいだ」


響也「安心しろ、また何かしらの支給品はある」


架陰「そうですかね?」


カレン「次回、第22話【二匹いた!!】」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ