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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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新たな仲間 その②

大地に沈んで行け


日輪が完全に昇りきった頃、囲炉裏の前ですやすやと眠っていたアクアが外に出てきて、「さあ、帰りましょう」と待っていた架陰に言った。


「任務に出るわよ!」


「任務…」


嫌な予感がしなくて架陰は顔を顰めた。


「アクアさん、帰りましょうよ」


「やーね」


アクアは首を横に振ると、いつもの自由奔放な笑みを浮かべて、架陰とその隣のココロを指さした。


「今から、二人にはUМA退治に出てもらうわ!」


乗り気ではない架陰とは対照的に、ココロはパンッと手を叩いてやる気を表した。


「いいじゃないですか! ボクのUМAハンターデビュー戦ってわけですね」


昨日は散々アクアに対して「ふざけんな!」「ぶっころしてやる」と乱暴は言葉を使っていたというのに、今日は落ち着いた口調。


そのギャップに違和感を感じながら、架陰はアクアに聞いた。


「それで…、どのUМAを狩るんですか?」


「なんでもいいわ」


アクアはそう言った。


「この山の中に、UМAが沢山潜んでいるのは知っているよね?」


「はい、前に来ましたからね」


以前、鉄火斎に【名刀・叢雲】を打ってもらった際、架陰とクロナは、この山の中に踏み入って、モスマンと死闘を繰り広げたのだ。


確かあの時は、ローペンの存在も確認できた気がする。


アクアは続けていった。


「今回の目的は、UМAを倒すというよりも、ココロちゃんに『UМAハンターとしての仕事』を覚えてもらうためだから」


「職場体験的な」


「そうね」


アクアが架陰の肩をぽんっと叩いた。


「じゃあ、よろしくね。架陰。ココロちゃんの世話」





一時間後、身支度を整えた二人は、鬱蒼とする樹林の中に足を踏み入れていた。


「ったく」


ココロが悪態をついた。


「なんだよ、この着物」


ココロが不満に思っていたのは、アクアから支給された『桜班用・戦闘服』だった。


並大抵の攻撃は通さない、特殊繊維で編みこまれた戦闘服。各班によってデザインは異なる。椿班なら『赤スーツ』。薔薇班なら『タキシード』または『ゴスロリドレス』。


そして、桜班は『着物』だった。


白基調の生地に、薄紅の桜の紋様。まさに「桜」って感じのデザインだった。


「いいでしょ? それ、僕は気に入っているんだ」


「ボクはやだね」


ココロはそう言って、着物の袖を指で引っ張った。


「しかも、これ、女用じゃないか?」


着物の裾からは、ココロの細脚が覗いている。


「当たり前でしょ。ココロって女だから」


架陰がははっと笑って言った瞬間、ココロの拳が飛んできて、彼を木の幹まで吹き飛ばしていた。


「なにをする」


「ボクは男だ」


「いや、女でしょ」


実際、彼はココロの胸にある「柔らかいもの」に触れていた。


ココロは、名刀秋穂を肩に担いで、木の幹に背中からめり込んでいる架陰に言った。


「おい先輩。その袴、寄越せよ」


彼女が言いたかったのは、彼が履いている『袴』だった。


「なんでボクも男なのに、女用の着物を着なきゃだめなんだ。先輩のその男用の着物よこせ」


当然、架陰は拒否する。


「いや、これ、僕の戦闘服なんですけど」


「いいから寄越せよ。股の下がスースーしてならん」


「うわああ! 痴女に襲われるうう!」



十分後。


ココロに袴を脱がされそうになるのを何とか阻止した架陰は、文句を垂れ流しながら山の中を歩いていた。


「ああ、もう痛い」


「先輩がボクに譲らないから悪いんですよ」


「どこかの暴君かな?」


ココロ散々暴れられたおかげで、彼の頬には引っ掻き傷ができていた。


「ねえ、ココロ。お前、本当に女なの?」


「いや、男だよ」


「いや、そういうのはいいから」


架陰は横目でココロの胸元を見た。


着物越しでもわかる、お碗型の綺麗な胸。


「その身体で『男』は無理が無いか?」


「ぶっ殺しますよ」


「ごめん」


ココロに睨まれてしゅんとする。


ココロは腰の刀の感触を確かめながら、架陰に言った。


「まあ、確かに、身体は女だけど…、心は男だよ。そうするように、教えてもらったんだから」


「教えてもらった?」


「うん」


「それって、ココロが住んでいたっていう、村のこと?」


「まあ、そうだな」


ココロは歯切れ悪く頷いた。


「ほんと武術に長けた者の集まりだったよ。だから、そこで生まれたボクも、『男』として育てられたんだ。おかげで、身体は女。心は男っていう、変なやつになっちゃったけど…、後悔はしてないよ」


それから、架陰の方を見た。


「とにかく、ボクは『男』だから、余計な心配は要らないよ。センパイ」







その③に続く



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