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UMAハンターKAIN  作者: バーニー
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【第144話】 鉄火斎と心 その①

子の幻影に問いただしても


父の返事は返ってこない


朝霧に望む


終末のひととき


架陰が気絶したのを確認した心響心は、一度刀を腰の鞘に納めた。


そして、彼らが逃げていった方向へと走り出した。


 



「はあ、はあ、はあ…」


二代目鉄火斎は、負傷して傷ついた真子と、気絶している八坂を抱えて走っていた。


刀鍛冶をしていると、自然と腕力は付く。二人の人間を運ぶことは無理ではなかったが、やはり、きついことに変わりはない。


「くそ…」


「て、鉄火斎くん…」


担がれた真子が、掠れるような声を発した。


「真子だったな! しゃべんな! てめえは、銃で撃ち抜かれたんだぞ!」


「く、来るッス…」


「はあ?」


来る?


その瞬間、二代目鉄火斎の後方から、誰かが近づいてくるのがわかった。


「っ!」


背筋に冷たいものが走る。


振り返ると、学ランを身に纏った、心響心がニヤッと笑ったままこちらに駆けて来ている。


「う、嘘だろ!」


彼が鉄火斎らに追いついたということは、つまり、引き付け役を買って出た架陰が敗北したということ。


「くそが!」


二代目鉄火斎は吐き捨てると、足に力を込めて加速した。


真子が揺られながら首を横に振った。


「無理ッス…、二人を抱えた状態じゃ…、追いつかれるッス…」


「でも! このままだと…!」


すると、真子はあることを二代目鉄火斎に伝えた。


「鉄火斎さん…、私の、スカートを捲ってくださいッス…」


「はあ?」


鉄火斎は今、真子の小さな身体を、右の脇に抱えている状態だった。丁度、真子の赤いスカートを穿いた尻が前方に突き出されている状態。


そのスカートを、彼女は「捲れ」と言ったのだ。


「てめ! こういう時になに言ってんだよ!」


「馬鹿ッスか? とにかく、捲ってください。パンツは見ないでくださいッス…」


「………」


真子に何か考えがあると踏んだ鉄火斎は、左の脇に抱えていた八坂を肩で担ぐと、自由になった左手で、真子のスカートを捲った。


すると、彼女の細い太ももに巻き付いたホルダーが姿を現した。


「これは…」


「そのホルダーの中に、煙玉が入っているッス…、使ってくださいッス…」


「よし来た!」


二代目鉄火斎は、真子の太ももに巻き付いたホルダーをボタンを外し、中に入った煙玉を取り出そうと、指を這わせた。


「ひゃんっ!」


「てめ! 変な声出すなよ!」


「いや、くすぐったいッスよ…」


何とか煙玉を取り出した鉄火斎は、振り向きざまに、迫る心響心に向かって投げつけた。


「喰らいな! 煙玉!」


「こんなもの!」


心響心は、刀を抜いて飛んできた煙玉を一刀両断した。


しかし、煙玉は切断された瞬間、一帯を白染め上げる煙を発した。


「なっ!」


思ったよりも多い煙の量に、心響心は狼狽える。


その間に、煙玉から発せられた煙は、心響心の周りを取り囲んで、彼の視界を奪い去った。


「やった! 成功!」


心響心が煙に包まれたのを見て、鉄火斎は小さくガッツポーズをして、また、二人を抱えたまま走り出す。


「あの、鉄火斎さん…、スカート戻してくださいッス…、パンツがスースーするッス…」


「おっとすまん!」


真子のスカートをもとに戻す。ちなみに、彼女の色は赤色だった。


(どんだけ赤色が好きなんだよ…、この班は…)


とにかく、危機は脱した。


後は、あの男から逃げて、この二人を安全圏で休ませるだけ…。


その時だった。


ヒュンッ!


と、空気を裂くような音が、走る二代目鉄火斎に近づいてくるのに気が付いた。


「はっ?」


二代目鉄火斎は、反射的に前のめりになる。


彼の頭上を、黄金色の刃をした刀が通り過ぎる。


その先の木の幹に突き刺さって、キインッ! と、鋭い金属音を立てた。


「なに?」


振り返る。


すぐそこまでに、心響心が迫っていた。


心響心は、鉄火斎の着物の襟首を掴むと、真子、八坂もろとも、地面に組み伏した。


「がっ!」


背中を強く打ち付けて、息が詰まる。


放り出された真子と八坂は、力なく湿気た地面を転がった。


「捕まえた!」


鉄火斎はの逃れようと手足をばたつかせたが、それも虚しく、心響心は、彼を地面に押さえつけて、関節を固めた。


「があっ!」


「さあ、たっぷりと話を聞かせてもらうからな! 鉄火斎!」




その②に続く

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